« そして貴奴(コガネグモ)は居なくなった!! | トップページ | 新・「自由研究」のすすめ試論(101) »

本日(2014/07/30)、第72回オンライン「寅の日」!! #traday

Dsc_7476
▼大賀ハス観察池に「災難」が起きたのは先週のはじめであった。
先週の土曜日に応急対応として池の容器を二重にして「漏水」を防いだ。その作業中にとんだアクシデントを起こしてしまった。完全にひっくり返してしまい葉、果托を痛めつけてしまったのだ。
「漏水」は止まったが、観察池のこれからの展開が不安だった。
 それなのに、まったく予想もしなかったことがおこりはじめた!!
2014年度第6大賀ハスの花芽がのびてきたのだ。月曜日のことだった。
私は自分の目を疑った。
▼本日2014/07/30は、第72回オンライン「寅の日」である。
寅彦がこの「災難」について書いていた。
書いたのは寅彦の最晩年、昭和10(1935)年7月である。

◆第72回 オンライン「寅の日」

●『災難雑考』(青空文庫より)

▼読んでいて驚いてしまった。
これが80年近く前のことであるのかと。
その時代にこおこった「災難」について、科学者としての自分の考えを述べていた。
関東大震災(1923)に遭遇して以降、「天災は忘れた頃にやって来る。」の警鐘を鳴らし続けていた寅彦ならではの言葉がみられる。

 早い話が、平生地震の研究に関係している人間の目から見ると、日本の国土全体が一つのつり橋の上にかかっているようなもので、しかも、そのつり橋の鋼索があすにも断たれるかもしれないというかなりな可能性を前に控えているような気がしないわけには行かない。来年にもあるいはあすにも、宝永四年または安政元年のような大規模な広区域地震が突発すれば、箱根(はこね)のつり橋の墜落とは少しばかり桁数(けたすう)のちがった損害を国民国家全体が背負わされなければならないわけである。
 しかし、「地震の現象」と「地震による災害」とは区別して考えなければならない。現象のほうは人間の力でどうにもならなくても「災害」のほうは注意次第でどんなにでも軽減されうる可能性があるのである。

そしてつづけて言う。肝要なところはどこかを

今後いかにしてそういう災難を少なくするかを慎重に攻究することであろうと思われる。
いちばんたいせつな物的調査による後難の軽減という眼目が忘れられるのが通例のようである。これではまるで責任というものの概念がどこかへ迷子(まいご)になってしまうようである。

▼みごとな正論である。
けっして80年前の話ではない。現代にも通用することだ!!
しかし、ここまでだけだったら私はここまで寅彦に夢中になることはなかっただろう。
これだけに終わらせないのが寅彦だった。

 こうは言うもののまたよくよく考えて見ていると災難の原因を徹底的に調べてその真相を明らかにして、それを一般に知らせさえすれば、それでその災難はこの世に跡を絶つというような考えは、ほんとうの世の中を知らない人間の机上の空想に過ぎないではないかという疑いも起こって来るのである。
事によると、このような人間の動きを人間の力でとめたりそらしたりするのは天体の運行を勝手にしようとするよりもいっそう難儀なことであるかもしれないのである。

 

こういうふうに考えて来ると、あらゆる災難は一見不可抗的のようであるが実は人為的のもので、従って科学の力によって人為的にいくらでも軽減しうるものだという考えをもう一ぺんひっくり返して、結局災難は生じやすいのにそれが人為的であるがためにかえって人間というものを支配する不可抗な方則の支配を受けて不可抗なものであるという、奇妙な回りくどい結論に到達しなければならないことになるかもしれない。

警鐘を鳴らし続けるも人々に届かぬもどかしさからの諦観とも読めるかも知れない。
しかし、それは違うと思う。
 私は人間「寅彦」のいや科学者「寅彦」の誠実さから来ていると思う。
 それ故に、最後の一文が80年の時空が越えて響いてくるのである。

このまとまらない考察の一つの収穫は、今まで自分など机上で考えていたような楽観的な科学的災害防止可能論に対する一抹(いちまつ)の懐疑である。この疑いを解くべきかぎはまだ見つからない。

80年後の我々はこの「かぎ」を手に入れているだろうか?

第6号大賀ハスはグングン伸びてきた。
再び「あこがれの4日間」が訪れだろう。
あれは観察池の大賀ハスにとってほんとうに「災難」だったのだろうか?
へんな疑問が浮かんできた。
Dsc_7642

|

« そして貴奴(コガネグモ)は居なくなった!! | トップページ | 新・「自由研究」のすすめ試論(101) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/62729/60066046

この記事へのトラックバック一覧です: 本日(2014/07/30)、第72回オンライン「寅の日」!! #traday:

« そして貴奴(コガネグモ)は居なくなった!! | トップページ | 新・「自由研究」のすすめ試論(101) »