新・「自由研究」のすすめ試論(75)
▼まだまだ「クモばっかり病」は続いていた。
昨日の朝もやっぱり私の「クモ観察園」を歩いていた。距離にしてわずかな距離だ。
しかし、歩くたびに「ふしぎ!?」はふくらみ「発見」がある。それが楽しいだからやめられないのだ。
昨日の朝の発見は大きくはふたつだ。ひとつは、これまであまり注目してこなかった新しいクモの発見だ。
以前には山ぎわ見かけてはいたが、昨日のようにたくさんはいなかった。腹部の背があざやかな黄緑を色をしていてきれいだ!!時間帯、気温、湿度、天気…なにが強く影響しているのだろう?それはわからない。
「クモ観察園」のいたるところで見かけたのである。帰ってから図鑑で調べてみた。
「サツマノミダマシ」(?)がいちばん似ているように思った。それにしてもこのネーミングいいな。
「サツマノミ」とは「ハゼの実」の方言であるという。なるほど、納得だ!!すばらしい観察眼だ!!
もうひとつの発見は、「クモ観察園」から回り込んで家に帰ろうとしたときだった。川沿いだ!!
高くのびた雑草のなかにそいつは居た。巨大なナガコガネグモ!!
体の大きさもネットの大きさも本家本元の貴奴(コガネグモ)にひけをとらぬ大きさだ。
これで定例散策コースを変更する必要がでてきた。
▼「クモばっかり病」をより加速するかのように新しい本を読んでみた。
本の題もずばりそのものだった。
◆『おどろきのクモの世界』(新海栄一・新海明 誠文堂新光社 2009.5.30)
実に面白い!!今の私の「クモの世界」の「ふしぎ!?」に答えてくる本だった。
子ども向けに書かれているのが、私にはとてもうれしかった。
写真も貴重なものが満載だ。クモの飼い方まで出ていた。アリガタイ!!
いろいろ気に入ったところがあるが、特に気に入ったのは次のところだった。
「クモなぜ自分の糸にからまらないのか?」という「ふしぎ!?」に対して、「足先油説」というのが昔から流布されているそうだ。対照実験をするなかで、どうもこの説はあやしいものであることがわかってきた。
では、誰がこの説を最初に唱えただろうと調べたところあのファーブルに行きついたという。(もっともてファーブル自身が足先から油を出すとは言い切っていないようだが)私が感動したのはそこではなかった、次の一文でまとめていからだ。
みなさんも本に書いてあることや大人の言うことを全て信じるのでなく、「少し変だぞ」「ちょっとおかしいな」と感じたら、自分の目で調べてみてほしいと思います。(同書 p17より)
これで
この本はホンモノだと思った。
▼これまで我田引水の独断で読み解いてきた牧野富太郎「赭鞭一撻」にもそれはあった。
十四 書を家とせずして、友とすべし
本は読むべきだ。
私の「ふしぎ!?」はどこまでわかっているのか、これまでの「研究」から大いに学ぶべきである。
でも、それは「結論」ではない。
どんな小さな私の「ふしぎ!?」でも、謎解きの最後の一歩は自分で歩まねばならない。
本(ネット情報も同じ)は、最後の一歩までの最高の友なのである。
▼ながらく続けてきた「赭鞭一撻」も最後だ。最後はこうだ。
十五 造物主あるを信ずるなかれ
これまたなんとも含蓄のある言葉である。
「神」をつくって思考停止をおこなってはならない。
せっかくの私の「ふしぎ!?」に安易な道で性急な答えを求めてはならない。
私の「ふしぎ!?」、一度に答えがみつからなければそれを一旦保留しよう。
ずっとずっと持ち続ければかならず自然は応えてくれるはず。
「自然に学ぶ」とはきっとそんなことを言うのだろう。
これで一旦「読み解く」という作業は終わる。
しばらく寝かせておいて、いつかは「赭鞭一撻」の現代版、21世紀版
「赭鞭一撻」から学ぶ「自由研究」のすすめ心得を書いてみたい。
さあ、今日の「クモ観察園」では何を発見できるだろう?
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コメント
楠田先生、すばらしい写真、
そして、同定力。
楠田先生のおっしゃるとおり
「サツマノミダマシ」だと思います。
これと似ているものに、
「ワキグロサツマノミダマシ」がいます。
腹部のお腹の面と背中の面の間、側面といったら
よいのでしょうか?
ちょうど、腹部のワキ(脇)にあたる部分が黒い
ので、ワキグロという名前があります。
これからも楽しみです。
ありがとうございます。
投稿: 鈴木勝浩 | 2013/08/06 06:18
鈴木勝浩さん
いつもコメントありがとうこざいます。
鈴木さんかいつも見ていてくださるから、同定も大胆にできます。間違っていれば訂正してくださるだろうと思うと気が楽です。
観察もより楽しくなります。ありがたいことです。
深謝。<(_ _)>
投稿: 楠田 純一 | 2013/08/06 17:31