【お薦め本】『エレキテルの魅力-理科教育と科学史-』(東 徹著 裳華房)
▼「バチッ」と火花が飛んだ!!
ハンドルを5~6回まわしたところで「バチッ」だ!!
繰り返しやってみるが、まちがいなく火花が飛ぶ。先日から縁側で日向ぼっこしなが作っていた「平賀源内のエレキテル」が成功したのだ。
化粧紙を貼ると、それはあの逓信総合博物館で見た「エレキテル」にそっくりだった。
いっきょに江戸時代にタイムスリップして源内になった気分になるから面白い!!
▼そんな復元実験の面白さ、理科教育における意義を説く本があった。
ずいぶん以前に紹介してもらい手に入れながら本棚に積んだままにしていた。
電気学事始め考え出した。ファラデーラボのクリスマスレクチャーで美事な手作り「ヴァン・デ・グラフ」を見せてもらった。平賀源内の「エレキテル」に成功した。等々が重なった。読むなら今だと思った。
◆『エレキテルの魅力-理科教育と科学史-』(東 徹著 裳華房)
▼読みはじめるとやめられなくなってなってしまった。期待した以上だった。
はじめて知ることも多くあった。
「電気学事始め」に私なりの文脈があった。その文脈と著者の文脈が重なるところが多々あった。
ひとつひとつあげるのは後回しにしてお薦めポイント例によって3点あげる。
(1) 「エレキテル」復元実験を理科授業に生かす具体的実践を報告している。
(2) とりあげている資料がとても具体的である。自分でも調べてみようと思ったとき、とても参考になる。
(3) 復元実験を追実験しやすいように具体的に手順等も書いてくれている。
なによりも、「自分でもやってみたい!!」と思わせてくれるところがありがたい。
▼いくつか「へー」と感心したことがある。
ひとつは「エレキテル」のとらえ方だ。
私は、この本を読むまで、「エレキテル」と言えば平賀源内の「エレキテル」しか頭になかった。
橋本曇斎については、江戸時代にあのフランクリンの実験をやった人というぐらいの認識しかなかった。
ところが著者はもっと広義の「エレキテル」を考えていた。
江戸時代の中頃の平賀源内「エレキテル」にはじまり、幕末の佐久間象三の「電気治療機」にいたるまで100年間fばかりの歴史のなかで、「ビリッ」と感じるものすべてを「エレキテル」としていた。
佐久間象三の「電気治療機」にいたっては、これは紛れもなく「電磁誘導」である。これまで「エレキテル」としまうのには最初違和感があった。
しかし、読み進むうちに納得した。というより感動した!!
エレキテル=静電気に固まってしまっている頭を恥じた。「ビリッ」と来るのは静電気にかぎらないのだ。
「ビリッ」と来るものの正体とは「電流」なんである。
逆に「静電気」「電流回路」「電池」「電磁気」の学習がツナガッテ見えてきた。
これは大きな収穫だ。
まだまだある…。
ともかく次の一歩を踏み出したくなる一冊である。
・香川にもうひとつの平賀源内の「エレキテル」を見に行く!
・大阪なら近くだ、橋本曇斎を訪ねるのはいつにしよう。
・佐久間象三の現存する「電気治療機」をどこに見に行こうか。
・提案される「簡易エレキテル」はいつ挑戦しようか。
・平賀源内「エレキテル」もう少しホンモノに近い大きなものに…
・復元するなら橋本曇斎のエレキテルの方が…(著者が作られたものを見たい!!)
・
などなどと「次の一歩」が誘ってくる。
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