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本日(2016/11/16)、第144回オンライン「寅の日」!!#traday

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▼私は今、「自然結実」ヒガンバナの花茎を群生地から採集してきて、採集日・採集地ごとに分けてペットボトルやのりの瓶で「水栽培」をしている。
 こうして「完熟」を待っているのである。ところが「目玉オヤジ」状況から、「完熟」種子がむき出しになっても即、落下することはなかった。なかなかねばるのであった。
 ところが昨日(2016/11/15)午前に異変が起こった!!
 次々と地面に落下しはじめたのである。北風がきびしくなる前で、風もほとんどないのに…
 ついに落下した完熟「種子」は半日ほどのあいだに11個にもなったのである。
 「ふしぎ!?」だ。

 寺田寅彦の随筆「藤の実」のなかの「潮時」を思いだした!!

それはとにかく、このように植物界の現象にもやはり一種の「潮時」とでもいったようなもののあることはこれまでにもたびたび気づいたことであった。

▼そう、本日(2016/11/16)はその寅彦を読む日である。
第144回オンライン「寅の日」だ。
 10月のテーマは【理科の部屋】誕生月にちなんで
●寅彦と「科学教育」(理科教育)
である。その第二弾として「科学者とあたま」を読む。

◆本日(2016/11/16)、第144回オンライン「寅の日」!!#traday

●「科学者とあたま」(青空文庫より)


「科学者とあたま」はもっともお気に入りの随筆だった。
現に、このオンライン「寅の日」でも、これまでに第8回、第49回、第65回、第81回と四度も読んできていた。
 従って、今回は五度目と言うことになる。
 何度読んでもいつでも新鮮で今日的であるというのが寅彦だ!!
 あらたな気持ちで読み始める。

 しかしまた、普通にいわゆる常識的にわかりきったと思われることで、そうして、普通の意味でいわゆるあたまの悪い人にでも容易にわかったと思われるような尋常茶飯事さはんじの中に、何かしら不可解な疑点を認めそうしてその闡明せんめいに苦吟するということが、単なる科学教育者にはとにかく、科学的研究に従事する者にはさらにいっそう重要必須ひっすなことである。この点で科学者は、普通の頭の悪い人よりも、もっともっと物わかりの悪いのみ込みの悪い田舎者いなかものであり朴念仁ぼくねんじんでなければならない。

 やっぱり膝をたたくことしきりである!!

自然は書卓の前で手をつかねて空中に絵を描いている人からは逃げ出して、自然のまん中へ赤裸で飛び込んで来る人にのみその神秘の扉とびらを開いて見せるからである。  頭のいい人には恋ができない。恋は盲目である。科学者になるには自然を恋人としなければならない。自然はやはりその恋人にのみ真心を打ち明けるものである。
科学の歴史はある意味では錯覚と失策の歴史である。偉大なる迂愚者うぐしゃの頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である。

▼科学教育にもきわめて示唆的なこと多く語っていた。

頭がよくて、そうして、自分を頭がいいと思い利口だと思う人は先生にはなれても科学者にはなれない。人間の頭の力の限界を自覚して大自然の前に愚かな赤裸の自分を投げ出し、そうしてただ大自然の直接の教えにのみ傾聴する覚悟があって、初めて科学者にはなれるのである。しかしそれだけでは科学者にはなれない事ももちろんである。やはり観察と分析と推理の正確周到を必要とするのは言うまでもないことである。

一貫して科学教育者(理科教師)に対してもきびしい言い方をしていた。
最後もこうだ。

 この老科学者の世迷い言を読んで不快に感ずる人はきっとうらやむべきすぐれた頭のいい学者であろう。またこれを読んで会心の笑えみをもらす人は、またきっとうらやむべく頭の悪い立派な科学者であろう。これを読んで何事をも考えない人はおそらく科学の世界に縁のない科学教育者か科学商人の類であろうと思われる。
 

 随分と皮肉な表現である。しかし、私はこれは「頭の悪い理科教師」に向けての、寅彦からの思いを込めた熱きエールだと思っている。
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