【お薦め本】『動的平衡 3』(福岡伸一著 木楽舎 )
▼昨日、ある一冊の本を読みながら、あいつのことがとても気になりだした。
あいつ、第36号コウガイビル!!
エサなしでナイロン袋の中に入れてからまもなく6ヶ月だ!!
まだ生きていてくれるだろうか!?
そっと、冷蔵庫から出してみた。
黒いかたまりはやがて動きはじめた。
イチョウの葉のような逆三角形の頭をヒラヒラされながら。
生きている!!まちがいなく生きている!!
自らを「食べ」ながら、日々いや時々刻々自らのからだをつくり変え、更新つづける!!
それが生きているということ!!
これぞ 「動的平衡」 そのもの!!
▼読んでいたある一冊の本とは『動的平衡3』だ。
シリーズ第3弾 待望の一冊だった。
◆【お薦め本】『動的平衡 3~チャンスは準備された心にのみ降り立つ~』(福岡伸一著 木楽舎 2017.12.1 ) 私は福岡伸一の大ファンである。
書いてあることをどこまで理解しているかは別にして、この人が書いた文章を読んでいるとなにか胸にストンとはいてくるものがあるのである。巧みな文章もさることながら、何かが…。
『動的平衡』ときも、『動的平衡2』のときもやはりそうだった。そのときのことを「記録」に残していた。
◆サイエンスコミュニケーター宣言(94)(2011.12.22)
▼さて、6年ぶりの『動的平衡3』はどうだったのだろう。
いつものようにお薦めポイントを3つにしぼってあげる。
(1) 「動的平衡」は哲学である!! と教えている。
(2) 生命科学最前線の今を巧みな文章で語っている。
(3) 今、最も面白い大人の「科学読み物」である!!
さあ、少しダラダラとはじめよう。
(1) 「動的平衡」は哲学である!! と教えている。
分子生物学者・福岡伸一が辿り着いた「動的平衡」も進化していた。『生物と無生物のあいだ』からだともう10年になる。
「動的平衡」の概念は、生命科学のみならず私たちの「すべてのものの見方」を変えてくれた。
この本では著者はこう語っていた。
そもそも、私がめざしているのも、役に立たないことなんだ。科学の最終目的は、「生命とはこうなっている」とわかりやすい言葉で語ること。それが語られても役に立たないし、お金儲けにもつながらない。しかし、人生に、ある種の解答を与えられるはず。だからこそ私は、何とかそれを語ろうと努力を続けている。(同書p10より)
これはもう「哲学」だ!!
▼次に行こう。
(2) 生命科学最前線の今を巧みな文章で語っている。
不勉強な私は、「生命科学最前線」などと言うと遠い話でしかなかった。ところが福岡伸一の話を聞くと(読むと)、「ああ、そういうことだったのか!!」と納得することが多い。
生命科学最前線が「等身大の科学」になるだ。これはアリガタイ!!
授業でも大いに利用させてもらってきた。
たとえば本書にもたびたび登場する「人間は考えるちくわである」などは実際にちくわを持って行って語ったこともある。
先のコウガイビルもそうだった。「動的平衡」で見ると、あいつの「生きている」が見えてきた。
(3) 今、最も面白い大人の「科学読み物」である!!
『動的平衡』には興味深いサブタイトルがついていた。
・『動的平衡』 ~生命はなぜそこに宿るのか~
・『動的平衡 2』 ~生命は自由になれるのか~
・『動的平衡 3』 ~チャンスは準備された心にのみ降り立つ~
今回もまた、面白そうなサブタイトルだ。「生命は」の文言がない
それは象徴していた。
「生命科学」に限らず、「動的平衡」を切り口にしながら、多岐多様な世界を論じていた。
実に面白い大人の「科学読み物」となっている。
興味ある話から読んでいくのもよいかも知れない。
『動的平衡 2』のときの感想にもあげたが著者にリクエストがある。
ぜひ子ども向け「科学読み物」としての『動的平衡』を書いて欲しい!!
もちろん真っ先に読ませてもらいますので…。
目の前の一枚だけになってしまった柿の枯れ葉、なかなか落ちないどうしてだろう!?
不思議だ。
| 固定リンク
コメント