【お薦め本】『ファラデー 実験科学の時代』(小山慶太著 講談社学術文庫)
▼私はまだこの小さな小さな疑問にこだわっていた。
ファラデーは『ロウソクの科学』(1860年)で何を使って火をつけたのだろう!?
「つまらない」「それがわかったからどうということはない」疑問だった。
でも私はそれが気になってしかたなかった。
▼この謎解きをするため、今一度、大元にもどってみようと思った。
そのために本棚から引っぱり出してきて読んだ本が、今回の【お薦め本】だ。
◆【お薦め本】『ファラデー 実験科学の時代』(小山慶太著 講談社学術文庫 1999.5.10)
今一度、ファラデーって?
ファラデーの活躍していた時代の科学とは?
そんなこと考えながら、概観するつもりで読み始めた。
そしてたら、あまりに面白くなってやめられなくなってしまった。そこで【お薦め本】にすることに決めた。
▼こんなときはダラダラ書いてしまいそうだ。
はじめにいつものようにお薦めポイント3つあげておこう。
(1) 人間ファラデーが豊富な資料で浮き彫りに描かれている。
(2) ファラデーの活躍した時代の科学史がとてもわかりやすい。
(3) ファラデーと現代物理学をツナイデくれている。
これさえあげておけば、あとは気の向くままだ。少しくわしく
(1) 人間ファラデーが豊富な資料で浮き彫りに描かれている。
私はそんなにたくさんの本を読んだわけではないが、著者のファンだった。
豊富な資料をもとに、そのときの「空気感」をもリアルに描くそんな文体がすきだった。
実はオンライン「寅の日」のネーミングを決めたときも『寺田 寅彦』(小山 慶太著 中公新書)が関係していた。
「寅の日」のヒントは著者にもらったとも言える。深謝!!
ファラデーにはあの膨大な「日記」があるが、それだけでなく「手紙」などの資料を豊富に駆使して、リアルに「ただのマイケル・ファラデー」を描いていた。
ほんとファラデーは惚れ直してしまう!!
(2) ファラデーの活躍した時代の科学史がとてもわかりやすい。
最初の私の小さな疑問に関してであれば、ここのところがメインだ!!
『ロウソクの科学』(1860年)のときの「科学」(化学)はどこにいたのか?
アリガタイ!! その点、実にわかりやすく説明されていた。
あらためて『ロウソクの科学』の偉大さを認識した。
▼最後はこれだ。
(3) ファラデーと現代物理学をツナイデくれている。
私は、40年以上「中学理科」ばかりにかかわって来て、ある確信を持っていた。
「中学理科」はファラデーできまりだ!!
「電気分解」「電磁誘導」「イオン」等々すべてが元をたどればファラデーに行き着いた。
「ロウソクの科学」の実験をみれば中学理科でやるほとんどの実験が出てくる!!
それもとてもわかりやすくていねいに!!
それだけではない!!
「高校理科」「現代物理学」ともちゃんとファラデーはツナガッテイル。
それを語ってくれているのがうれしい。
さあ、次は『ロウソクの科学』そのものだ。
小さな疑問の謎解きはできるだろうか。
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