台風と驚異のゲホウグモ!! #クモ学
▼台風一過みごとな青空がというわけではなかった。
急に冷たい風が吹いていた。
台風が通過しているときも貴奴(ゲホウグモ)のずっと心配だった。
「暴風雨で吹き飛ばされてしまうのでは」と気がかりで何度か見に行った。
しかし、貴奴は柿の木の一部になり切ったままかたまっていた。
昨日の夕方もまだその姿勢をくずしていなかった。
やっぱり貴奴はすごかった!!驚異のゲホウグモ!!
▼すごいと思ったことはまだあった。
いちばん気になっていた第4「卵のう」だ。「卵のう」のまわりの糸だけでぶらさがるかたちになっていたので、きっと飛ばされてしまうだろうと思っていた。
昨日朝一番に確認したのがこれだった。
朝、でかける前で慌ただしかったのでじっくり見ていなかったこともあるが、柿の木の上にはみつけることができなかった。しかし。
夕方じっくりよく見ているとあった!!
辛うじて枯れ枝にぶらさがっていたのだ。糸の丈夫さには驚くばかりだ。
▼驚くべきことはまだあった。
これがきわめつけだった。それは第2「卵のう」(産卵の瞬間を目撃した「卵のう」)で起こっていた!!
4つの「卵のう」の無事を確認して安心して観察を終えようとしたときだった。
第2「卵のう」の周囲になにか黒い粒々を見たのだ!!
まさか!?
と思った。脚立の上に立って近づいてみた。
まちがいない!!子蜘蛛たちの「団居」(まどい)である!!
なんと「出のう」したのだ!!
無精卵ではと疑っていたがそうではなかった。
ということは近くに雄のゲホウグモもいたことになる。
そう言えば、夏の赤い糸の「卵のう」から「出のう」したのも、台風一過のあとだったような。
これは単なる偶然か!?
▼ゲホウグモの糸の強さということでは、もうひとつ驚くべきことがあった。
それは、柿の木と車のあいだに張った「橋糸」は台風が近づく前からそのまま残していた。
その「橋糸」は、昨日もまだそのままになっていた。
驚いたのは、その「橋糸」を利用してとなりに居をかまえていたジョロウグモがネットをつくりはじめたのである!!ジョロウグモの籠城作戦は夜になっても停まらなかった。
ゲホウグモはついには昨夜は自分のネットをつくることはなかった。
あの柿の木の枝に「同化」したままだった。
この後は…???
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コメント
楠田先生、こんにちは。
鈴木勝浩です。
今、出嚢するということは、
このまま幼体で越冬ですね。
いったい、一つの卵囊から
何個体ぐらいのクモが
生まれるのでしょうか?
投稿: 鈴木勝浩 | 2014/10/15 06:49
鈴木勝浩さん
コメントありがとうこざいます。
この時期の「出のう」にはほんと驚いてしまいました。
実際のところは無理かと思っていましたので…。
1個の「卵のう」から出てくる子蜘蛛の数ですが,夏にケースのなかで観察したときはおよそ500体はいたと思います。
画像がありますのでそれをていねいに数えれば正確な数もわかると思いますが、まだやっていません。
今回は「卵のう」なかに黒い物体もありますのでわかりませんが、「出のう」した分だけ大ざっぱに見て100体ばかりあるような気がします。
こんなにたくさんの子蜘蛛たちがいても成体になるのは限られているんでしょうね。
ましてはこんな時期の子蜘蛛が越冬することは不可能に近いと思いますね。
さて他の「卵のう」はどうなることやら…???
投稿: 楠田 純一 | 2014/10/15 18:24