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【お薦め本】『クモの糸でバイオリン』(大﨑 茂芳著 岩波書店)

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▼玄関先にさんざん迷ったあげく産卵したあのジョロウグモのネットをそのままにしていた。彼女がまちがいなくそこに居たという証拠に残して置きたかったのだ。背の高い来客にはとんだ迷惑かも知れない。
 そう考えるとそろそろ撤去すべきときが来ているのかも知れない。
 その前にきっちり写真を残しておこうと昨日の朝カメラを向けた。
 (゜o゜)ゲッ!!誰か居る。
 彼女が帰ってきたのだろうか?
 それにしても位置がおかしい。「こしき」と言われるセンターではない。
 彼女に訊いても答えてはくれなかった。別のジョロウグモに訊いてもなにも教えてくれなかった。
 夕方にはその場所から姿を消していた。
 
 私のシロウト「クモ学」もまだまだだ。

▼私は毎日の散歩のついでに近くの図書館に寄る。先日、その図書館の新刊の棚にとても気になる本が並んでいた。パラパラとめくってみた。
 実に面白そうだ。ふつうだったらそこで読ませてもらうか、貸し出してもらって読むのだが、クモに関する本はそうは行かなかった。いつでも手元においておきたかったのだ。
帰ってさっそくAmazonで注文してみた。
 
◆『クモの糸でバイオリン』(大﨑 茂芳著 岩波書店 2016.10.5)

 やっぱり正解だった!!
 読み始めるとどまらなくなってしまった。
 【お薦め本】にあげることによってこの「感動」を記録しておくことにする。
 例によってお薦めボイントは3つに絞りこんでおく。

(1)究極の「クモ学」のすすめ!!

(2)道楽的科学研究の面白さを教えてくれている!!

(3)ホンモノはツナガル!!を教えてくれている!!
  ~「クモ学」から「音の匠」まで~

▼それでは興奮をおさえながらひとつずついこう。
(1)究極の「クモ学」のすすめ!!
 私のシロウト「クモ学」は、3年前の夏、偶然「コガネグモの狩り」を目撃したことに始まる。
それまでまったくクモなどには興味はなかった。しかし、今は思う。
 還暦すぎるまでこんな凄い生きものが身近に暮らしていることになぜ気づかなかったのだろう!?
 それがいちばん「ふしぎ!?」だ。
 そのシロウト「クモ学」をはじめたころ、同著者の一冊の本に出会っていた。
・『クモの糸のミステリー―ハイテク機能に学ぶ 』(大﨑茂芳著 中公新書)
である。
 この一冊によって大いに私の興味・関心に拍車がかかった。
 著者のクモとのつき合いは40年になるという。もう年季がちがっていた。
 クモのことなら知り尽くしておられる。それだけではない、クモへの思い入れ、そんな言葉が正しいか
はわからないが、「愛情」をもってつき合っておられた。それがこの本の随所に見られる。
 たとえば、クモから牽引糸をとるとき、こんなことばあった!!

 そこで、クモが糸を出してくれる環境づくりが必要となる。重要なのはクモとのコミュニケーションだ。このポイントを体得するのに、約5年もの歳月がかかってしまった。  クモとのコミュニケーションなど、ほとんどの人は疑ってかかるだろう。しかし、クモは糸をとり出す人の精神状態や動作に敏感に反応しているのだ。(同書p16)

5年か!?
私のクモとのつき合い歴は4年目。
道理で昨日のジョロウグモはなにも答えてくれなかったわけだ。
▼次にいこう。
(2)道楽的科学研究の面白さを教えてくれている!!
 「道楽的科学研究」こんな言い方はこれまた著者に失礼なのかも知れない。
 大﨑先生の専門は「生体高分子学」である。プロの研究者・科学者である。
だから、「クモ学」の研究も科学研究の手順をきっちり踏んでおられた。
 作業仮説を立て、繰り返し繰り返し実験をする。そして次々と謎解きをしていく。
感服するばかりだ。
 私が特に感動したのは「「2」の安全則」(p28)を導き出すところである。
そして、今回はクモの糸を弦としたときの独特の「よい音」の原因を、「弦のユニークな構造」にあることを発見するところだ。(p80)
それだけでない!!そこが「道楽的科学研究」の面白いところだ。
・クモの糸に人間がぶら下がる!!
・クモの糸でトラックを牽く!!
一見派手なパホーマンスに見えるかも知れないが、それが面白いのだ。
「到達点」を明確にされているために、具体的に研究目標が「見える化」されているのだ。
それが、多くの人に「科学」することの面白さを伝えることになっている。

(3)ホンモノはツナガル!!を教えてくれている!!
  ~「クモ学」から「音の匠」まで~
次はなんと、
・クモの糸を弦にしてバイオリンを弾く!!
という。
 ひよっとしたらそんなこと思いつく人は他にもいたかも知れないが、実際にやった人は大﨑先生がはじめてだろう。
 ともかくやることなすことがハンパではなかった。
 バイオリンの購入、バイオリンの歴史を調べ尽くす。
 さらには、自らが弾くためにバイオリンのレッスンに通う!!(゜o゜)ゲッ!!
 名器「ストラディバリウス」との出会い、バイオリンのスペシャリストとの出会い、論文発表等々
 そして、ついには日本オーディオ協会顕彰「音の匠」の受賞!!
 もう感嘆するばかりだ!!
 教えてくれている。 ホンモノはツナガル!!と。

 私にまたひとつあらたな夢が生まれた。
大﨑先生のバイオリンの生演奏が聴きたい!! 

 ヘタな紹介はこれぐらいしておこう。最後に「おわりに」の一文を引用させてもらう。

 私の一連のクモの糸の研究は、そもそも趣味からスタートしたため、研究に期限が切られておらず、すぐに成果を求められないために、いろいろと違った角度からのアプローチもできた。その結果、クモは面白いことをみつけさせてくれる私の大事な師でもあった。特に、楽しみながら研究し、また多くの新しいことに遭遇し、感動を覚える機会を与えてくれたクモたちに感謝したい。(同書p113)
 

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コメント

楠田先生、こんにちは。

 鈴木勝浩です。
 
 「クモの糸でバイオリン」

 早速、注文します。

 知りませんでした。

 ご紹介、本当にありがとうございます。

投稿: 鈴木勝浩 | 2016/11/17 18:03

鈴木勝浩さん
いつもコメントありがとうございます。
私の「クモ学」の師匠にそんなふうに言われたら書き甲斐がありました。うれしいです!!
 鈴木さんの感想もぜひ聞きたいです。

投稿: 楠田純一 | 2016/11/17 20:57

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