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現代理科教材発展史「究極のクリップモーター」(6)

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▼「ホシノヒトミ」がスッポリと首からセーターを脱ぐように「花を脱いで」、昨日でちょうど4週間だった。
「ホシノヒトミ」から「オオイヌノフグリ」へは知っていても観たことがなかった。
その全プロセスを観察するのは初めてであった。
 4週間目にして私は、それは事実であると確認することできた。
花から実へ、そして種ができて生命をツナグ!!
このアタリマエ!!が小さな観察からやがて「私の科学」になってきた。
観察はまだまだ続く。
▼「磁界のなかで電流が流れれば力がはたらく」
これだって知ってしまえばアタリマエのこと。
でもこんな不思議なこと、そう簡単にアタリマエにしていいのかな!?
『究極のクリップモーター』は、その「ふしぎ!?」を実感するための教材だった。
いつでも、誰でも、簡単に実感できる教材だった。
この不思議な力(ローレンツ力)は、ホンモノの「科学」だ。
『究極のクリップモーター』のルーツを探索していた。
少しでも関連しそうなものはないかと捜していた。
そして、みつけた!!たいへん興味深い実験を。
▼その実験をみつけたのは、
■『セルフメイドの世界~私が歩んできた道~』(岩城正夫著 群羊社 2005.12.1)
のなかだ。
 岩城正夫さんと言えばあの「原始技術」「原始の火」等で有名な岩城さんだ。
 その岩城さんが、かつて「鉄無しモーター」をつくられたことがあるという。
 それは氏がテレビ教養番組『科学の歴史』の企画者兼ホスト役をやっておられたときのことである。
たいへん興味深い話なので少し長くなるが引用させてもらう。

 ここでは19世紀の電気・磁気の一部を取り上げたい。その時スタジオにお招きしたゲストは物理学史研究者・板倉聖宣氏だった。彼によれば、当時の電気の研究ではイギリスのファラデーの研究がとくに有名で、彼はモーターの原理の発見者ともいわれるという。
 そのファラデーのモーターというのは、いまふつう見られるモーターと違って鉄心が使われていない。磁場の中に針金を置いてそれに電流を通すと、その鉄心(針金か?:楠田)が力を受けて動くというものだ。現在の普通の鉄心を使ったモーターのばあい、その回転効果つまり受ける力がいっそうおおきくなるためそうするわけだ。モーターの回る原理そのものは鉄ではなくて、電流と磁場の関係なのだという。
 そこで私の考えて作ったのが図Ⅴ-19のような鉄を一切使わない「鉄無しモーター」なのだ。ふつうのモーターでは、電動子にも、界磁にも鉄心があるのが大半だが、このモーターには鉄心が一切無い。銅線を巻いただけのコイルとコイルの関係だけだ。しかし電流を通じるとブーンと音をたててものすごい勢いで回転する。この種の手作りが成功すると何ともいえない満足感を味わうことができる。(上記書 P171より)

▼ここで注目しておきたいことは次の点である。
・ついにこの「ふしぎ!?」のルーツもファラデーに行き着くということ。
・モーターを回すのは、電流と磁場の不思議な関係(ローレンツ力)だということ。
・鉄心をのぞくことで原理がむきだしになるということ。

そこで、私は「鉄無しモーター」を理科教材発展史『究極のクリップモーター』にプロットした。

●1969年(昭和44) 岩城正夫氏、テレビ番組「科学の歴史」で鉄無しモーターを作る。

 岩城氏が「鉄無しモーター」をつくったのは実はこのときだけではないようだ。
若い頃夢中になって愛読した

■『原始人の技術にいどむ』(岩城正夫著 大月書店 1980.5.30)

にもそれは出ていた。
 よりくわしい作り方、材料にもふれながら…。
そこに書かれた文章もまた示唆に富む文章だから引用させてもらうことにする。

私がわざわざ鉄を使わないモーターをつくったのは、電流の磁気作用というものが、鉄を媒介としなくても相当の力を及ぼすものでだということを、生徒に実感としてつかませたかったからです。また生徒たちには、磁場というものを、物体としての磁石とだけ結びつける固定概念が強いので、それをぶちこわすためでもありました。
 この鉄なしモーターが回るのを見ていると、電流の周囲には目に見えないながら強力な磁場が存在しているという実感が、しぜんにわいてくるようです。(上記書「鉄なしモーター」P166より)

流石だ!!
「鉄なしモーター」をつくってみたくなる。

(つづく)


 

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コメント

私の教員のスタートは、物理については林淳一『物理の指導計画』国土社でした。1年目は中1では仮説のばねと力などでしたが、中3ではこの本を参考にローレンツ力で説明しました。そのときに行ったのが電解液に(確か硫酸銅溶液?)何かを浮かせて、大きな磁石を上下方向から磁界を作って液の流れを見るというものでした。確かそのとき、ファラデーの針を回転するタイプも知ったのですが(ファラデーダイアリーに掲載?-どこかの科学史の本かも知れない)やったかどうか記憶定かではありません。休みに入って少しだけ余裕ができたので書き込ませてもらいました。岩城正夫さんは直接いろいろお聞きしたいことがあります。今回初めて知った本もあるので興味を持って読ませてもらいました。

投稿: 理科大好き人間 | 2014/03/26 10:09

理科大好き人間 さん
おはようございます。元祖「クリップモーター」ではお世話になっています。
 コメントもありがとうございます。
おしゃっている「硫酸銅水溶液」とアルニコ磁石を使った実験、私も科学クラブでやった記憶があります。
ファラデーの実験ついては、手元の本『ファラデーと電磁気』(ホウアーズ著 中村保子訳 東京図書 1978.10.25)によれば、1921年に行われたようですね。エルステッドから一年後ですからいかに早いかがわかりますね。その時の液は水銀を使ったようですね。
電磁誘導の発見の10年前になりますね。
なんかそのときもひと騒動あったようですが、やっぱりファラデーたいしたもんですね。

お世話になっている「理科ノート3号」の件ですが、お手を煩わせますがよろしくお願いします。


投稿: 楠田 純一 | 2014/03/26 11:13

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