【お薦め本】『実験で楽しむ宮沢賢治 銀河鉄道の夜』(四ヶ浦弘著 HISA・勝山陽子絵 金沢・金の科学館)
▼まだまだ先日のファラデーラボ8周年企画「実験と歌で楽しむ宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」の講座の余韻のなかにいた。
砂鉄を使ったテルミット反応で真っ赤にとろけた鉄!!
「ルビーより赤くすきとおり、リチウムよりもうつくしく酔ったように」のところで見せてもらったリチウムのみごとでダイナミックな炎色反応!!
等々が眼の底に焼き付いていた。
心に響くあの「歌声」「朗読」の声が、耳の奥にしっかり残っていた。
▼講座のあった2019.03.10にぴったりあわせて一冊の本が出版された。
それが今回の【お薦め本】である。
◆【お薦め本】『実験で楽しむ宮沢賢治 銀河鉄道の夜』(四ヶ浦弘著 HISA・勝山陽子絵 金沢・金の科学館 2019.03.10)
講座を思い出しつつ読んでみた。
実に面白い!!
講座ではまだよく理解できていなかったことも、この本を読んでみて納得したところもある。なぜその部分を特に四ヶ浦さんが熱く語っていたのかも少しわかりはじめた。
【お薦め本】を書くことでさらに私の頭も整理してみたかった。
例によってお薦めポイント3つにしぼり書いてみる。
(1)あらたな「賢治の世界」の楽しみ方の提案がある!!
(2)『銀河鉄道の夜』をイメージするのに役立つ、簡単にできる実験の紹介がある!!
(3)あなた自身で「賢治の世界」をより楽しむ方法をみつけようとするきっかけを与えてくれる。
▼ひとずつ少しだけ詳しく、「蛇足」にならない程度に
(1)あらたな「賢治の世界」の楽しみ方の提案がある!!
こう言ってしまうと、なんかとても簡単なことのように聞こえるが、それはちがう。
これはすごい「大発見」だ!!
前著 『増補版 実験で楽しむ宮沢賢治~サイエンスファンタジーの世界』(四ヶ浦弘著 細川理衣 絵 金沢・金の科学館)でもこのことは強く感じたが、今回それはさらにパワーアップされていた。
『銀河鉄道の夜』の講座をこの本では次のようにしめくくっていた。
賢治にとって美しいものとは、自然、摂理を感じる実験、音楽、人間関係、社会のあり方等々いろいろだった気がします。それらを心から楽しみ、そして苦しみながら、皆が幸せに生きる道を模索し続けたのではないでしょうか。今日は実験をたくさん見ていただきました。私の言ったことは忘れてしまっても体験したことは忘れないと思います。これからも、賢治が好きだった美しい星空や実験を見ながら、音楽を口ずさみながら、ほんとうの幸いとは何かを賢治と一緒に探し続けていきたいと思います。(同書p41より)
さらには、こうとも言われていた。
この講座の準備と実施を通じて、賢治の世界は文学、科学、音楽等々がすべてが一体となった素晴らしい世界であること、それが少しずつ見えてくるような気持ちになれました。(同書P47より)
先日の講座では、「実験」はもとより「音楽」という切り口にも重点をおかれているように感じた。
そうだ!!
四ヶ浦さんの「賢治の世界」の楽しみ方の提案は進化し続けているのだ!!
またHISA(ヒラタヒサコ)さんの絵は「賢治の世界」をみごとに表現していた!!
勝山陽子さんのイラストもわかりやすくすばらしい!!
絶対に忘れてはならない、すばらしいことがもうひとつあった。
この本には、『銀河鉄道の夜』(第四次稿 青空文庫より)の全文がついている。
だから、この実験は原文のどことリンクしているのか。(色まで変えて明示してある。)
一目瞭然デアル!! それがとてもアリガタイ!!
第三次稿とちがいにふれてくれているのも説得力をもつ。
(2)『銀河鉄道の夜』をイメージするのに役立つ、簡単にできる実験の紹介がある!!
四ヶ浦さんはこれまでにもたいへん興味深い実験をいくつも開発してこられているが、今回は、『銀河鉄道の夜』の世界をイメージするのに役立つ実験に特化して簡単に読者にも体験できるように紹介されている。
紹介のある実験は5つである。
(1) 銀河(ミルキィウェイ)の実験1
(2) 銀河(ミルキィウェイ)の実験2
(3) 燐光の実験(光る水、石、三角標)
(4) 水晶の実験(鳴き砂、摩擦発光、熱伝導)
(5) 炎色反応
▼どうも、ダラダラと「蛇足」傾向にある。最後にいこう。
(3)あなた自身で「賢治の世界」をより楽しむ方法をみつけようとする「きっかけ」を与えてくれる。
最後につけ足しのように書いたお薦めポイントだが、実は私としてはここがいちばんのお薦めなのかもしれない!!
四ヶ浦さんは、難解と言われてきた「賢治の世界」の読み解きを、賢治の大好きだった「実験」を再現してみることにより、「賢治の世界」の楽しみ方を提案してくれた。
そして、今回は「音楽」も加えて…。
これは「大発見」であり、これからも進化しつづけるだろう。
今度はあなたの番だ!!
「賢治の世界」は深く広い!!
まだまだもっと他の方法もあるかも知れない。いやあるはずだ!!
その可能性をこの本は教えてくれている。
それをみつけようする「きっかけ」をこの本はきっと与えてくれるはずだ。
「読んでから見るか 見てから読むか」
角川映画全盛時代こんなキャッチコピーがあったような。
古~いな (^^ゞポリポリ)
四ヶ浦さんのこの本を読んだら、今度はぜひ「生」で「実験と歌で楽しむ宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」を体験して欲しい!!
もうすでに講座を「生」で体験した人は、ぜひこの本を読んで、あの感動を今一度蘇らせてほしい!!
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