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【お薦め本】『庄司和晃先生追悼 野のすみれさみしがらぬ学立てよ』(全面教育学研究会編刊 )

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▼「雲見」は実に面白い自然観察だ。
いくらやっていても飽きることがない。それにとても奥の深い「科学」だ!!
「雲見」が秋の深まりを教えててくれていた。
賢治の「雲見」と寅彦の「宇宙見物」で自然観察の楽しみは何倍にも膨らんでいく。
これらを見逃したら
人生 モッタイナイ!!
▼季節が移りゆくのははやいもんだ。
 はやくも「庄司和晃先生を偲ぶ会」から一ヶ月近くが過ぎようとしている。
今回の【お薦め本】は、この会を機に刊行された。

◆ 『庄司和晃先生 追悼 野のすみれさみしがらぬ学立てよ』(全面教育学研究会編刊 2016.09.18 )

である。この会に参加した日から、ちびりちびりと読み進めてきた。
やっと昨日終った。ずいぶんゆつくりな話だ。
 元来遅読なこともあるが、なにかいっきょに読んでしまうのが「モッタイナイ」気がしたのだ。願わくば終らないで欲しいとまで思う面白く、興味深い本だった。久しぶりに興奮しながら本を読んだ。

 そこで【お薦め本】にすることで、さらに反芻作業を試みてみようと思う。
 本の構成はⅢ部構成になっていた。
第Ⅰ部 庄司和晃先生が語る「私の研究歴」(未完)
第Ⅱ部 追悼文「庄司和晃先生と私」(拙文も少しだけ載せていただいた。) 
第Ⅲ部 庄司和晃先生年譜・書誌 

▼いつものように話が拡散してしまわないうちに、3つのお薦めポイントをあげておく。
もっといっぱいありそうだが、とりあえず…

(1) 自前の「学」立てる方途のすべてが語られいる!!

(2) 柳田國男と「科学教育」がどうツナガルかが語られている!!
 
(3) ヒューマンネットワーク構築の術(すべ)が語られている!!

(1) 自前の「学」立てる方途のすべてが語られいる!!
「○○○○」の庄司和晃先生と仮にいうとき、「○○○○」に何を入れることがいちばん的を射ているだろう?
「仮説実験授業」
「のぼりおり認識論(三段階連関理論)」
「コトワザ教育」いや「全面教育学」だろうか?
 どれも正しく、間違いではないように思う。
 でもどれもがいまひとつ不十分なような気がする。強いて言うなら
「庄司学」の庄司和晃先生!!
それがいちばんピッタリと来る。なにしろ「庄司学」はなんでも内包しているのだから。

「現場の教師こそ最前線の教育研究者である!!」
 そう言うと、即座に「それは理想だ。現実は…」とコトバが返ってきそうだ。
 しかし、それを自らの実践をもって立証した人がいた。それが庄司和晃先生だった。
 庄司先生は自前の「学」を立てるだけでなく、人にも自前の「学」をつくることを薦めた。

◆ 第Ⅰ部 庄司和晃先生が語る「私の研究歴」(未完)

は、自ら歩んで来た道を語ることによって、後から行く私たちに
「あなたも、あなたの「学」立てなさいよ!」
「面白いですよ!」
とあの笑顔でやさしく誘ってくれているようだ。

 「偲ぶ会」ときに面白いことを聞いた。この本の表表紙のウラ、裏表紙のウラに庄司和晃先生のコトバがある。「それが、この本の内容のすべてを最もうまく要約したものだ。」と。
ナラバそれを引用させてもらおう。

「教育トハ」つぎのごとくなります。 「コノ世ヲ渡ルベク、□ノ生キ方ヲ学ビトリ、行使スルコトデアル」 一種の命題的で公式的な表明です。    この□の中には、人間もスリも科学も入るだけでなく、サルもアリンコもスミレもキノコも入れることができます。さらには、そこに無生物といわれる石をも水をも入れることができます。人間以外の渡世法なりに心を注ぎ、目を配っていくことが可能になったわけです。  かくして、人間ばっかり主義をのりこえる視座を獲得したのでありました。                                 庄司和晃     (表表紙のウラ)
つぎに方法論を結晶化させてみました。 以下の五つが、それです。  ①ばかでかい観点でいけ、②自前のものを作れ、③人間以外から学べ、④軽視や蔑視の遺産を掘り取れ、⑤おのれの知力を信じろ。 これは学問作りの方法論でもあり、実践上の方法論でもあります。 全面教育学の構築は、以上の線にそうて、おこなってきたものです。                             庄司和晃     (裏表紙のウラ)
 

ナルホド!!うまく言ったものだ。
本の中身立てて、両方を「俯瞰」すれば、この本が見えてくる!!

▼またまた長くなってしまいそうだ。先を急ごう。

(2) 柳田國男と「科学教育」がどうツナガルかが語られている!! 
 私は、30年ほど前、自らの浅学無知をかえりみることなく、大法螺を吹いていた!!
「「常民の科学」を授業に」と。
 さらにはこれぞ我がライフワーク!!とまで。
 私の場合は、自分が生まれ育った地が、柳田國男の生誕の地であるという縁しかなかった。本格的に柳田國男について研究したわけでもなかった。ただ単純なる縁で興味だけは持っていた。
 柳田から「常民」というコトバだけを拝借して、それを私の仕事とを結びつけて勝手な造語「常民の科学」をつくっていた。たいした実践もない、具体的なプランも当時はなかった。
 それにもかかわらず庄司先生はこれにあたたかいエールを送りつづけてくださった。

 その当時から、いやそれ以前から疑問に思うことがあった。わかったふりはしていたが、ほんとうところはよくわかっていなかった。
 庄司先生のなかで柳田國男と「科学教育」がどうツナガルのか?
この本では柳田國男との最初の出会い、子どもの「騒音」採集の示唆、直接伝授された柳田教育論等についてくわしく語られていた。
 私の今やっとこの疑問が少しだけ見え始めた。
 今一度、
 「常民の科学」とは?
 を考えてみたい!!

(3) ヒューマンネットワーク構築の術(すべ)が語られている!!
 庄司先生の交流範囲は恐ろしく広かった。現場の教師(小・中・高・大・看護学校)はもちろんのこと、同じ研究仲間、昆虫学者、哲学者、宗教家、作家等など、それにかつての「教え子」たちを含めるとたいへんなヒューマンネットワークだ!!
 庄司和晃ファンは全国に無数にいた。
 庄司先生は、このヒューマンネットワーク構築の達人だった!!

 庄司先生のレスポンスはともかく速かった。
 いや速いだけでない、「倍返し」だった。
こちらが勝手な思い込みで、庄司先生にはぜひ知らせたいと「発信」すれば、即座にあの独特のあたたかい文字がぎっしり書かれたはがきがもどってきた。
 こちらの意図することを何倍にも「増幅」した「返信」が即座に返ってきた。
 これで誰もが庄司教の「洗礼」を受けてしまうのだった。
 今、白状するが、私は恥ずかしながら少しうぬぼれていた。これは自分の場合だけとずっと思い込んでいた。それはトンデモない勘違いだった。(^^ゞポリポリ

◆第Ⅱ部 追悼文「庄司和晃先生と私」

を読むとそのことがよくわかった。

 「レスポンス」だけではない。「アクティブ」というのも人並みはずれていた。
「この人」に学びたいと思ったら、即、アポもそこそこにその人を訪問し教えを乞うていた。
子どもたちの描いたアリンコの絵を持っていきなり日高敏隆を訪ねたり等々。
 ともかく徹底していた!!
 
 こんな達人の真似はできないが、先生の術(すべ)をヒントに自分なりのヒューマンネットワーク構築術をつくり出したいものだ。

<おまけ>
 「おまけ」なんて言ったら失礼だが、

◆ 第Ⅲ部 庄司和晃先生年譜・書誌

 が実にいい!!
 全面教育学研究会の先生方の労作である。
 「庄司学」への歩みが時系列にならべてありとてもわかりやすい。

 最後の

 「庄司和晃先生「研究系統樹」」はまさに庄司マンダラだ!!

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