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【お薦め本】『ヒガンバナの博物誌』(栗田子郎著 研成社) #ヒガンバナ

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▼それからちょうど一ヶ月が経った!!
 こう書き始めながらも迷っていた。書けばそれを事実として認めることになってしまう。
 何処かで「間違いかも知れない」という部分を残したい気持ちがあるからである。しかし…

 私のヒガンバナ研究の師・栗田子郎先生が、今年の8月22日に亡くなられた!!

 はじめて知ったのは、9/1自分のWebページを更新しているときだった。表紙に先生の「野の花便り」をリンクさせてもらっていた。
 日記風エッセイでとてもきれいな写真とともに各季節の植物が紹介してあった。ずいぶん勉強になりいつも楽しませてもらってきていた。
 そこが「リンク切れ」になってしまうのだった。ネットで調べて訃報の情報を知った。
 まだ信じられなかった。
 関係各位へ電話をして確認してみた。訃報の情報はほんとうらしかった。
 まだ信じたくなかった。
 いたたまれず 9/3、私は始発列車にのり静岡のご自宅にむかった!!
▼栗田子郎先生には、ヒガンバナ研究のことでずいぶんとお世話になっていた。
 特に、実生ヒガンバナ実験については、メールやblogのコメントでアドバイスをもらっていた。アリガタイ!!
 それだけでない。栗田先生をほんとうに尊敬するのは次のことがあるからだ。
 『進化生物学入門~宇宙発生からヒト誕生への137億年~』(栗田子郎著 講談社学術文庫 2013.4.10)の「まえがき」にすごく気に入った文章があった。
 よくいろんな場面でも引用させてもらってきた。少し長くなるが今一度、引用させてもらう。

 ホモ・サピエンス(Homo sapiens 賢い者)と自らを名付けた我々「ヒト」も「チンパンジーとの遺伝的差はほとんどない」 としながらも、二つの大きな特徴があると書かれている。

 しかしヒトという種にはほかのどんな生物にもない(と思われている)きわだった特徴が一つあります。自分自身の由来、ひいては万物のルーツを知りたがるとともに、まだ存在しない未来に思いを馳せるという性質です。チャールズ・ダーウィンが『種の起源』を著し進化論を説いたのもこの衝動に駆られたからでしょう。(中略)  いま一つのヒトの特徴は、細胞外で複製・増殖することのできる遺伝因子、つまり言語(言葉、文字)と映像を操る能力です。生きとし生けるものはすべて、自らを存在させているプリン塩基とピリミジン塩基で記された基礎情報(遺伝子)を次の世代へ残そうとします。ヒトも例外ではありません。しかし、この情報は時間軸に沿って垂直にしか伝わりません。ところが言語や映像という形の情報は水平方向にも伝わります。しかも、細胞核内に収められた情報は親から子へと伝わるのみで、その逆は不可能です。言語情報はこれが可能です。この第二のヒトの特徴が、私をしてこのようなテキストを綴らせたようです。(『進化生物学入門』「まえがき」p11より)

なんと示唆的であろう。
栗田先生がほんとうにすごい思うのは、<水平方向>に情報を伝えることに自らもひじょうに積極的であったことである!!
これまでの自分の研究成果をHP・Webページをつくられ誰でもいつでも見られるように公開されていた。
深謝!!
▼10年ほど前に、栗田先生から驚くべきことを連絡をいただいた。 
 先生の書かれたあの名著『ヒガンバナ博物誌』を画像も増補してWebで読めるようにしたのでということだった。
 うれしかった!!
 あまりうれしかったので、ヒガンバナに少しでも興味ある人をみつけたら、このWebページを紹介しまくった。
 残念ながらこのページは今のところ見れなくなってしまった。
 あらためて、静岡に向かう列車のなかでもこの名著『ヒガンバナの博物誌』を読んでみた!!
 やっぱり名著中の名著だ!!
 この機会にあらためて【お薦め本】にあげておこうと決めた。

◆【お薦め本】『ヒガンバナの博物誌』(栗田子郎著 研成社 1998.9.1)

▼いつもようにお薦めポイント3つをあげてみる。どうも同じことの繰り返しになるが…
(1)「 ヒガンバナ」のすべてがここにある!!
 「もくじ」をあげてみよう。

プロローグ ~花と人類~
1 ヒガンバナと出会う
2 図鑑の中のヒガンバナ
3 なぜか気になる人里植物
4 魅せられた人々
5 花は咲けども
6 種子から生まれたヒガンバナ
7 故郷をもとめて
8 ヒガンバナ渡来再考
9 ヒガンバナ類の起源の地
エピローグ ~さまざまな出会い~
あとがき
参考図書

 「ヒガンバナ」に関することはすべてが語られていた。
 「4 魅せられた人々」などはほんとうに面白い。植物「ヒガンバナ」に話はとどまらない!!


(2)「ヒガンバナ」研究のバイブルだ!!

 1998.9.1以降に書かれた「ヒガンバナ」研究に関する論文、研究報告、文献を見れば驚くだろう。
 必ず参考文献の第一にこの本があがっているのである。
 つまり、1998年以降の「ヒガンバナ」研究はここからはじまっているのである!!


(3) 参考図書は必見だ!!

 1998年以前の「ヒガンバナ」研究に関する参考文献のすべてがこの本の「参考図書」にある。
 これはとてもアリガタイ!!

 この名著中の名著!!手元にない人、今ならまだ手に入りますよ!!
 「ヒガンバナ」ファン必読書!!ぜひぜひ…

 追悼の意味を込めて書き始めた文章だったが、やっぱり哀しい!!
 淋しい!! 合掌。 
 

 

 

 

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