新・中学校「理科」を構想する。(62)
▼庭の定点ヒガンバナはすっかり萎れていた。
萎れた花の根元に緑のかたまりがあった。
子房である。あんなみごとな花を咲かせていたヒガンバナだから、この子房部にこれまたりっぱな「種子」をつくるものだろうと思っていたらちがっていた。
「日本のヒガンバナは3倍体であり、種子をつくらず鱗茎(球根)の分球によってのみ殖える。」
にわかには信じがたい事実だ。
▼幸いなことに私は、2013年、2014年、2015年3年連続して、「自然結実」するヒガンバナ群落をみつけ「種子」を採集した。そして、2014年採集の「種子」3つについて「発芽(発根)」「出葉」に成功した!!
さらには、昨日現在で2つから二年目の「出葉」を確認している。
「ふしぎ!?」だ!!
・そもそも3倍体とは?
・この3つはほんとうに花が咲くまで育つのか?
・「3倍体」が「2倍体」に変わるなんていうことが起こるものなのか?
・ヒガンバナに何が起こっているのか?
等々の謎解きには単元【生物の細胞と生殖】の学習は必須だった。
「私の科学」はそこから生まれたのであり、それ以上でもそれ以下でもなかった。
▼この単元の学習は、これからの科学を考えるときとても重要である。それはいくら強調しても強調しすぎることはないだろう。これからを生きる人間の必須科学リテラシーにかかわることだ。
「生殖」「遺伝」「DNA」等などどれも重要である。
とりわけ「DNA」については、すべての人間の興味関心があるところであるし重要である。
繰り返し言うが、義務教育のなかで扱う最後の機会である。
▼一度は体験しておきたい実験に
がある。最近では教科書にも登場し一般的になってきたが、「細胞分裂」の顕微鏡観察と同様にうまくいくいかないは別にしてぜひともやってみたいものだ。生徒たちの「感想」を読んでなおそう思った。
これは私の実践ではないが、あることでつき合いのあった中学3年男子生徒が、あるとき「今日、なにを勉強したん?」と私が訊ねたとき、学生服のポケットから小さなカプセルを取り出して言った。「こんなかにDNAが入っとるねん!!」とうれしそうに教えてくれた。私はそのときの男子生徒の笑顔が忘れられない!!
▼この単元の学習内容は日進月歩である。
ごく最近の科学史だけをならべてみる。
○1900年 メンデルの法則の再発見(形の時代)
○1953年 ワトソン、クリックによるDNAモデル(分子の時代)
○2003年 ヒトゲノムの全配列解明(情報の時代)
○2006年 山中伸弥ほか(京大)、トムソン(米)がそれぞれiPS細胞(人工多能性幹細胞)生成技術を発見
授業「構想」も、次々と更新していく必要があるだろう。
いつも あの究極の不思議を追いかけながら
(つづく)
大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから28週目であった。枯れてしまった葉が多くあったが、いまなお栄養を生産して地下の蓮根に送り込んでいる葉もあった!!
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