【お薦め本】『科学のミカタ』(元村有希子著 毎日新聞出版)
▼「私の科学」に変更を迫ってくる生きものがいた!!
コウガイビルである。つきあい始めてまもなく10年になる。
36号コウガイビルは、エサなしで1年と10日あまり生きのびている。あの特徴的な頭は見られないが、まだ確かに動いた!!
38号は先日、ナイロン袋に入ったばかりである。元気に動いている!!
やっぱり「ふしぎ!?」だ!!
動物の世界の謎解きの決め手は「食べる」であった。
「なにをどのように食べるのか」それを追究すれば「ふしぎ!?」は解決した。
それが「私の科学」だった。
研究者は教えてくれた。
「自らを食べて、からだを再生し続けているのだ!!」
「それが生きていること!!」と。
それはあの「オートファジー」と同じか、ちがうのか!?
▼その「オートファジー」についてもわかりやすく語ってくれる本に出会った!!
読み始めたらなかなか面白くとまらなくなってしまった。
読み終わったら、急にどうしても【お薦め本】にあげたくなってきた。
◆【お薦め本】『科学のミカタ』(元村有希子著 毎日新聞出版 2018.3.15)
なぜこんなに面白く思ったのだろう!?
グダグダ話になる前にお薦めボインと3つをあげておく。
(1) 話題の「科学」をわかりやすく語ってくれている!!
(2) 「科学する」ことの面白さを伝えてくれている!!
(3) 「一人称」の「科学」が興味深い!!
▼これで少し安心して、思いつくままに綴ってみる。
(1) 話題の「科学」をわかりやすく語ってくれている!!
先の「オートファジー」をはじめ、新聞、TV、ネットのニュースには、「科学」に関する話題のコトバが次々と新しく登場する。
それでも現役のときは、「授業で生徒に質問されたらどうしよう (^_^;)」とにわか勉強でもしていたが、今では…(^^ゞポリポリ
ともかく次々と新しいコトバが登場してくる。はじめて聞いたときには、少し勉強してみるがポンコツ頭には正直難解すぎるのが多い。少しは「わかったつもり」になっても、すぐに謎解きの「暗号」のようになってしまう。
著者は「科学」をわかりやすく伝えるプロだ。
2006年、第一回科学ジャーナーリスト大賞受賞の経歴をもつ「科学」担当の新聞記者さんだ。
さすがプロ!!
うまい!!
「これなら、ポンコツ頭の私にもわかる!!」
「最初からこう言ってくれ!!」とうなってしまうことしきりだった!!
もうひとつさすが、プロ中のプロとし感心してしまったのは、ストーレート球だけではなかった。
誰もが豊かに「科学」に興味をもてるように球種ゆたかな変化球・工夫が用意されていた。
その工夫のひとつが、「枕草子」風に「科学」を語ることでアル。
目次を追ってみるだけでも感服デアル!!
《もくじ》
Ⅰ こころときめきするもの 《どきどき、わくわく》Ⅱ すさまじきもの《あきれる話 興ざめな話》
Ⅲ おぼつかなきもの《心がザワつく、気がかりな話》
Ⅳ とくゆかしきもの《早く知りたい、もっと知りたい》
Ⅴ 近うて遠きもの、遠くて近きもの《生きること、死ぬこと》
次に行こう。
(2) 「科学する」ことの面白さを伝えてくれている!!
最初の「オートファジー」もどろう。
著者は、2004年すでに「オートファジー」研究に興味を持ち取材し、「オートファジー研究の歴史の中で一番大きい記事」を書いていた。
「科学」を伝えるプロは、「科学する」面白さも熟知する人でもあった。
2016年ノーベル医学生理学賞した大隅良典・東京工業大学栄誉教授にふれて次のように語っていた。
大隅さんは「どこに向っているか分からないから研究は楽しい」と話す。光学顕微鏡でイースト菌の細胞を観察しているときに、偶然見つけたこの現象に、大隅さんは魅せられた。 それが原点だ。役立てようとか、特許を取って稼ごうとか、そうした価値観とは無縁なだけに、その発見は気高い輝きを放つ。
そして、そのわくわくする物語のおこぼれにあずかる私たちも、心をときめかせ、「科学っておもしろいよね」と安心して言えるのである。
(同書P68より)
著者はロンドンに留学していたことがあるそうだ。そのとき大英博物館にたびたび通っていたそうだ。(つい熊楠のことを思い出した。\(・_\)ソノハナシハ (/_・)/コッチニオイトイテ)
そして今思うそうだ。
科学というと、難しくて肩が凝るイメージを持つ人が多いと思う。けれどもその始まりは、しっちゃかめっちゃかに集めたガラクタを、もっと詳しく知りたい、分解したり古い順に並べたりしたい、そして他人に自慢したいという、子どもみたいな願望も入り交じった試行錯誤だったはずだ。留学していたころは「いつでも見られる」と思い、見過ごした展示や素通りした部屋もたくさんある。まとまつた休暇が取れる身分になったら、また訪れよう。 そして科学に親しみ、ときめく方法を教えてくれたお礼に、今度は気前よく寄付しよう。(同書p70より)
と。
この著を書いたのもこの「お礼」の一部かも知れない。
▼次を最後にしよう。
(3) 「一人称」の「科学」が興味深い!!
これだけならわけのわからぬお薦めポイントだ。
しかし、実はこれがいちばん言いたいお薦めポイントなのである。
Ⅴ 近うて遠きもの、遠くて近きもの《生きること、死ぬこと》
で、著者は「死」について語る。
最初にとらえていた死は「三人称」であった!!
父の死に出会うことにより「二人称」の死になった。
そして、自分自身のがんが見つかることにより死は「一人称」になったのだ!!
私はこの章をいちばん夢中になって読んだ!!
さらに正直に言えば、この章を読んだからこそ、【お薦め本】にあげる気になったのだ。
「一人称」の「科学」!!
「一人称」の死の話は出てくるが、こんなコトバは出てこない。
私の勝手なこじつけデアル!!
しかし、私はこの著の語る究極の「科学」はここにあるように思えてしかたがない。
『科学のミカタ』とはちょっと変わったタイトルだ。「ミカタ」とカタカナにした意図はどこに?
「おわりに」それは書かれていた。
この本は、科学の世界の個別具体的なトピックを取り上げて紹介しつつ、まとめて眺めたときに、どう受け止めるかを考えるヒントになればと思いながら書いた。題名の「ミカタ」には、「味方」もあるけど、「見方」という意味も込められている。 もちろん、私個人の「見方」なので、あなたのそれと違っていても全然いい。(同書p252より)
?(゜_。)?(。_゜)?
「題名の「ミカタ」には、「味方」もあるけど、「見方」という意味も込められている。」
どういうこと(・_・)......ン?
ふつうは「見方」ではないの?
正義の「味方」の「味方」!!(月光仮面は正義の「味方」…♪ 古~(^^ゞポリポリ)
科学の「味方」って何?
これは「科学」を味方につけよというメッセージか!?
あらためて「表紙」「裏表紙」のイラストを見ると面白い。
「表紙」…試料瓶のなかの「世界」=「科学」を外から人が観察している。
「裏表紙」…人は試料瓶のなかで本を読んでいる。「世界」=「科学」は試料瓶の外に広がっている。
私は今、どこに居るのか!?
| 固定リンク
コメント