【お薦め本】『図解・プレートテクトニクス入門』(木村学・大木勇人著 ブルーバックス講談社)
▼定点観測を続けるヒガンバナのうえの柿の木のあいだにジョロウグモが巨大な三層のネットを張っていた。ジョロウグモも見るたびに大きくなっていっているように感じていた。
今年の夏、偶然に貴奴=コガネグモに出会い、貴奴のみごとな「狩り」を目撃することがなかったらこんなにもクモが気になることはなかっただろう。あの衝撃的な出会いが、私には「目からウロコ」であった。
すっかり「クモばっかり病」を発症し、「クモの世界」を堪能したのだ。
その余韻は今も続く、だからクモが気になってしかたないのだ。
▼今日、紹介するのは、「目からウロコ」になる可能性を秘めた一冊の本だ。
■『図解・プレートテクトニクス入門』(木村学・大木勇人著 ブルーバックス講談社 2013/09/20)
私は著者のひとり木村学さんの大ファンである。
前著『地質学の自然観』(木村 学著 東京大学出版会)を読んで以来大ファンになってしまったのである。
研究最前線で活躍する大学の先生とポンコツ理科教師と同レベルで話をするなど不遜極まりない話だ。
しかし、なぜかこの人に「同じ時代の空気を吸ってきた」仲間意識をもってしまうのである。
▼実は、前著『地質学の自然観』を読んでからずっと著者にこんな本を書いて欲しいと思っていた。
あの語り口調で、等身大に「大地の動き」を語ってもらったら、今までのモヤモヤも幾分かは晴れるのではないかと期待したからである。
私は、長きにわたって「大地の動きを現在進行形でとらえる」をめざして授業をやってきた。
しかし、いつも自分の不勉強も手伝ってなにかモヤモヤしたものを残していた。
とくに「プレートテクトニクス」に関してはそうだ。
もう今や、アタリマエのこととしてTVや新聞に登場するのになぜ学校「理科」に登場するまでにタイムラグが生じてしまったのだろう。
私のモヤモヤの正体や、この「ふしぎ!?」にはじめて答えてくれたのがこの本だ。
だらだら語るのはやめよう。
お薦めポイント3つあげよう。(こんなときは3つだと前著で教えてもらった!)
(1) 今まで読んだ類書のなかでいちばんわかりやすかった!!
(そんなたくさん読んだわけではないが…。著者の言う「中学校理科を履修しただけの基礎知識でもわかる入門 書」はみごとに実現している。)
(2) わかりやすくための工夫がいたるところにあった!!
(専門用語には必ずくわしい解説がある。その語源、意味にもふれている。それでも専門用語はわかりにくかろ うと、たとえば「やわらかいアセノスフェア」「硬いリソスフェア」使い続ける等々)
(3) 中学校理科で履修する「科学」がツナガッテイルことを教えてくれている!!
(「原子」「密度」「状態変化」「結晶」「化学変化」「宇宙誕生」「応力」「力学」等々すべてがツナゲテ語られてい る。総合的、複合的視点に立って語られている。ホンモノの専門家ならではの技である。アリガタイ!!)
▼この本はできるだけ多くの人に読んで欲しい。
若い学生さんたちはもちろんのこと。
「プレートテクトニクスって?」って思っている大人も。
なにも負い目をもつ必要などない。
多くの大人は学生時代に「これ」を学んでいないんだ。
わかったつもりの人も今一度、この分野の最前線で活躍する研究者の「そもそも…」の話に耳を傾けてみよう。
「南海トラフ巨大地震」にナットクして備えるためにも…。
きっと「目からウロコ」が…。
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