4月(卯月)の俳句「歳時記」!!
▼久しぶりに自然結実ヒガンバナ群落に行ってみた。
いつも通りかかりはするが、車をとめてまで観察をしていなかった。
びっくりだった!!
そうなっているだろうということは家の定点観測地ヒガンバナを見ていて承知しているはずだったが、目の前にするとそれは圧巻ですらあった。
枯れてゆくヒガンバナの葉!!
それは私にとっては、有力な「季語」であった。私だけの「歳時記」には登録しておこう!!
▼「観天望気」の第三の手法として、俳句「歳時記」を採用して3ヶ月目になる。
今月も名句をあげてみよう。次の本から引用させてもらう。
◆『書いて身につく 四季の名句120選』(鍵和田秞子著 NHK出版)
【4月(卯月)の名句】
(1) 大原や蝶の出て舞ふ朧月 丈草
(2) 時計屋の時計春の夜どれがほんと 久保田万太郎
(3) 花衣ぬぐやまつはる紐いろゝ 杉田久女
(4) 囀りをこぼさじと抱く大樹かな 星野立子
(5) 人体冷えて東北白い花盛り 金子兜太
(6) 東大寺湯屋の空ゆく落花かな 宇佐美魚目
(7) 草餅を焼く天平の色に焼く 有馬朗人
(8) 実朝の海あをあをと初桜 高橋悦男
(9) 水の地球すこしはなれて春の月 正木ゆう子
(10) サイネリア待つといふこときらきらす 鎌倉佐弓
▼うまい!!
実にうまいもんだ!!こんなにみごとに時空を掬い取るとは!!
今さらどうひっくりかえってもここには近づけそうもない。
しかし、諦めたくはない。
俳句という自然観察の方法はきわめて有効だと思っている。
どれもすごいが、とくに
(9) 水の地球すこしはなれて春の月 正木ゆう子
が気に入った。たった17文字で宇宙をも掬い取るワザ!!
(4) 囀りをこぼさじと抱く大樹かな 星野立子
音も光もコトバにして伝えている!!
▼我らが寅彦は『日本人の自然観』のなかで、「歳時記」について次のように言っていた。
短歌俳諧(はいかい)に現われる自然の風物とそれに付随する日本人の感覚との最も手近な目録索引としては俳諧歳時記(はいかいさいじき)がある。俳句の季題と称するものは俳諧の父なる連歌を通して歴史的にその来歴を追究して行くと枕草子や源氏物語から万葉の昔にまでもさかのぼることができるものが多数にあるようである。私のいわゆる全機的世界の諸断面の具象性を決定するに必要な座標としての時の指定と同時にまた空間の標示として役立つものがこのいわゆる季題であると思われる。
あらためて納得である。さすが寅彦!!
ゆっくり ゆっくり 楽しみながら今月も修行にはげみたいものだ。
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