本日(2018/04/04)、第188回オンライン「寅の日」!!#traday #寺田寅彦
▼オンライン「寅の日」がはじまったのは2012年4月である。
従ってこの4月で7年目のはじまりということになる!!
思えば遠くへ来たもんだ!!
ほんの小さな思いつきだった。寅彦の書き遺してくれた随筆がとても面白そうに思えた。
それにアリガタイことに青空文庫でいつでも読める状態になっていた。
「面白くない」と思ったらいつでもやめようと思っていた。ところが読めば読むほどその面白さがわかってきた。
寅彦はいつ読んでも今日的である!!
▼7年目スタートの4月のテーマは、原点にもどって
【4月テーマ】 「寅彦を愉しむ」
で行く。読むのは随筆集『備忘録』である。
本日はそのなかの「金平糖」を読む。
◆ 本日(2018/04/04)、第188回オンライン「寅の日」!!
▼私は7年目スタートを祝してあらかじめ「金平糖」をネットで購入しておいた。
この随筆をはじめて読んだときの驚きと感動を今も忘れられない。
「(゜o゜)ゲッ!! そんなことが科学とツナガルの!?」
「面白い!!」
その感動をよりリアルに蘇らせるためにも現物が必要だと思ったのだ。
手に入れた金平糖を黒い紙の上にひろげておいて、この「金平糖」を読み始めた。
中に心核があってその周囲に砂糖が凝固してだんだんに生長する事にはたいした不思議はない。しかしなぜあのように角(つの)を出して生長するかが問題である。
驚きだ!!
角があるから金平糖!!それがアタリマエと思ってきた。
それがどのようにしてできるか、なんて考えたことなかった。それを問題にすることがすごく新鮮で斬新に思えた。そして次のようにたたみ込まれると、そこはすっかり寅彦の世界だった。\(^O^)/
物理学では、すべての方向が均等な可能性をもっていると考えられる場合には、対称(シンメトリー)の考えからすべての方面に同一の数量を付与するを常とする。現在の場合に金米糖が生長する際、特にどの方向に多く生長しなければならぬという理由が考えられない、それゆえに金米糖は完全な球状に生長すべきであると結論したとする。しかるに金米糖のほうでは、そういう論理などには頓着(とんちゃく)なく、にょきにょきと角を出して生長するのである。
さらには
これはもちろん論理の誤謬(ごびゅう)ではない。誤った仮定から出発したために当然に生まれた誤った結論である。このパラドックスを解く鍵かぎはどこにあるかというと、これは畢竟(ひっきょう)、統計的平均についてはじめて言われうるすべての方向の均等性という事を、具体的に個体にそのまま適用した事が第一の誤りであり、次には平均からの離背が一度でき始めるとそれがますます助長されるいわゆる不安定の場合のある事を忘れたのが第二の誤りである。
生半可な理解のまま思わずうなづいてしまうのである。(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
▼まだまだつづく。
おもしろい事には金米糖の角の数がほぼ一定している、その数を決定する因子が何であるか、これは一つのきわめて興味ある問題である。
ほんとうだろうか?
試しに角にサインペンで印をつけながら数えてみた!!数えた範囲では
22~24個の角があった。
寅彦の面白さは、身近な不思議からはじまってはてしなくどんどん拡がっていくところだ。
そういう意味から、金米糖の生成に関する物理学的研究は、その根本において、将来物理学全般にわたっての基礎問題として重要なるべきあるものに必然に本質的に連関して来るものと言ってもよい。
しかし今までのところまだだれもこの現象の成因について説明を試みた人はない。しかるにこの現象はその根本の性質上おのずから金米糖の生成とある点まで共通な因子をもっている。そしておそらく将来ある「一つの石によって落とさるべき二つの鳥」である。
金米糖の物理から出発したのが、だんだんに空想の梯子(はしご)をよじ登って、とうとう千古の秘密のなぞである生命の起原にまでも立ち入る事になったのはわれながら少しく脱線であると思う。
寅彦がこう書いたのは1927年(昭和2)!!
91年の月日が経った。
「金平糖の角の問題」はどこまで来たのだろう!? それが知りたい!!
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