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本日(2016/08/12)、第136回オンライン「寅の日」!!#traday

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▼こんなのをなんと呼べばいいのだろう?
 「雲見」の旅の余韻のなかに居ると言うより、気分はその真っ只中に居るようだった。
 しかし、そんな気分とはまったく関係なく、地球は回転を続けているようだ。
▼8月もはや12日となっていた。
 本日(2016/08/12)は、第136回オンライン「寅の日」だった。
 8月のテーマも、7月に引き続き 寅彦の「夏」 だった。
 8月はよりダイレクトに題に「夏」がつくものを選んでいた。今回は「夏の小半日」だった。

◆本日(2016/08/12)、第136回オンライン「寅の日」!!

●「夏の小半日」(青空文庫より)

▼実は旅のあいだにも何回か慣れぬiPhoneを使って読んでいた。
 しかし、今朝起きてからは、プリンアウトしたペーパーで読み返してみた。
 私には、やっぱりその方がぴったりとくるのだった。
 さあ本論に入る。
 これは、若い人に向けた「自然観察」のすすめのようだ。

よく「自然」は無尽蔵だと言いますがこれはあながち品物がたくさんにあるというだけの意味ではない。たとい一本の草、一塊の石でも細かに観察し研究すれば、数限りもない知識の泉になるというのです。またたとえば同じ景色を見るにしても、ただ美しいなと思うだけではじきに飽きてしまうでしょうが、心の目のよくきく人ならば、いくらでも目新しい所を見つけ出すから、決して退屈する事はないでしょう。

(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
 私は「心の目のよくきく人」などではけっしてなかったが、昨日の青葉山からの「雲見」を思い出すときわめて納得できた。
 その通りだと強く思った。そして、次の文には賛同する!!

 

諸君も今のうちにこの観察力を養っておく事が肝要だろうと思います。

 
 寅彦はほんとうに若い人に親切だった。具体的に話を展開してくれていた。

 それでさし当たりこの夏休みに海岸へでも行かれる人のために何か観察の材料になりそうな事を少しばかりお話ししましょう。
だれでも海べに出ていちばん見飽かずおもしろいと思うのは、遠い沖の果てから寄せて来ては浜に砕ける、あの波でしょう。見慣れない人の目には、海の水は、まるで生きているもののような気がすると言います。実際波はある意味で生きている。すなわち物理学などで言う「仕事」をする能力があります。しかし、惜しい事には、この能力は人間に都合のよいほうにはあまり使われないで、かえって海岸を破壊したり、またせっかく築いた港を砂で埋めたりするほうに使われています。海岸の崖がけなどはたいてい陸地をこわしている場所ですから、よく気をつけてごらんなさい。このような能力を何か有益な事に利用したいと思って、くふうした人はあるが、まだあまり成効した人はありません。

▼ほうとうにうまい!!
寅彦の文章が、教科書に「科学読み物」として採用されたということがよくわかるというものだ。
さらに「観察眼」はそこにとどまらなかった。

何か浅い箱か盥たらいのようなものがあったら、その底へ細かい砂を少し入れ、その上に水を入れて静かにゆさぶってみるとおおよそこのような模様のでき方を実験する事ができます。また機会があったら水の底にできているこの波形の波長を計ってごらんなさい。通例、深い所ほど波長が短くなっているでしょう。
試みにこのような、充分水を含んだ細砂を両手で急に強く握りしめると、湿気が失うせて固くなるが、握ったままでいるとだんだん柔らかくなってダラダラ流れ出します。足で踏んでも、踏んだ時は固いが、だんだん足がめり込んで行きます。よほどおもしろいものだから、忘れずにためしてごらんなさい。

「観察」への誘いはいつしか「実験」への誘いとなっていた。
そして、さらに問いかけていた。あの言葉で「ねぇ君、不思議だと思いませんか?」と。

浜べには通例大きい砂も細かい砂もあるが、たいてい大きいのは大きいの、細かいのは細かいのと類をもって集まっているのは、考えてみると不思議ではないでしょうか。
 

さらには別の「ふしぎ!?」へと発展する。

海岸では晴れた夏の日の午前にはたいてい風が弱くて、午後になると沖のほうから涼しい風が吹き出します。これは海軟風ととなえるもので、地方によりいろいろな方言があります。

 これは、私自身の今年の「自由研究」にツナガル「ふしぎ!?」だった。
そして余韻を残しつつ次のようにしめくくっていた。

浜べで見られるおもしろい現象もまだいろいろありますが、またいつかお話ししましょう。

 もしまだ夏休みの「自由研究」テーマ選びに迷っている人がいるのなら、ぜひぜひ寅彦のこの一文を読むことをお薦めしたい!!
 きっと、この文を読めばダイレクトにテーマをみつけることができなくても、そのヒントは絶対にみつかるだろう。
 私自身は、できるだけはやく今回の「雲見」の旅の作業にとりかかろうという気分になってきた。
 

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