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【お薦め本】『科学者の目、科学の芽』(岩波書店編集部編 岩波書店)

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▼久しぶりに青空が広がっていた。これぞ五月晴れという一日だった。
朝からやっぱり「団居」(まどい)を続ける子グモたちのことが気になっていた。そこかしこに糸がたなびくのも気になった。今日こそ旅立つのかと観察を続けていたが、けっきょく夕方まで「団居」を続けていた。
「団居」はまたしても二つのグループに分かれた。
 三年前、一匹のコガネグモとの「偶然」の出会いから始まった私のシロウト「クモ学」!!どこまでいっても興味津々、「ふしぎ!?」は尽きることがなかった。こんな面白いこと、この年なるまでなぜ気づかなかったのだろう。
それが最大の「ふしぎ!?」かも知れない。
▼寺田寅彦は『科学と文学』において、科学者に向けて「随筆のすすめ」を次のように書いていた。

 

それはとにかくとして、現在において、科学者が、科学者としての自己を欺瞞することなくして「創作」しうるために取るべき唯一の文学形式は随筆であって、そうしてそれはおそらく、遠き「未来の文学」への第一歩として全く無意味な労力ではないと信ずるのである。

1933年(昭和8)、今から80年以上前のことである。
 これに応えるがごとく、現在最前線で活躍中の32名の「科学者」が随筆(エッセイ)を書いた。その集大成が今回の【お薦め本】である。

◆『科学者の目、科学の芽』(岩波書店編集部編 岩波書店 2016.4.22)

▼この本は、雑誌『科学』(特集「科学エッセイの楽しみ」)(岩波書店 2014年6月号)と同名の連載を再構成したものである。たまたまであるが、私はこの特集号を読んでいた。
 実に面白い!!と思った。またこんなかたちで再度読めるとはうれしくなってさっそく手に入れて読んでみた。
あらためてこれは面白い!!と思った気に入ってしまった。
 話が拡散してしまわないうちに、例によって三つのお薦めポイントをあげる。

(1) 私の「科学」の面白さを伝えてくれている!!

(2) これからの「科学」を示唆してくれている!!

(3) 寺田寅彦ファン必読の書!!

 これだけ書いておけば安心だ。後はダラダラばなしに入る。
まず
(1) 私の「科学」の面白さを伝えてくれている!!
からだ。この本には32名の科学者が登場する。エッセイの数は36編である。
どれも面白い!!
 あまり本を読まない私でも、32名の科学者のうち何名かの著書を読んでいた。
ここの【お薦め本】にあげたこともある。
 そんな人のエッセイは特にそうだったが、この短いエッセイのなかに、著者の私の「科学」が語られていた。
ひとくちに「科学」と言っても多様な「科学」ある。切り口も様々である。
 しかし、そこはさすがプロ!!きっちりと 自分自身の「科学」を語り、面白く伝えてくれていた。

(2) これからの「科学」を示唆してくれている!!
 この本は、特集号のときと同じように三部構成になっていた。
第Ⅰ部 見えるものと見えないもの
第Ⅱ部 出会いと発見
第Ⅲ部 科学と社会
 各部の扉には、寅彦のコトバが引用されていた。それもお気に入りになったひとつの理由である。
各部によって少しずつ切り口が違っていたが、共通して「これから」の「科学」を考えるヒントが含まれているように思った。特に第Ⅲ部において、「社会」との関わりにおいて「これから」を示唆するものが語られていた。
▼次のお薦めポイント
(3) 寺田寅彦ファン必読の書!!
は完全に我田引水の話だ。
 私たちは2012年4月からオンライン「寅の日」という取り組みをはじめていた。
 青空文庫を利用させてもらって、寅彦の随筆を12日に一度オンラインで読み進めているのである。
それも5年目に入り、次回で129回目になる。どこまで深く読み解いたかは別にして読むたびに感動することがある。
それは
寅彦の随筆はきわめて今日的である!!
ということにだ。これからも大いに寅彦から学び続けたいと思う。
 この本の著者のなかにも同じ思いをもつ人がいた。
 「寺田寅彦を「活用」する」を書いた鎌田浩毅氏だ。次のように語っていた。

 

アウトリーチに関する私の修行は今も進行中であり、寺田が残してくれた試行錯誤の記録は知恵袋となっている。彼の専門と思想を引き継ぐ者として、これからも寺田寅彦を「活用」していきたいと思う。(本書P174より)

まったく同感である。

昨日の夜、あのゲホウグモが定刻どおりネットをはり始めた!!
今朝も「団居」の子グモたちは活発にうごきはじめた。今日こそは旅立ちだろうか?
クモたちもこの本と同様に「科学」することの楽しさ、面白さを教えてくれているようだ。
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