【お薦め本】『時を刻む湖』(中川 毅著 岩波書店)
▼師走の「大賀ハス観察池」には氷が張っていた。蓮根の植え替えから32週目であった。
師走の「水月湖」はどうなっているだろう!?
「水月湖」!!
と聞いて思い出すひとつの小さな旅があった。
長く長く追い続ける「「丹生」を追う」旅の一コマだった。
この夜、泊まったのがたしか「水月湖」湖畔、いや湖上!?
▼そのときすでに文部科学省研究振興局会議室で異例の記者会見が開催されて(2012.10.18)、翌日には次のように新聞報道されたそうである。
「福井の湖 考古学の標準時に 過去5万年 誤差は170年」
「世界一精密な年代目盛り=福井・水月湖、堆積物5万年分ー日欧チーム」
だから私が「水月湖」湖畔にとまったときは、すでに世界の「レイク・スイゲツ」になっていたのである。
なんかモッタイナイことをした気分だ。(^^ゞポリポリ
それを教えてくれたのが今回の【お薦め本】だ。
◆【お薦め本】『時を刻む湖』(中川 毅著 岩波書店 2015.09.09)
実に面白かった!!
モッタイナイことをした気分を少し取り返すことができた。
▼こんな興味深い話に意識が行っていなかったのはやっぱりポンコツ度が増してきている証拠かも知れない。
本を読むのも、ほんと少なくなっていた。よほど面白い本でなければ、最後までいっきょに読むことはなくなってしまった。そんななかで、この本は例外だった。
最初に例によってお薦めポイント3つをあげてしまおう。
(1) 「科学」研究の面白さが熱く語られている!!
(2) 水月湖の「年縞」が世界の「標準時計」になったプロセスがわかりやすく語られている!!
(3) 最前線「研究」の現場を当事者が生々しく語っている!!
・地道な作業の連続
・ヒューマンネットワークの重要性
・「真実」への欲望
・「研究」の連続性、継続性
▼よく分かっていない人間のヘタな紹介はいらぬ「蛇足」になってしまう。
今回は特にそう思う。
でも、ひとつだけ著者の言葉を引用させてもらおう。
「若者の理科離れ」などと言われることもあるが、真に挑戦的な科学には必ず当事者の血を沸き立てさせる要素があり、その魅力には普遍性があると信じている。私たちが実際に味わった興奮の一部を、本書を通して少しでもお伝えすることができれば、水月湖に深く関わった者として非常に嬉しく思う。(同書P4より)
関連して次の資料は必見だ!!
◆奇跡の湖『水月湖の年縞』(福井県)
◆世界標準時計 福井の「年縞(ねんこう)」(解説映像 福井県)
さあ、今度若狭を訪れたときは必ず湖底を想像しながら「水月湖」をながめてみようと思う。
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