【お薦め本】『誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方』(野島高彦著 化学同人 )
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「記憶せずに記録する」(『知的生産の技術』梅棹忠夫著より)
まずは「記録」しておこう。
「大賀ハス観察池」は蓮根の植え替えから15週目だった。第4号大賀ハスの果托が風にゆさぶられ一粒の実が落ちた!!他の実も果托のなかでゴロゴロころがりはじめた。もう限界だと判断した。このままにしておくと落下して紛失しまう。
ピンセットで回収した。完熟したものは全部で10粒あった。
第3号、第6号の果托もあとにひかえていた。
▼「記憶せずに記録する」を徹底して実践する尊敬すべき友人がいた。ヒガンバナの「ふしぎ!?」を一緒に追いかける野島高彦さんである。毎週欠かさず報告されてる「鉢植え彼岸花の観察日記」には感服するばかりである。
そんな野島高彦さんがたいへん興味深い本をだされた。それが今回の【お薦め本】である。
◆【お薦め本】『誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方』(野島高彦著 化学同人 2017.7 )
▼お薦めポイントはありすぎる!!
話が拡散してしまわないあいだに例によって3つをあげる。
(1) 「研究」に携わるすべての人にかならず役に立つ!!
(2) 何をどのように「記録」するのかをやさしく教えてくれている!!
(3) 「実験ノート」の可能性・有効性を「これから」も視野に入れ熱く語っている!!
ではひとつずついこう。
(1) 「研究」に携わるすべての人にかならず役に立つ!!
著者は「はじめに」こう語る。
この本は、実験ノートを上手に利用して研究活動をスムーズに進めていくための考え方をガイドブックです。主な読者として想定しているのは卒業研究をおこなうために研究室に配属になったばかりの大学生です。(同書 p1より)
ちがう!!
それはこの本を読んでの第一感想だ。もちろん想定の大学生に役に立つことはまちがいはないが、それだけではない。卒業研究なんてはるか40年以上昔のポンコツの私にも役に立つと思った。
タイトルにもあるように、このようなことは「誰も教えてくれなかった」のである。それはどこか暗黙の了解ですまされてきたところがあるのだ。卒業研究前にこの本を読んでいたら、私の人生も変わっていたかも知れないな。(ちなみに私の卒業研究テーマは「タンパク質コラーゲンの熱収縮温度について」だった。)
\(・_\)ソノハナシハ (/_・)/コッチニオイトイテ
感心したのはとてもわかりやすく簡潔に書かれていることだ。
これなら大学生でなくても、それこそ「自由研究」をすすめる中高生に読めるのではと思った。
だからレベルが低いということではけっしてない。野島さんは「卒業研究」を指導するバリバリ現役の大学の先生である。だからこそ今、何をこそツタエルべきかをもっとも心得ていた。
語れば語るほど「蛇足」になるような気もするがつづける。
(2) 何をどのように「記録」するのかをやさしく教えてくれている!!
「記録」せよ!!ばかりを繰り返しても意味はない。
「何を」「どのように」に「記録」するのか、それが問題である。
わかっているつもりの人も、今一度、この本を手にしてみることをお薦めする。
▼いつも野島さんに教えられるのは「これから」を語っておられることだ。
(3) 「実験ノート」の可能性・有効性を「これから」も視野に入れ熱く語っている!!
いつも「これから」が視野に入っていた。
「実験ノートを中心にさまざまな情報をリンクさせましょう」(同書 p92)
などを読ませてもらうと未来志向の「実験ノート」が見えてくるのである。
「実験ノート」の電子化問題についてもくわしく語られている。
繰り返す!!
「これから」の「研究」に興味あるすべての人にお薦めである!!
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