【お薦め本】『身につく 気象の原理』(横川淳著,三浦郁夫監修 技術評論社)
▼昨日も「雲見」三昧の一日だった。
いくら見ていても飽きない。刻々と雲は姿かたちを変えていく。
じっくりと「雲見」をするようになってから、「ぽっかり」と雲が静止して浮かんでいるというイメージはくずれた。
現れたと思ったら次の瞬間に消えていた!!
次にどんな雲が現れるのかもなかなか読めなかった。
まさに「雲をつかむような話」だ。
どんな原理でできているのだろう?
どんな法則が成り立つのだろう?
それを学べば、「雲見」はより面白く、役に立ちそうな気がした。
▼それを学ぶのにとってもいい本が出た。
それが今回の【お薦め本】である。
■『身につく 気象の原理』(横川淳著,三浦郁夫監修 技術評論社)
この本を出すまでのいきさつ等については著者のブログ
◆「カガクのじかん」にふれられていた。
▼いつものように話が拡散してしまわないうちにお薦めポイント3つをあげておく。
(1) 「天気の変化」(気象)を徹底して「大気の物理学実験室」での「物理実験」としてとらえている!!
(2) 中学校、高校で学ぶ「物理」を駆使しての説明でとてもわかりやすい!!
(3) コメントが現場最前線で活躍するプロのもので、具体的でわかりやすい!!
まず
(1) 「天気の変化」(気象)を徹底して「大気の物理学実験室」での「物理実験」としてとらえている!!
からはじめる。これがいちばん気に入ったところだ。
最初から最後までこの視点は一貫していた。
「気温」(第1章)「気圧と風」(第2章)「雲と雨」(第3章)も、そして「毎日の天気」(第4章)も「困った天気」(第5章)もすべて「大気の物理学」で語っていた。
そのことで一貫性が保たれ、ナルホド!!と納得しながら面白く学べるようになっている。
▼次に
(2) 中学校、高校で学ぶ「物理」を駆使しての説明でとてもわかりやすい!!
である。
これは、著者が「日々高校生に物理や化学を教える仕事」(「はじめに」より)をしていることと関係があると思う。
「気象学」をあらたに学ぶと言うより、中学校・高校の「物理」の延長線上にとらえているのである。
そして、ここがいちばん大事なところであるが、「教える」現場人らしく徹底的に「わかること」を第一義に考えていた。
初学者がどこで「つまづく」かもよく心得ていた。
だからこそ、そこにはひつこいほどページさいていた。図もいい!!
これはまるで授業の板書の図だ!!
随所にそれはみられるが、初学者にわかりにくいとされる
・コリオリの力
・地衡風
・エマグラム
・気圧の谷、気圧の尾根
等々の説明でそれを感じた。
極めつけが「竜巻」の風の加速の説明であった(p216)。「角運動量保存則」を使いフィギュアスケートの選手の動きを例に説明してくれていた。うまい!!(ざふとん3枚だ!!いや5枚かな(^^)V)
これは他の入門書に見られない最大の特徴でもある。
(3) コメントが現場最前線で活躍するプロのもので、具体的でわかりやすい!!
コラムと監修を担当しているのは現在、和歌山地方気象台長の三浦郁夫さんである。
『天気図がわかる』の著者でもある。現場のプロ中のプロである。
この本で学ぶ「気象の原理」が、「天気予報」の現場では具体的にどう生かされているかを章ごとの「コラム」で紹介してあった。これがとても興味深い!!
学習のためだけの「原理」でなく、くらしにも生かせる「原理」を示唆してくれている。
今朝は朝から少し曇っている。
パラパラと雨も降ってきた。どうして「雨」が降るのか?その「原理」は?
もういちど読みなおしてみよう。
これからの「雲見」もいっそう面白くなりそうだ。
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