「ゲホウグモの一生」とは!? #クモ学
▼10月にはいっても、私の「ケホウグモ物語」はまだまだ続くと書いたその日の朝だった。
異変が起きたのは。
なんと貴奴(ゲホウグモ)は、ネットをたたまなかったのだ。
一夜過ぎて少し痛んではいたがあのみごとな商売道具を放置したまま貴奴は姿を消していた。
いつも4時過ぎにはあの瞬間技でたたんでいたのに。
貴奴に何がおきたのだろう?
もう姿を見せることはないのだろうか?
そんな心配をしながら、昼間のネットを撮った。橋糸の端も車に貼りつけていた。
▼「もしもこのまま見ることがなかったら」 と考えていると少し後悔の気持ちが出てきた。
こんな一生に一度あるかないかの幸せな偶然を生かし切れただろうか?
まずは来年も出会うなどということはないだろう。
そもそもなんでこんなにもめずらしいクモが我が家にやってきたのだろう?
「ふしぎ!?」だ!!
ならば今しかない。今、私に可能なことはすべてやってしまおうと思った。
▼「ゲホウグモ」っていったいどんなクモなんだろう。
ネットなどを使って調べてみるが、あまり多くの観察記録は残っていなかった。
ならばこんなラッキーな偶然に遭遇した私が記録に残すしかないと思った。
まずは、基本的なことから行こう。
「ゲホウグモの一生」とは、どんなものなんだろう?
貴奴(こんな言葉が正しいのかわからない。コガネグモにつづいてゲホウグモにも使わせてもらっていた。少し敬意をもって)は雌である。まだ雄のゲホウグモにはお目にかかってはいなかった。
あの観察した子蜘蛛たちが成長して貴奴等になった。
だから脱皮はするが、変態はしないのだ。それは昆虫たちと大きくちがうところだ。
そのことだってごく最近知ったばかりのど素人だ。
貴奴は3つの黄色い糸くずのようなものがついた「卵のう」も残していた。
いっこうに変化の気配はない。
▼午後になって雨がふってきた。
放置されたネットは雨に濡れていた。ほんとうに貴奴はもう現れないのだろうか。
夕方になって、その場を見て驚いた!!
ネットはたたまれていたのだ。
もっと驚いたのは今朝だ。まだ雨は降り続いているというのに夜中のあいだにあらたなネットを張っていたのだ。
貴奴はまだ居てくれた!!うれしい!!
今のうちに…。
(つづく)
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