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Webテキスト『天気の変化』の可能性!?(19)

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▼昨日、夜が明けるとやっぱり予想通り雪だった。大賀ハス観察池も定点観測地のヒガンバナもすっかり雪化粧をしていた。観察池の雪をよく見てみると、一昨日の初雪と少しちがっていると見えた。
量もたくさんになったがそれだけでなく、なにか質的にもちがうように見えた。
▼先日の【お薦め本】『寺田寅彦 わが師の追想』(中谷宇吉郎著 講談社学術文庫)の著者である中谷宇吉郎は名著『雪』(1938年 岩波新書、今は岩波文庫で読める。)を書いた。
 その『雪』の最後を次のような文でしめくくっている。
 少し長くなるが、とても興味深いので引用させてもらう。
 

さて、雪は高層において、まず中心部が出来それが地表まで降って来る間、各層においてそれぞれ異なる生長をして、複雑な形になって、地表へ達すると考えねばならない。それで雪の結晶形及び模様が如何なる条件で出来たかということがわかれば、結晶の顕微鏡写真をその見れば、上層から地表までの大気の構造を知ることができるはずである。そのためには雪の結晶を人工的に作って見て、天然に見られる雪の全種類を作ることが出来れば、その実験室内の測定値から、今度は逆にその形の雪が降った時の上層の気象の状態を類推することが出来るはずである。
 このように見れば雪の結晶は、天から送られた手紙であるということが出来る。そしてその中の文句は結晶の形及び模様という暗号で書かれているのである。その暗号を読みとく仕事が即ち人工雪の研究であるということも出来るのである。(『雪』岩波文庫版P162より)

なんとみごとな論理展開だ!!
「研究」の意義がきわめてわかりやすく語られている。
そして、ここからあの有名な『雪は天から送られた手紙である』の名フレーズが生まれたのである。
▼これだけではなかった。
「手紙」は「結晶及び模様」という「暗号」で書かれているという。その「暗号」を読み解くためのガイド図のようなものまで中谷は作ってくれていた。
それが「中谷ダイヤグラム」である。
 「中谷ダイヤグラム」の縦軸は水蒸気量(%)、横軸は温度(℃)だった。
降ってきた雪の結晶の形、模様を観察すれば上空のようすがわかるというものだ!!
いつかは、自分の目と手でこの「暗号」の謎解きに挑戦してみたいものだ。
▼一昨日の雪とちょっとちがうと感じた昨日の雪!!
私は、図らずもそれを実感することになった。雪の降る朝、瀬戸内海に向けて水平方向へ20㎞ばかり車で移動したのである。雪の量もさることながら、昨日の雪は水分を多く含んでいるように思えた。
路面に降った雪は凍結していた。トロトロ運転を余儀なくされたのである。
ところが、ある距離移動したところで、まったく様子が劇的に変化したのである。
路面は濡れることすらしていなかった。ついたときにあらためて上空を見上げてしまった。

上空は近くて 遠い!!
上空は「ふしぎ!?」でいっぱいだ!!
その「ふしぎ!?」の謎解きこそ、「天気の変化」の予想につながるのであろう。
まだまだ道は遠い!!
(つづく)
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