【お薦め本】『地球は本当に丸いのか?』(武田康男著 草思社)
▼昨日、「ある一文」に出会うことによって2年前の夏に見た「富士山5合目からの日の出」の感動を思い出していた。
それは『武田康男先生と行く 空の不思議「富士五合目」ツアー』の二日目のことだった。このツアーでは最高の「雲見」「宇宙見物」ができた。今も見たものの数々が鮮明に蘇ってくる!!
その日の朝の行動開始は早かった。想像以上に寒かった。しかし、そんなことはいっさい苦にならなかった。
待ちに待ってあの瞬間を見たのだから。感動であった!!
「ある一文」を読んで今さらであるがトンデモナイ勘違いに気づいた。
▼その「ある一文」が載っているのが今回の【お薦め本】である。
◆【お薦め本】『地球は本当に丸いのか?~身近に見つかる9つの証拠~』(武田康男著 草思社 2017.6.22)
その文とはこうだ。
「富士山五合目からの日の出」
標高2300mの富士山五合目から見た日の出です。この標高になると、見かけの地平線を見下ろす角度は1.4度程度になりますが、これほど地平線を見下ろす経験はあまりありません。地平線が霞んでよくわからないこともあり、見ている人たちは空のオレンジ色の部分から太陽が出ると思って待っていたようです。予想外に下から太陽が顔を出して驚いていました。(同書 p27 より)
私はこの文を読んで、このとき「下手な鉄砲」方式で撮りまくった写真をもう一度見直してみた。確かに「地平線」から太陽が顔を出していた。
▼私はこの本を予約注文しておいて手に入れた。表紙を見て面白そうに思えたからである。
届くなりいっきょに読んでしまった!!やっぱり面白さは想像以上だった。書き始めたら話はいくらでも拡散してしまいそうなので例によってお薦めポイント3つをあげておく。
(1) アタリマエを「科学する」ことの面白さを教えてくれている!!
(2) 美しい貴重な写真とわかりやすいイラスト!!
(3) 自分でも「地球は丸い」証拠をみつけたくなる!!
ひとつずついこう。
(1) アタリマエを「科学する」ことの面白さを教えてくれている!!
「地球は丸い」このアタリマエ!!
「ではその証拠をあげよ」と言われて咄嗟に出てくるのはせいぜい2つ3つだ。そんなとても9つもあげることはできない。それにあげた2つ3つにしても詳しく問われるあやしい。
アタリマエすぎるほどアタリマエのことはそんなものなのかも知れない。しかし、この本はちがっていた!!
アタリマエをアタリマエと流さず、きっちりと具体的に「科学」していた。
「科学する」ことの面白さを教えてくれていた。
たとえばこうだ。
「高いところにあがれば遠くまで見える」これだってアタリマエのこと考えている。「ではどのぐらい遠くまで?」とさらに問われれば答えることできない。
この本ではこの問いに対して具体的数値をあげてくれていた。
「さまざまな高さからの水平線・地平線までの距離」(同書p11より)
その計算方法についても巻末コラム「水平線までの距離を計算する」(同書p62)で説明してくれている。
うっとうしいはずの数式が面白く感じてくるから不思議である。
アタリマエの「科学」に納得し・感動するのである。(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
著者自身の言葉を借りよう。
「地球は丸い」という、当たり前なのに実感できないことを、私が撮影した写真や図などを用いて、できるだけわかりやすく解き明かしたつもりです。身近でわかりやすい現象や、ちょつとおもしろい現象を題材として扱いました。(同書「はじめに」p3より)▼次に行こう。 (2) 美しい貴重な写真とわかりやすいイラスト!! 空の写真家・武田康男さんがこれまで撮りためてきた写真は膨大である。これまでもずいぶんそれを楽しませてもらってきた。深謝。 もちろん量が膨大なだけではない。武田さんでなければ撮れていない貴重な画像を蓄積されているのである。 地球上であればどこでも「ねらったもの」が撮れるのであれば瞬時に駆けつける!! 今回も世界各地(南極、飛行機からも含む)で撮った美しい貴重な写真が満載だ。 さらに今回はイラスト(図)がとてもたくさん使われている。それがとてもわかりやすいのだ。言葉だけではなかなか理解できないところをうまく図解されている。武田さんの説明はいつもほんとうにわかりやすい。さすがだ!!
最後に
(3) 自分でも「地球は丸い」証拠をみつけたくなる!!
この本を読めば、きっと「では私も…」という気持ちになるだろう。
ひょっとしたら、自分が撮ってきた写真のなかに「地球は丸い」証拠写真を発見できるかも知れない。
巻末コラム「地球の大きさを測る」(p60)は夏休み「自由研究」のヒントになるかも知れない。
この夏、山、海にでかけ前にぜひ読んでおきたい一冊だ!!
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