【お薦め本】『いきいき物理マンガで実験』(奥村 弘二 マンガ・著 日本評論社)
▼表紙を見ているだけでもワクワク気分になってくる楽しい本に出会った!!
いや「再会」したという方がピッタリかも知れない!!
それが、今回の【お薦め本】である。
◆【お薦め本】『いきいき物理マンガで実験』(奥村 弘二 マンガ・著 日本評論社 2018..06.25)
なんとも「なつかしい」気分にもなってきた!!
それにはわけがあった。
あの名著『いきいき物理わくわく実験』(愛知・岐阜物理サークル編著 新生出版 1988.5.15)から今年でちょうど30年だ。この本をはじめ、本シリーズのすべてのイラストを描いてきたのが、この本の著者・奥村弘二さんだった。
道理で「なつかしい」わけである!!
▼自分でいつものお薦めポイントに入る前に著者自身の紹介を聞いておこう。
的外れの紹介しては申し訳ないので。
本来、初めて行う実験が成功することはまれなのです。 実験するということは、失敗することなのだと、開き直りたくなるほどです。でも好奇心を原動力として、幾多の失敗にめげず、工夫し続けることこそ、実験の本質なのです。 この本では、それぞれの実験のくわしい説明はもちろん、実験に挑む強い動機や、実験するときに避けては通れない失敗、そしてそれらを含めた実験の楽しさを、限られた枚数の中で、できるかぎり印象深く描こうと努めました。(同書 P169より)
著者の思いはみごとに実現しています!!
ここからは、手前勝手なお薦めポイント3つです。
(1) 「実験教室」テキストとして最適である!!
(2) マンガ・イラストでわかりやすく解説。必ず自分でも挑戦してみたくなる!!
(3) ものづくり・実験をやりながら楽しく物理が学べる!!
▼お薦めポイント3つは重なったり、前後するところもあるが気儘に書いてみよう。
(1) 「実験教室」テキストとして最適である!!
16もの楽しい実験の紹介がある。
「空き缶で手作り綿菓子機」
「大道芸!レンガ割り」
「ミニ熱気球コンテスト」
「電気パンと感電実験」
「カンタン!手作りモーター」
「なんでもスピーカー&マイク」
「元祖! 水ロケット」
等々 タイトルを見るだけでも今ではお馴染みの実験の数々だ。
水ロケットをはじめ 元祖はここにある。
「元祖」が意味あるのはプライオリティだけの問題でなく、そこにその実験にいたる必然が語られているからである。
クラブ活動や「実験教室」テキストにふさわしいと思うもうひとつのわけは、この本の中でもしばしば登場する
「コンクール形式」の提案である!!
これまた著者のコトバを借りよう。
物理コンテストと自然探求の本質 作り方が単純で、工夫の余地がある熱気球はコンテスト形式の探求活動にぴったりのテーマです。「ミニ熱気球コンテスト」は小さな熱気球ほどあがりにくくなるという物理的な制約の中で、どこまで小さいものを上げられるかという、挑戦的な実験で、成功したときの達成感は格別です。(同書P65 より)
はっきりとした目的意識をもった実験はモチベーションを高める。
すばらしい発明・工夫もそこに生まれる。
(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン 納得デアル!!
随所にみられる「コンクール形式」の提案とコンクールの「ルール決め」の方法はとても参考になるはずだ!!
次に行こう。
(2) マンガ・イラストでわかりやすく解説。必ず自分でも挑戦してみたくなる!!
「マンガ・イラストだからわかりやすい」というのは安直すぎる。
マンガ、イラストだからこそ語れることがある!!
実にうまくそれを実現していた。登場人物に著者の思い入れがのりうつっていた。
科学隊のメンバー四人は、それぞれ、物理学に必要な四つの要素を象徴しています。 物理の研究でもっとも重要な「疑問に思う心」を象徴するのが隊長のとっぴ、矛盾なく論理を積み重ねる「論理能力」はあかね、人間の経験から演繹できない事実を予想する「数学センス」はむんく、そして、実験の創意工夫をしつづける愚鈍なほどの「粘り強さ」がろだんです。(同書P168より)
うまい!!
マンガのストリーを使って、やってしまいそうな「失敗」もうまく語っていた。
「失敗」を失敗に終わらせない。「成功」への必然のプロセスなんだという著者の強い主張が見えてきた。
「よし!!自分でも挑戦してみよう!!」
と思うこと間違いナシだ。
▼少し蛇足がすぎるようだ。(^^ゞポリポリ
もう少しにしておこう。
(3) ものづくり・実験をやりながら楽しく物理が学べる!!
アタリマエすぎるほどアタリマエのこの本の本意デアル!!
とても気に入ったコトバがあった。再び引用させてもらう。
自然科学の重要な側面は、新しい現象の発見ですが、一般的には「自然科学といえば論理の積み重ね」という認識が強いのではないでしょうか。でも、新しい発見が生まれるときは、実験においても、理論においても、それまでの思考の枠組みを超えた発想の転換が必要なのです。これを専門用語では「パラダイムシフト」と呼びます。(中略)
常識にとらわれない人はまず、手を動かします。実際にやってみると、そこからいろんなヒントが見えてきます。「手で物を考える」ことのできる人だけが、あたらしい発見ができるのでしょうね。(同書 P126より)
納得デアル!!
長年の蓄積から生まれた本書は、具体的に説得力をもってそのことが熱く語られている!!
蛇足の蛇足。
あかねちゃんがしばしばひっぱり出してくる
「お父さんのスクラップブック」!!
実在するのかな!? 実在するならぜひ見てみたいな!!
本書の続編
『いきいき物理マンガで冒険(仮題)』(奥村 弘二 マンガ・著 日本評論社)
も10月刊行予定であるという。楽しみだ!! o(^o^)o ワクワク
| 固定リンク
コメント