【お薦め本】『雪と氷の図鑑』(武田康男著 草思社 )
▼「初霜」!?
朝の散策に出かける前に外に出たら、田んぼに白いところが見られた。畦もところどころ白いところがある。全面にということではなかった。
畦の草に近づいてカメラを向ける。
確かに霜だ!!
私が観察した範囲ではこれが「初霜」だ。不思議なことに霜が降りているのはすべての草にということではなかった。
なぜだろう?霜が降りやすい草とは…?
田んぼのなかに降りた霜もよく見ると特定の場所にかぎられていた。霜が降りいるのは稲刈りのあとの藁クズが残っている場所に限られていた。
これまたどうしてだろう?
ここに「霜はどのようにしてできるのか」の謎解きのヒントがあるように思われてきた。
霜が降りる臨界点は?
条件は?
▼いよいよこの季節がはじまった!!
実は私はこのときを待っていた。この季節がはじまったら【お薦め本】にあげてぜひとも紹介したい本があったからだ。その本とは
◆『雪と氷の図鑑』(武田康男著 草思社 2016.10.19)
である。
これまでにもたくさんの雲・気象の本で楽しませてもらってきた「空の写真家」武田康男さんの近著である。
面白いだろうなとは予想していた。
出されると同時に手に入れていた。しかし、すぐには読み出さなかった。それは変なたとえだが、お弁当に入った「卵焼き」を最後の楽しみとっておくみたいなものだ。
本格的な冬到来を待っていたのだ。
先日から読み始めたらいっきょに読んでしまった。
やっぱり予想通りだった!!いやそれ以上だった!!
またまたダラダラにならぬようにはじめに3つのお薦めポイントをあげておく。
(1) これまでにはなかった本(図鑑)である!!
(2) 貴重な画像がいっぱい楽しめる!!
(3) 必ず自分でも実際に観察したみたいと思わせてくる!!
▼まずひとつめだ。
(1) これまでにはなかった本(図鑑)である!!
これはヘタな私の言葉をならべての紹介より、著者自身の言葉を引用させてもらうのがいちばん的確であろう。
これまで私は、いろいろな気象の本などを出版してきましたが、雪や氷はそれらの本でもおまけのような扱いでした。しかし、雪や氷をまとめた本をつくってみたいという気持ちがずっとありました。本屋には、気象の本がいろいろあっても、雪や氷に関するやさしい本は多くありません。また、雪は氷は身近にあるのに学校教育などで学ぶ機会も少ないのです。 この本では、雪や氷のさまざまな姿を、私がこれまで撮影してきた写真で紹介するとともに、少しの科学的説明と、現地で感じた雪や氷の世界を伝えています。 実際にはさらに膨大な写真がありますが、項目や写真を厳選して、中学生から読めるようなわかりやすい説明にしました。(同書「はじめに」p5より)
これでこの本のすべてが語られていると言っていいだろう。
武田さんが意図したことはみごとに成功している!!
説明も言葉にあるとおりとてもわかりやすいです。中学生が読めばきっと理科の授業で学ぶ「水の三態変化」のほんとうの意味を豊かに理解することになるでしょう。
中学生のみならず、「大気の物理学実験室」に暮らすすべての人が感動をもって身近な冬の「自然」を見直すことになるでしょう。
と言う私もはじめて知ったことがいっぱいありました。付箋をはったいくつかならべてみる。
・地球上の氷の89.3%もが南極大陸にある!!
・「御神渡り」のでき方
・今さらであるが、氷はどこからはるのか!?
・人が住んでいる家の方がつららはできやすい。
・「4℃の水がいちばん重い」ことのほんとうの意味
・霜と霜柱のちがい!?
・霜柱の「ふしぎ!?」
・雪霰の方が大きな雨粒に
・雲がなくても霜はできる!!
・雪が落ちてくるのに30分かかる。
・雪の樹枝状結晶が見られる条件とは
・日本は世界でもまれな豪雪の地
・南極の雪結晶は世界一美しい!!
等々です。
次に行こう。
(2) 貴重な画像がいっぱい楽しめる!!
武田さんは、「空の写真家」であると同時に「空の探検家」でもあります。
だから、「この画像が撮りたい」と思えば、日本全国のみならず地球上のどこでもいつ何時でも出かけて行きます。現に第50次南極地域観測越冬隊員としても活躍されました。
だから、南極の雪や氷の貴重な写真もいっぱいあります。それだけで十分凄いと思ってしてしまうのですが、さらにもっと感動してしまうのは、身近な「氷や雪の世界」にも注目した写真がいっぱいあることです。ほんとうの面白さを知り尽くした武田さんならでは「貴重な」写真がいっぱいです。
読み終えた私は思いつきで、勝手に個人的な写真展を企画してみることにした。(^^ゞポリポリ
題して
◆武田康男「身近にもある 驚異の雪と氷の世界!!」
この写真展では、私のお気に入り写真のいくつかを選んでみることにした。
最初は「お気に入りベスト3」をと思ったが、それはさすがに無理だ。「お気に入り」がありすぎる!!
そこでせめて「お気に入りベスト5」とすることにした。
[ベスト1] どんぐりを持ち上げる霜柱(写真3-5)
[ベスト2] 下に伸びた氷(写真1-13)
[ベスト3] 流される雪(写真7-4)
[ベスト4] 巻き垂れ(写真11-9)
[ベスト5] 透明なしぶき氷(写真2-6)
次点その1 後退する氷河(写真6-7)
次点その2 光沢のある氷の花(写真3-8)
何度も迷い選び直したが一応こういうことにしておく。
あなたならどれを選びますか?
▼最後にもうひとつだけ。
(3) 必ず自分でも実際に観察したみたいと思わせてくる!!
ほれぼれとする写真を見せてもらっているうちに、「ぜひ、自分でも…」と思い始めた。
「こんなすごい写真は撮れないまでも、意識をして見てみればひょっとしたらひとつぐらいは観察できるかもしれない。」と思いだした。
「初氷」がはるまでに、バケツに水を入れて庭に置いておこう!!
毎冬霜柱がみられるのはどこだったかな?
今年は西日本も寒くなるとか…
寒い冬だが少し楽しみになってきた。o(^o^)o ワクワク
ちなみにいつもの図書館の新刊棚にはいちはやくならべてありました。
学校図書館にはまだならぜひとも…。
ちょっと気が早いかも知れないがクリスマスプレゼントに最適かも。
さあ、今朝も霜が降りているかな!?
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