私の「科学」雑話(24) #マッチ #川本幸民 #化学新書
▼手に入れた冊子は3つある。
◆『川本幸民の足跡をたどる~蘭学の伝統~』(八耳俊文著 NPO法人歴史文化財ネットワークさんだ 2011.1.25)
◆『川本幸民の 遠西竒器述 解読』(足立元之編著 NPO法人歴史文化財ネットワークさんだ 2010.4.10)
◆『蘭学者 川本幸民の「化学新書」解読・実験の手引き』(阪上正信著 三田市郷土先哲顕彰会刊行 1998.3.1)
である。
まだ完全に読んでしまったわけではないが、実に面白い!!
求めていたもの、いやそれ以上のものがそこにはあった。アリガタイ!!
川本幸民もまた、宇田川榕庵、久米通賢たち同様きわめてマルチな活躍をした科学者だった!!
▼では肝心の川本幸民がつくった燐寸(マッチ)とはどんなものだったのだろう!?
くりかえしいろんなところに書かれているようだ。
なかでも、『遠西竒器述 第二輯』にくわしく書かれているようだ。しかし、それがわかったとしても私にはちんぷんかんぷんで手も足も出なかった。
そこでアリガタイのが、この度手に入れた
◆『川本幸民の 遠西竒器述 解読』(足立元之編著 NPO法人歴史文化財ネットワークさんだ 2010.4.10)
だ。
これなら私にもわかった!!(なおうれしいことに、電話で少し足立先生と話をさせてもらった。深謝)
「I 燐柹 マッチ (ホスホルストック リュシヘルス)」の項にたいへんくわしく書かれていた。
洋書のなかのマッチの作り方の紹介にとどまらず、独自に工夫したマッチの作り方が書かれていた。
川本幸民のすごいのはそこまでにとどまらず実際にマッチを作っているところだ!!
もちろんこの段階では「黄リンマッチ」である。
▼ここで今一度、日本のマッチの歴史を「マッチの歴史(「マッチの世界」 日本燐寸工業会) 」を参考にピックアップしてみる。
●1837 (天保8)年
・ 宇田川榕庵(ようあん)が欧州の文献を参考にマッチについての記述もある化学書『舎密開宗(せいみかいそう)』を著す。
● 1839 (天保10)年
・ 高松藩士、久米通賢(くめつうけん)栄左衛門がドンドロ附木、吹弾子(雷汞(らいこう)マッチ)を発明。史実としてはわが国最初の国産マッチの発明。
●1848 (弘化4)年
・兵庫県加古郡横谷村(現在の三田市)出身の蘭学者、川本幸民(かわもと こうみん)が黄りんを使ったマッチの試作に成功。
先日からの宇田川榕庵、久米通賢、川本幸民を訪ねる旅でだいぶんその「歴史」が見えてきた!!
▼先に進めることでそのときわからなかったことが見えてくることもある。
宇田川榕庵が『舎密開宗』において、「マッチについて記述」しているということであるが、それが「130章 燐の燃焼性」だけなのかわからなかった。それが、今回、川本幸民ことをくわしく知るなかでわかってきた。
もう一度『舎密開宗』現代語訳をみかえしてみたい。
それにつけてもつくづく実感する!!
「マッチの歴史」は日本近代「化学」の歴史そのものである!!
「燐寸(マッチ)一本 化学の元!!」は本当だ!!
さて、次は
(つづく)
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コメント
楠田先生、こんにちは。
鈴木勝浩です。
改めてマッチのことを考えてみました。
マッチ1本で、簡単に火をつけることができる。
考えてみると、ものすごい発明ですね。
自分でつくってみろ!といっても
考えてみろ!といっても、考えつくものでは
ありません。
投稿: 鈴木勝浩 | 2018/05/12 10:07
鈴木勝浩さん
おはようございます。コメントありがとうございます。
ほんとマッチってすごいですね。
追いかけはじめる前までは、そこまで思っていなかったです。理科室からマッチが消えてしまうのがなんとも残念に思っていました。その程度でした!!
知れば知るほど面白くなってきました。
こんなすごい「教材」を消してしまったらダメだ。
強く強くそう思うようになりました。
またマッチに関する情報ありましたら、よろしくお願いします。<(_ _)>
投稿: 楠田 純一 | 2018/05/13 06:17