新・私の教材試論(114)
▼昨日の「雲見」は、「一日でいちばんきれいな空」からはじまった。
雲のない青空もうれしかった。
大賀ハス観察池は蓮根の植え替えから36週目であった。
朝、冷え込んではいたが霜も氷もまだだった。
さて、それはいつなんだろう?
▼途切れ途切れになっている「200℃の水蒸気」物語をつづけよう。
具体的にはどのようにして、「200℃の水蒸気」をつくり出したのだろう?
どんな実験装置を考えついたのだろう。
またまた
◆物質の原子論―生徒と創造する科学の授業 (プロジェクトサイエンスシリーズ)(古川千代男著 コロナ社 1989.5.10)
を参照させてもらう。
せっかく100℃の「水蒸気」をつくり出しても、すぐに冷えて湯気(水滴)になってしまう。そうさせないためには「水蒸気」の再加熱することが必要であった。
どんな方法を考えたのだろう?
(a)水蒸気丸底フラスコを通して加熱
(b)水蒸気の通るガラス管を加熱
(c)銅板を巻く
(d)銅管を手に入れた
段階を追って進化していった。
そして、銅管を手に入れることによって、実験装置は飛躍的に進化した。
▼ここでまた古川先生はたいへん興味深いことを語っていた。
ちょうどその頃、船具屋さんの家庭の生徒がいたので、船舶用のエンジンの銅パイプを探して欲しいと頼んでみた。家の近所の船舶エンジン修理工場にあるとのことでさっそくたずねてみた。新品は高いが中古ならやすくしてくれるというので、2mほどわけてもらった。 生徒たちの家業を知っておくのも大切なことだと思う。それぞれの専門で使っている器具や道具など大変便利なものが多い。配線に使う圧着端子など早い時期に教えてもらったのも、熱に強い磁器のソケットを手に入れたのも、生徒の家庭からだった。教科書に載っているような古いものではなく、最新鋭のものがある。商売なのだから当たり前なのだろうが、家庭との連携というのは生活指導だけのことではない。(同書p78より)
ここに教材・実験開発の材料の入手に関しての大いにヒントになることがあるのではないだろうか。
今はずいぶん便利になって、何でもネットを利用して簡単に入手することもできるだろう。100円ショップ・ホームセンターのぞけば安価で簡単に手に入るモノも多い。
それはそれなりとてもうれしいことである。
しかし、ここで語られている教材の入手をめぐっての家庭をも含め入手のためのネットワークづくりはとても大切で、単にモノを入手するだけでなく、それ以上のものを手に入れることができるのかも知れない。
それよりなにより「物語」が生まれるが面白い!!
だから、「これから」もきわめて有効な方法と言えるだろう。
さらに、
「それぞれの専門で使っている器具や道具など大変便利なものが多い。」
「最新鋭のものがある。商売なのだから当たり前なのだろうが」
この言葉の意味するところは、「3H(ホット・本質的・ホンモノ)の法則」のひとつのH(ホンモノ)を示唆しているのではないだろうか。
▼銅管を入手して、実験装置はさらに進化した。
熱効率をあげるため銅管をらせん状に巻きそこを集中的に加熱するようになった。
これで安易に「200℃の水蒸気」は実現したのだ。
そして「200℃の水蒸気」でマッチに火をつけるというあの驚異の実験も可能になったのである。
さらにはすでに気体の「空気」「二酸化炭素」ではどうだろうか?
と考えるまで発展していったのである。
そして、今、三態変化「定番」実験として教科書にもアタリマエのように登場しているのである。
くどくなるが、もう一度繰り返す。
●すぐれた教材(実験)には必ず興味深い「物語」がある!!
●すぐれた教材(実験)は、授業の文脈(コンテクスト)から生まれた!!
●はじめに文脈(コンテクスト)ありき!!
(つづく)
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