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本日(2019/09/14)、第233回オンライン「寅の日」!!#traday #寺田寅彦

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▼少しせっかちになっていた。
 「なんぼなんでも遅すぎる!!」と。
 ヒガンバナ「花芽」の初見がまだだった!!雨もたっぷり降り、いっきょに秋めいていた。地温ももう臨界点には達しているはず!?
 昨日(2019/09/13)の夕方、例年の初見観察地を離れ、少し遠出をしてみた。
 ここ何年か自然結実ヒガンバナを観察している群生地(福崎)である。

 そこには、やっぱり咲いていた!!
 浮き株周辺よりスタンバイOKの「花芽」も多くある!!
 いやすでに満開もあるではないか!!走りヒガンバナは少し「ワラベノカンザシ」っぽいものもある。
 さあ、いよいよはじまる2019年ヒガンバナ観察!! きっと師走の風が吹くまでになるだろう。
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▼本日(2019/09/14)は、第233回オンライン「寅の日」である。
 今月も先月に引き続き「ルクレチウスと科学」を読んでいる。先月からカウントすると4回目である。
 今日は、第4章、第5章を中心に読む。

◆本日(2019/09/14)、第233回オンライン「寅の日」!!

●「ルクレチウスと科学」(4)(青空文庫より)

▼第4章に入って、寅彦の熱い語り口調は少しトーンダウンする。

 以上紹介したところによって、私はルクレチウスの根底に存する科学的精神の一般的諸相と、彼の元子説のおもなる前提ならびにその運用方法の概念だけを不完全ながら伝えることができたように思う。以下の三巻に現われるこれらの根本的なものは、多く述べきたったものの変形であり敷衍(ふえん)であるとも見られる。

 要するに三巻までの繰りかえしが続くので、少し省略していこうというわけである。
 また、これまでも言っていたが、こんな「ことわり」を繰りかえす。

 また一方、以下各巻に現わるる具体的の自然現象の具体的説明となれば、これらはそのままでは当然現在の科学に照らした批判に堪えうるものではない。

 それにしても、「光」「音」についてたいへん興味深い論理が展開されている。
 今一度自らに問いたい。
 「ルクレチウスにまけない観察眼が我にあるだろうか?」と。
 寅彦が教育方針への疑問も投げかけている。ひょっとしたら今も有効なのかも!?

 多くの学生らは教科書に書いてない眼前の問題はあまり考えてみないものと思われる。そして教わったものなら、どんなめんどうな数式でも暗記していて、所問に当たろうが当たるまいが、そのままに答案用紙に書き並べるのである。二千年前のルクレチウスのほうがよりよき科学者であるのか、今の教育方針が悪いのか、これも問題である。

▼第5巻に入って、ルクレチウス自身も少し方向転換したようである。
 一読しただけではちんぷんかんぷんの「観念的」な言葉がならぶ。しかし、ルクレチウスの本意とはこのあたりにあるのかもしれない。

 第五巻の初めにおいて、ルクレチウスは、さらに鋒先(ほこさき)を取り直して彼の敵手たる目的論的学説に反抗している。そうして神を敬遠して世界と没交渉な天の一方に持ち込んでいる。
一は公理から演繹えんえきし一は事実から帰納するのである。この点からもルクレチウスのほうが自然科学的である。

たいへん興味深い展開もある。

最も興味あるは宇宙の生成に関する開闢論的(コスモゴニカル)考察である。元子的渾沌(こんとん)の中から偶然の結合で分離析出が起こるという考えは、日本その他多くの国々の伝説と同様であるが、それを元子論的に見た点がはなはだ近代的であることは前述のとおりである。

 この方法論は、実は、はなはだ科学的なものである。彼の考えを敷衍(ふえん)して言えば、経験によって明確に否定されないすべての可能性は、すべて真でありうることを認容してかからねばならないというのである。この事は意外にもかえって往々にして現時の科学者によって忘却される。精密という言葉、量的という標語を持ち出す前にまず考えなければならない出発点の質的のオルターネティヴが案外にしばしば粗略に取り扱われる。その結果は、はなはだしく独断的に誤れる仮定に基づいためんどうな数学的理論がひねり出されたりするような現象が起こる。そういう意味でルクレチウスのこの態度は、むしろ今の科学者に必須(ひっす)なものと考えなければならぬ。

これなど、自然科学の方法に関する重要な提言で、現代にも通用するものである。
 トーンダウンしたとは言え、寅彦はやっぱり熱く語っているのである!!

(つづく)


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