【お薦め本】『地域を変えるミュージアム』(玉村 雅敏編著他 英治出版)
▼今日は暦の上では「立秋」である。
「えっ?」と思うが、そう言われれば少し「空気」が変わってきているのかもと感じてくるから不思議だ。
自然は律儀なものだ!!
昨日の「クモ観察園」で注目したのは、あのふざけた名前をもつ「シロカネイソウロウグモ」だった。
最初の貴奴(コガネグモ)の巣の中にイソウロウをして、主と一緒に「おすそ分け」をいただく姿も観察していた。
大型のクモの巣にしかイソウロウしないかと思っていたら、そんなこともないようだ。コガタコガネグモ、ナガコガネグモなどの小型のクモの巣にもイソウロウしていた。
こいつがなぜイソウロウが許されるのか。前にいくつかの仮説を立てたことがある。あれからなにも進んでいない。それにしてもあのギンギラギンに輝く体は「ふしぎ!?」だ。
▼久しぶりに【お薦め本】である。
■『地域を変えるミュージアム』(玉村雅敏編著 場づくりマーケティング・コンソーシアム 英治出版2013.4.15)
一見、私とは縁遠そうなこの本を手にしたは、「ふしぎ!?」ならおまかせの理科ハウスが紹介されていると聞いたからだ。
だからまず理科ハウスが紹介されているページ(p214)から読んだ。
正直言って驚いた。!!私はこれまでのこともあって理科ハウス通のつもりでいた。これまでにたった2回しか訪問していないくせにあの「空気」を知っているつもりでいたし、次々と展開される「企画」についても、その意図を自分なり理解しているつもりでいた。
驚いたのは、その理科ハウスの「空気」、「意図」をみごとに読み取った紹介文が書かれていたことにだ。
なんで、そんなことがわかったのだろう?
もちろん理科ハウス自体の取り組みがすばらしいからではあることには間違いないが、こんなするどい紹介文を書いた人に、そしてこれを載せたこの本に興味がうつっていった。
▼あらためて「はじめに」を読んでみた。この本の意図が書かれているだろうと思ったからだ。
全国の気になる30ミュージアムを次の5つの切り口で紹介したという。
I. 社会イノベーションの触媒となるミュージアム
II. コミュニティの魅力を見える化するミュージアム
III. 人々の協働プロジェクトを促すミュージアム
IV. 価値を共創する拠点となるミュージアム
V. ワクワクが変化を生み出すミュージアム
この切り口自体が、この本のコンセプトを語っていた。
ある程度は理解ができるが、なにか実感をともなっていなかった。
▼そこで私は、紙上で30のミュージアムを訪問することに決めた。
理科ハウスの次に行ったのは、実際に訪問したことのあるところということで
17 遠野市立博物館(p152)
2011年の夏の終わりに行った。展示の資料の充実ぶりはもちろんのこと、なんともいえぬ心地よい「空気」が流れていた。ここでもその「空気」を読み取った紹介文になっていた。
以後は順不同でパラパラと見て、気になるところからアトランダムに紙上訪問してみた。
30館すべてまわってみた。
実に面白い!! 「理科ハウスをあのように紹介するのだから、他の館の紹介も…」という私の予感はあたっていた。どの館の取り組みからも学ぶことがいっぱいあった。「理科ハウス」は全国にあるんだと思った。
私の「ミュージアム」というもののイメージが大きく変わった。
「ミュージアム」に限らない、これからの「場づくり」に大きなヒントを与えてくれていると思った。
これから旅に出るときは、その前にこの本をチェックして、実際に訪問してみようと決意した。
最後に、ひとつの不思議が頭に浮かんだ。
「北海道から沖縄まで、各地域に点在する30のミュージアムの存在・流れる「空気」をどうして知ったのだろう?」
この不思議を解くのは、もう少し自分で実際にミュージアムを訪問した後になるだろうか。
今回のお薦めポイントはひとつ
地域の「これからの場づくり」を考える人にとってはヒント・アイデア満載!!
さあ、私の「クモ観察園」のクモたちは「立秋」を感じただろうか。
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コメント
楠田先生、こんにちは。
鈴木勝浩です。
早速、ご紹介いただいた本、
アマゾンで購入します。
それにしても、シロカネイソウロウグモの
腹部が大きいですね。
そろそろ産卵して、「卵のう」を
つくるかもしれませんね。
投稿: 鈴木勝浩 | 2013/08/07 06:14
鈴木勝浩さん
コメントありがとうこざいます。
本も手に入れ読んでくださるとのことありがとうございます。紹介のし甲斐があるといものです。深謝。
シロカネイソウロウグモやっぱり腹部大きいですか?
そろそろ「卵のう」観察の時期かもしれませんね。
とてもショックな報告があります。
あの再会した「コガネグモ」がまたしてもいなくなってしまいました。朝の観察でわかって、夕立の後もう一度行ってみましたがやっぱりいません。(/_;)
二度までみつけたので、きっとどこか近く引っ越しをしたものと気長に観察をつづけてみます。
そのうちまた出会えことを願いつつ。
投稿: 楠田 純一 | 2013/08/07 17:46