本日(2016/09/05)、第138回オンライン「寅の日」!!#traday
▼台風12号の動きが気になるところだ。
「台風は雲の展覧会!!」という言葉を聞いたことがある。
昨日の「雲見」は、まさにその通りだった。十種雲形の雲すべてが次から次へと空に登場した。
夕方最後には雷雨まで降ってきた。
▼本日(2016/09/05)は第138回オンライン「寅の日」である。
9月オンライン「寅の日」のテーマは
・寅彦の「秋」
である。その第一弾として本日読むのは、まさにその「台風」についてであった。
寅彦の最晩年に発表した「颱風雑俎」である。
◆本日(2016/09/05)、第138回オンライン「寅の日」!!
▼書き出しはあの「室戸台風」から始まっていた。
二十一日の早朝に中心が室戸岬むろとざき附近に上陸する頃には颱風として可能な発達の極度に近いと思わるる深度に達して室戸岬測候所の観測簿に六八四・〇ミリという今まで知られた最低の海面気圧の記録を残した。
「六八四・〇ミリ」とは、「684㎜Hg」つまり今の単位で言えば「911.6hPa」である。
これだけでもこの台風がすごいものかがわかる。さらに上陸時の最大風速は60m/sというからなおさらである。
関西に甚大な被害をもたらした。
この「室戸台風」の被害のことからはじめて「台風」、「自然災害」についてきわめて示唆的なことを語っていた。
それはあの警鐘「天災は忘れた頃にやって来る」にツナガルものがあると思った。
読むたびに新たに学ぶものを発見するのだった。
今回は、3つの大きな発見をした。
ひとつは
(1) 「地相術」の大切さ
昔は「地を相そうする」という術があったが明治大正の間にこの術が見失われてしまったようである。颱風もなければ烈震もない西欧の文明を継承することによって、同時に颱風も地震も消失するかのような錯覚に捕われたのではないかと思われるくらいに綺麗に颱風と地震に対する「相地術」を忘れてしまったのである。
このように建築法は進んでも、それでもまだ地を相することの必要は決して消滅しないであろう。
地震による山崩れは勿論、颱風の豪雨で誘発される山津浪についても慎重に地を相する必要がある。
地を相するというのは畢竟ひっきょう自然の威力を畏おそれ、その命令に逆らわないようにするための用意である。
▼二つ目は
(2) 「理科教育」の役割
これは人々の心がけによることであるが、しかし大体において学校の普通教育ないし中等教育の方法に重大な欠陥があるためであろうと想像される。これに限ったことではないが、いわゆる理科教育が妙な型にはいって分りやすいことをわざわざ分りにくく、面白いことをわざわざ鹿爪しかつめらしく教えているのではないかという気がする。子供に固有な鋭い直観の力を利用しないで頭の悪い大人に適合するような教案ばかりを練り過ぎるのではないかと思われる節もある。これについては教育者の深い反省を促したいと思っている次第である。
ここについては、たとえ寅彦でも大いに反駁したいところである。
しかし、これは考えようによっては「理科教育」に対しての熱いエールとも受け取れる。
三つ目が
(3) 「事実の観測(観察)」の大切さ
非常な暴風のために空気中に物理的な発光現象が起るということは全然あり得ないと断定することも今のところ困難である。そういう可能性も全く考えられなくはないからである。しかし何よりも先ず事実の方から確かめてかかる事が肝心であるから、万一読者の中でそういう現象を目撃した方があったらその観察についての示教を願いたいと思う次第である。
颱風のような複雑な現象の研究にはなおさら事実の観測が基礎にならなければならない。それには颱風の事実を捕える観測網を出来るだけ広く密に張り渡すのが第一着の仕事である。
寅彦は一見「科学的」とは思われない事象についても射程に入れた。そして、なにより「事実の観測(観察)」を研究のはじまりとした。
寅彦がこの文章を書いて81年も経っている!!
この事実に驚くばかりである。
寅彦はいつも今日的である!!
これからもこの時期にこの「颱風雑俎」を定番化したい。
さあ、台風12号は…?
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コメント
おはようございます。台風のお陰(?)でさまざまな雲見ができますね。昨日は紀伊水道で規模の小さい積乱雲(積雲か?)が次々にできては消えていました。
温暖化の影響でしょうね。昨夜のNスペの「メガクライシス」は戦慄の内容でした。
ところで、和歌山県田辺市でヒガンバナが開花したようです。
http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=320415&p=more
投稿: sakamoto | 2016/09/05 09:04
阪本さん
コメントありがとうございます。
そのあたり雨がずっと続いていますね。これからも十分に注意してください。
早々とヒガンバナ情報ありがとうございます。
見せていただきました。
今朝もここ数年の「初見」地に行ってみましたが、花芽をみつけることできませんでした。そちら、やはり雨が多いことと関係しているんでしょうかね。
投稿: 楠田純一 | 2016/09/05 14:12
降水は出蕾の引き金になっていますね。当地はこの1月あまり雨らしい雨はありませんでした。田辺あたりは雨が降っていたのでしょうか・・
今日はまとまった雨が降りましたので、彼岸花の出蕾が見られるかもしれません。
投稿: sakamoto | 2016/09/05 17:49
阪本さん
おはようございます。
こちら(福崎)も同様です。
今朝も、昨年「初見」の場所に行ってみようと思います。
投稿: 楠田純一 | 2016/09/06 05:26