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【お薦め本】『クモ学』(小野 展嗣著 東海大学出版会)

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▼昨日(2014/07/14)の朝も貴奴(コガネグモ)は巧みな技を駆使してネットづくりをしていた。
その見事さに時間が経つのも忘れ見惚れてしまっていた!!
 私の「クモばっかり病」も重篤化するばかりである。
▼それを加速させてくれる本に出会った。
■『クモ学~摩訶不思議な八本足の世界~』(小野 展嗣著 東海大学出版 2002.6.20)
である。
 例によってお薦めポイント3つをあげておく。

(1) クモというこの「ふしぎ!?」な生きものについての基本的なことがわかる。
(2) 貴奴等がどこからやってきたかを教えてくれる。
(3) ワクワクする「クモ学への招待状」である。

▼「ふしぎ!?」のかたまりのような生きものクモ!!
私の貴奴等と本格的なつきあいの歴史は浅い。やはり昨年の「貴奴(コガネグモ)の狩り」を偶然目撃してしまったことがはじまりだろう。
 別に特別の「昆虫少年」でもなかった私は、「昆虫」もそうだがこの「クモ」を意識して観察したこともなかった。
今、最大の不思議は、こんなにも身近にいてこんなにも不思議で面白い「クモ」になぜ興味を持たなかったか?
それが「ふしぎ!?」だ。
それではお薦めポイント3つをひとつずつ行く。

(1) クモというこの「ふしぎ!?」な生きものについての基本的なことがわかる。
 動物の「ふしぎ!?」の謎解き第一方程式「食べる」!!
何をどのように食べているか。
食べるための口はどうなっているのか?
食べたものを消化するための器官はどうなっているのか?
どのようにウンチをしているのか?
食べたものはエネルギーに変えなければいけない。
そのためには「呼吸」をしなければならい、そのための器官はどうなっているのか?
昆虫とのちがいはあるのか?
 第二方程式「子孫を残す」!!
メスとオスのちがいは?
そもそもふだん目にしているクモはオスメスどっち?
そんな諸々の基本的な疑問にクモ大好きなプロが答えてくれている。

(2) 貴奴等がどこからやってきたかを教えてくれる。
 この摩訶不思議な生きものはどこからやってきたのだろう?
「昆虫」とはいつ袂とを分かったのだろう?
「4億年の進化の過程」と簡単に言ってしまっているが、貴奴等の歴史になにが起こったのだろう。
「クモ」と一口に言ってもいろんな「クモ」が身のまわりに居る。
ネットをつくらない連中もいる。
 ほんと注意して見はじめるととんでもなくいろんな奴がいるのである!!
「オマエどこから来たんだ?」
この本を参考にして、再び貴奴等に聞いたら教えてくれるかも知れない。

▼3つ目のお薦めポイントに行く。
(3) ワクワクする「クモ学への招待状」である。
 この「クモ学へ招待状」は著者の言葉である。
最終章は「第9章 クモ学への招待状」となっているのである。
前のふたつの章
「7章 タランチュラは毒グモか」
「8章 セアカゴケグモ事件」
とあわせて「クモの人間学」としている。
これが実に面白い!!正直に言うとこの3章がなかったら【お薦め本】にしなかっただろう。
「タランチュラ」の源流を追って、イタリアの一都市「タラント」を訪ねる話や、19年前(1995)のあの「セアカゴケグモ事件」の渦中の人としての顛末記が語られている。
クモ研究最前線で活躍するプロの話は実に面白いのである。
そして何より面白いのが第9章だ。
そのなかに「学問はクモの網そのもの」と言ってクモの網の図あげ「クモ学」の位置づけがしてある。(同書 p178)
そしてこんなことが書かれていた。

 人間の探求心は、ヒトとはなんぞやという問いかけからはじまって、だんだんほかの動植物や目に見えない生物、地球、宇宙へと果てしなく広がっていった。
 医学や工学などの実学や実験科学に対して、自然現象を素直に追求していく学問分野を「自然史科学」と呼ぶことがある。私はこれこそが科学の本質ではないかと考えている。なぜなら、「螺旋糸」系の学問は、あらゆる「放射糸」系の学問と接点をもっているからである。(同書 P179)

私は、なぜかこの図・文章を読みながら、インターネット時代の今日毎日なれ親しんでいる「WWW(World Wide Web)の世界」のWeb(クモの網)を連想したのだった。
やっぱり「クモの巣」ではなく「クモの網」と呼ぼう!!
いや「クモのネット」と呼ぼう!!

ずいぶん遅れてこの「招待状」受けとった「昆虫少年」ならぬ、遅れてきた「クモ少年」は、今日も貴奴等のご機嫌をうかがいにでかけるつもりである。
 ゲホウグモの団居も「出のう」から五日目まだ続いていた。
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コメント

楠田先生、こんにちは。

 鈴木勝浩です。

 コモリグモというクモがいます。
 コモリグモの仲間は徘徊性で網をつくりません。
 徘徊しながら、狩りをして生きているわけです。

 このクモは、糸ゆう(糸を出すところ)に
 卵のうをつけて保護します。

 そして、20日前後で卵のうが孵化したあと
 子グモたちは、母グモの腹部にぎっしりと
 のって、5日前後過ごします。
 これが、コモリグモのまどいです。

 私の飼育経験では、
 子グモたちは、一事、水分補給のために
母グモから離れ、元に戻ったことを
 観察したことがありますが、
 自然界ではどうかは、わかりません。

 楠田先生の「まどい」の件で
 思い出したので、書いてみました。

投稿: 鈴木勝浩 | 2014/07/23 06:14

鈴木 勝浩さん
続けてコメントありがとうこざいます。
参考になる話をありがとうこざいます。
ゲホウグモの子蜘蛛たちですが、実はまだケースの中で飼育(?)しています。
出のうしたのが10日ですのでまもなく二週間になろうとしています。
どうしたものかと迷っている間に日が過ぎていきます。
一部は旅立ちましたが、多くはケースの中です。
4~5回ティシュにしみ込ませた水を与えただけです。これとて口にしたのかわかりません。
昼と夜では「まどい」の位置を変えているように思います。観察できないときは「レコロ」に観察してもらうようにしています。

何頭かは大きくなるまで飼育できるものならやってみたいのですが、なにかいい方法はないものでしょうか。


投稿: 楠田 純一 | 2014/07/23 19:13

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