【お薦め本】『死なないやつら』(長沼 毅著 ブルーバックス 講談社)
▼ひときわ風は冷たかった!!
その寒風のなか枯れた牡丹が立っていた。その先に昨年の割れた実がついていた。
もう一方の先には赤く色づいた冬芽(頂芽)があった。側芽も赤くなっていた。
あの巨大な花咲かせる花の女王・牡丹の冬の姿だ。巨大な花へのプログラムがここに組み込まれているのかと思うと妙に「ふしぎ!?」に思えてきた。
▼やっぱりいちばんの究極の「ふしぎ!?」は、「生命とは何か?」である。
これまでにも多くの科学者がその謎解きに挑戦してきた。その成果としてわかってきていることも多いのだろう。
最初の【お薦め本】は、この究極の「ふしぎ!?」を追い続けて大活躍をしておられる長沼毅氏の最新著書だ。
◆『死なないやつら~極限から考える「生命とは何か」~』(長沼 毅著 ブルーバックス 講談社)
▼まずは私の文脈からはじめたいと思う。
実は私自身もずっと『生命とは何か?』の「ふしぎ!?」を追いかけていた。ここ5~6年のあいだに、これまでに出会ったことないふたつの「生きもの」に出会った。正確言えば出会っていても意識しなかっただけかも知れないが。いずれにしても「かわりだね」の生きものであった。
ひとつはエサもやらないのにナイロン袋のなかで261日も生き続けたコウガイビルだ。「食べない」動物の存在を知ったことは驚異だった。
そのコウガイビルが私を生命科学最前線まで私を連れて行ってくれた。
もうひとつの「かわりだね」生きものは、この著書のなかにも登場するクマムシだ。自分の家の庭からもみつけることができたのはうれしかったが、それ以上に驚き感動したのは「乾眠」から目覚めるクマムシを見たときだ。
あまりに嬉しかったので、YouTubeで動画までアップしてしまった。
そのときも思った。「生命とは何か?」と。
著書の文脈に入ろう。さすがである、その道のプロだ。
著者も同じ「ふしぎ!?」、「生命とは何か?」を追っていた。それもかなり年季が入っていた。
最初にパラパラとページをめくってなにか面白そうだなと思いながらも、もう少し時間的余裕が出てきたら読もうと置いておいた。
ところがちょっとした機会に「はじめに」を読んでしまった。
面白い!!面白すぎた。
第一章からやられてしまったのだ。
「生命とは何か」とは何か
と挑発されてしまったのだ。
ダメだ。もうやめられなくなってしまった。
ぐいぐい著者の文脈に引き込まれていった。
▼この本の主文脈は第2章にある。
「極限生物」は著者のお手の物だ!!
(゚o゚)ゲッ!!ほんとにそんな奴がこの地球上にいるか!?と俄に信じがたいやつが続々と登場する。
ポンコツ頭の「生物」概念などボロホロと崩れていく。
それが妙に爽快だ!!
そして、再び自問したくなってくるのだ。「生命とは何か?」と。
どいつもこいつも度肝を抜かれたが、特に私のお気に入りは深海に沈んだタイタニックを「食べて」いた「ハロモナス・ティタニカエ」(P52)だ。
ダメだ。この調子だといくら書いても書ききれない。いつものにようにお薦めポイント3つを先にまとめておこう。
その後にどうして語っておきたいことがあったらということにしよう。
3つはこうだ。
(1) 究極の「ふしぎ!?」=「生命とは何か?」を追う旅は、きわめて面白い!!いうことを教えてくれる本だ。
まず何よりも著者自身が、この旅を面白がっているというのが最高にいい!!
とてもわかりやすい平易な文章で語ってくれている。何度も、寅彦のあの「ねぇ君、不思議だと思いませんか?」のように語りかけられているような気分になった。
(2) 「極限生物」の生命を考えることが、「生命」の本質を問うことになること教えてくれている。
「はしりもの・かわりだね」の実践で、「かわりだね」の発見が自然探検をとても魅力的にしてくれるように、「極限生物」という「かわりだね」を知ることは、生命の本質を問うことににツナガルことを具体例をいっぱあげながら語ってくれている。
(3) 「生命とは何か?」を問い続けることこそが、人間の「これから」を考えることになることを教えてくれている。
「生命とは何か?」の問いに対する答えはいくつか用意されているのだろう。
この本の中にも現段階での答えがいくつか紹介されている。しかし、それはけっしてファイナルアンサーではない。ファイナルアンサーは誰もが自分でみつけなければならない。それが私の持論でもある。
さあ、今年はどんな未知なる生きものに出会うだろう。
究極の「ふしぎ!?」についてどんな答えをみつけることができるだろう。
何回か、この本を開けてみたいな。
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