【お薦め本】『「ロウソクの科学」が教えてくれること』(尾嶋好美/編訳 白川英樹/監修 サイエンス・アイ新書)
▼ファラデーラボでのクリスマスレクチャー「ロウソクの科学」は最高に面白かった!!
一言でいうなら、およそ160年前へのタイムスリップだ。
ファラデー役のイブさんがこれまたファラデーそっくりなのである。外見だけではない、ファラデーに惚れ込んでしまったイブさんは、「ロウソクの科学」を読み込み、ひとつひとつの実験に習熟していた。
もう完全にファラデーなりきっていたのである。それが感動をよぶのであった。
実験助手アンダーソン役をつとめたファラデーラボの主・森本雄一さんが言った。
「このレクチャーをやるようになって、あらためてファラデーのすごさがわかって来た!!」
見せてもらった私たちも同感であった。
「ロウソクの科学」ってこんなに面白かったんだ!!
と再発見をさせられるレクチャーであった。
▼その森本さんが昨年末にFBで一冊の本を紹介してくれた。それが今回の【お薦め本】である。
◆【お薦め本】『「ロウソクの科学」が教えてくれること』(尾嶋好美/編訳 白川英樹/監修 サイエンス・アイ新書)
取り寄せて読んでみた。
あのアンダーソンが薦めてくれるだけあって、実に面白かった!!
自分でもどうしても【お薦め本】にあげてみたくなった。
面白すぎて話がいろんなところに飛んでしまいそうだ。だから、いつものようにお薦めポイント3つをさきにあげておく。
(1) 図、きれいなカラー写真がいっぱいでとてもわかりやすい!!
(2) 家庭でやることのできる実験の具体的な紹介がある。
(3) 自分で「科学」を学びたい人にとって最高のテキストだ!!
▼言いたいことは先に言ってしまったのであとは気儘にいく。
(1) 図、きれいなカラー写真がいっぱいでとてもわかりやすい!!
この本の監修にあたられた白川英樹先生が「おわりに」で「ロウソクの科学」についてたいへん興味深いことをおっしゃっていた。少し長くなるが引用させてもらう。
世界的名著との評判だったので、学生の頃に何回か完読に挑戦したが果たせなかった。例えは悪いがこの本は、硬いスルメのようで、口に入れる前は美味しそうな匂いで食欲をそそるが、歯ごたえが強くてなかなか噛み切れず、口の中でもぐもぐしているうちに次第に柔らかくなり、滋味に富んだ味わいを楽しめる。味わう間もなく退散を余儀なくされた理由は個人的にさまざまだろうが、大きく二つあると思う。(同書P180より)
さすがである!!うまい!! (゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
たしかに心当たりがあった。
その「大きく二つ」の指摘が続く。
一つはロウソクそのものである。(同書P180より)
これも大納得である。
ロウソクそのものを目にする機会は少なくなっている。
仏壇、誕生パーティー、災害用備品、理科室ぐらいしか思いつかない。
マッチも同じ運命にある。「そこで…」と言いたいところだが
\(・_\)ソノハナシハ (/_・)/コッチニオイトイテ
もうひとつの指摘もそのとおりである。
二つめは、演示実験含む講演を聴く際の印象と、その内容を文字化した書籍、とりわけ実験の部分を読んで受ける印象のちがいである。(同書P181より)
さすがデアル!!
心当たりありまくりデアル!!
先のファラデーラボでのクリスマスレクチャーの後もそうだった。実験で見せてもらった部分はよくわかったが、では次の章はというとなかなか…(^^ゞポリポリ
この「印象のちがい」を少しでもうめようとしたのがこの本だった。
実験の様子をきれいなカラー写真や、カラフルな図で解説してくれている。
この本だと中途「退散」せずに完読可能かも知れないゾ!!
次に行こう。
(2) 家庭でやることのできる実験の具体的な紹介がある。
(1)とも関連するが、ここがこの本のウリでもあった。著者・尾嶋好美さんは「はじめに」のなかに次のように書いていた。
ファラデーは、家に帰ってから自分たちでできる実験を紹介し、自分で確かめることを勧めています。知っている現象でも、実際に目の前で起こると、新たな驚きが生まれます。驚きは多くの疑問をもたらすことでしょう。できれば、読むだけでなく実験をし、五感を使って科学を楽しんでいただけたらと思います。私たちみんなの前に、科学の扉は常に開かれています。(同書 p5より)
この本の本意がココにある!!
それを裏付けるように、家庭でも簡単に安全にやれる実験8つを具体的に紹介していた。
【TRY1】重力に逆らってのぼる液体
【TRY2】つながる炎
【TRY3】炎の「美しい舌」
【TRY4】炎の熱のありか
【TRY5】鉄を燃やす
【TRY6】水を使って缶をつぶす
【TRY7】ストロー鉄砲
【TRY8】石灰水の色を変える
▼最後のひとつに行こう。
(3) 自分で「科学」を学びたい人にとって最高のテキストだ!!
「ロウソクの科学」をなんとか読んでしまった私は驚いた!!
読んだつもりになっていた私が恥ずかしかった。
「こんな実験もやっていたのか!!」と驚くばかりだった。
「水の電気分解」をはじめおよそ中学校理科でやる実験の全てが出てきた。
「酸素中で炭素を燃焼する」
「二酸化炭素のなかから炭素をとりだす」
等々新しい実験とばかり思っていたら、きっちりとファラデーはやっていた。
以前からの主張を思い出した!!
中学校理科はファラデーできまり!!
この本にはとてもうれしい「付録」がついていた。
『全6講で起こったこと』(p169)として、
ファラデーが行った実験のすべてが化学式・化学反応式でまとめてあるのである!!
これが実にいい!!
この「付録」を手に入れるためだけでもその値打ちがある。
中学理科を自分で学びたい人にとって最高のテキスト(教科書)だ。
昨夜の「とんど」の炎が少しいつもとちがって見えてきたから不思議だ。
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