36号コウガイビルはエサなしで7ヶ月生きのびた!! #コウガイビル
▼報告が遅れていることがあった!!
エサなし生きる36号コウガイビルのことである。
昨年の6月20日、庭の植木鉢の下で発見した36号君!!
わずかな水とともにナイロン袋のなかに入れてから、ついに年を越して7ヶ月がたってしまった!!
冷蔵庫から出してすぐは、冷たい風の吹く外の気温の方が低かったのかとぐろ巻いて動かなかった。
陽のあたるところにしばらく放置しておくと動き始めた!!
まちがいなくエサなしでも生きている!!
▼「このコウガイビルのからだのなかで何が起きているのだろう!?」
この「ふしぎ!?」に応える手段を私は持っていなかった。
ただただ「観察」を継続するのみだった!!
いやひとつだけ方法があった。他の人の「研究」を参考にすることだ。
手元にあって直接「コウガイビル」ふれた文献はたったひとつ。
◆『プラナリアの形態分化~基礎から遺伝子まで~』(手代木渉、渡辺憲二著、共立出版 1998.3.25)
である。
この本には
・「14.陸産プラナリア,コウガイビル種類・生態並びに形態分化」(P259~)
の章があった。そして私の「ふしぎ!?」に答えてくれる部分があった。
「14.9 飢餓と再生」(P275)にである。少し引用させてもらう。
コウガイビルの飼育では給餌が大切な要素となるが、餌に対しての反応は同一種内でも異なり積極的に摂取するグループとそうでもないものとがある。また長期間の飢餓に耐え、もとの体重の1/100に減少しても生存し続けることができる。このような生理的変化が、顕著な再生能をもつ本動物の器官形成にどのような影響を及ぼすのか、頭部再生の有無、形成所要時間、極性との関連について、採集直後の体重を100として、もとの30~40%に減少したグループを飢餓個体として実験を行った。 なお、飢餓個体の設定は、採集された個体のうち、何としても餌を食べないものがあり、かなりの期間絶食にも耐えられるが、やがて死に至る。体重減少と生存期間の長短は一定ではないが、採取後減少の一途をたどる体重は、ある時点で平衡状態となり、これ以降急激に減少して死ぬものが多い。体重が安定をみせる状態を越えると個体は死を迎えることから、この安定期(もとの体重の30~40%)を飢餓状態と考えた。これらの飢餓グループと採集まもないものとを次の実験により比較した。(同書P276より)
▼大いに参考になる。
36号コウガイビルは今、「飢餓状態」にあるのだろうか!?
では、いつまで生きのびることができるのだろう?
それはまだわからない。
そして、 元々の「ふしぎ!?」
「このコウガイビルのからだのなかで何が起きているのだろう!?」
はまだ見えてこない。
分子レベルまで溯って考えるならば
・食べるとは?
・生きるとは?
・飢餓状況とは?
▼「コウガイビル研究」最前線はどこまできているのだろう?
前著の章のまとめは
再生現象はもちろんのこと、生態的な問題についても未知の事柄が山積みしており、今後の研究材料としても充分な価値を有する動物であると思う(同書P281)
と結んであった。それから20年が経とうとしている。
「コウガイビル研究」の今が知りたい!!
それが少しでもわかるまで36号コウガイビルにはぜひ生きていて欲しいナ。
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