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新・「自由研究」のすすめ試論(74)

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▼昨日の朝の観察まで実は半信半疑であった。
貴奴(コガネグモ)との「再会」があまりにもうれしかったもので、それは幻を見ていたのではと疑ってみたりしていたのだった。朝の観察で確信した!!
「これはまちがいなくコガネグモである!!」と。
みごとな完全円網であった。しかし、18日間観察を続けた貴奴ではないと思った。
それはセンター(「こしき」)部の白い帯が今回は「X」字になっていた。貴奴の場合はずっと「八」字だった。
それに体全体も貴奴に比べると小さく見える。
もし別のコガネグモだとすると、こんなわずかな範囲に貴奴は二ひきもいたことになる。
そう考えるとますますうれしくなってしまうのである。
▼一方で少し迷うことがあった。それは前回は、あのアクシデントで貴奴は消えてしまった。
あの悔しい思いをもうしたくない。
 だからこいつをいっそのこと家の庭に連れて帰ってそこで観察をしたいとも思った。
 そんなことが今、読み解くことをすすめている牧野富太郎「赭鞭一撻」にもあった。

十一 植物園を有するを要す

 気になる植物は自分の植物園をつくってそこで育てて観察せよということであろう。
いつも手元に置いて観察してこそ、その植物を深く知ることになるのである。
だからこそ自分の「植物園」が必要であると。
納得である。
 ならば今回はどうすればいいだろう。貴奴の自分の家に連れ帰った方がいいのだろうか。
でも考えてみると、貴奴の居る場所は、家から歩いて数分のところである。
それに、家の庭に連れ帰っても環境が変わり、うまく巣をつくってくれるとは限らない。
ものは考えようだ。
至近距離に2ひき(?)もコガネグモが現れたここを、私の「クモ観察園」と考えよう。
牧野の言っているのもけっきょく自分のフィールドをもつことが必須であるということだろうと勝手に解釈するのであった。
▼「赭鞭一撻」を続けよう。

十二 博く交を同士に結ぶ可(べ)し

ほんといいことを言っている。
自分の体験からもまったくこの通りと思う。
同じことに興味をもち「研究」をすすめる人を友にして、「学び合い・高めあう」情報交換をする。
これは最高の研究方法である。
じつは「学会」などというものはここからはじまったものなのだろう。
今年で5年目になる「日本ヒガンバナ学会」も、20年の歩みをもつ【理科の部屋】もここからはじまったものなのだろう。
▼次には、より強く膝をたたき共感することを言っていた。

十三 迩言(じげん)を察するを要す

よくぞ言ってくれた!!
私が最も共感するところでもある。
「植物」に関する知識に職業や性別や年齢など関係ない。
「植物」とのつき合いを生業とする人の言葉に耳を傾けよ!!
なんと示唆的な提言だ。
「研究」は大学の「研究室」だけにあるわけではない。
これぞみごとな「常民の科学」の掬いとりだ。
これは「自由研究」をすすめるうえでも大きなヒントになるはずだ。

貴奴(コガネグモ)と再会して3日目!!
今日は貴奴はどうしているだろう?
楽しみだ。


 

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コメント

楠田先生、こんにちは。
鈴木勝浩です。
楠田先生の御宅の近くに
2個体もコガネグモが・・・。
きっと、豊かな自然があるのでしょう。
生物相が豊かだからこそ、
いろいろな種のクモが生息できるのですね。

網における白帯の意味も
はっきりとは、わかっていないと
思います。

それでは、また。

投稿: 鈴木勝浩 | 2013/08/03 05:46

鈴木勝浩さん
こんにちは
いつもコメントありがとうこざいます。
おっしゃるように恵まれた自然環境にくらしていると思っています。せっかくの環境のなかにいるわけですから、感謝し存分に、自然から学んでいきたいと思っています。
クモの世界がそのことをあらためて教えてくれました。

あの白い帯確かに気になりますね。
隠れ帯びと言ってもあまりその役割をしているとは見えない。今日みたら昨日と少しちがうように見える。
何かの暗号、シグナルなのだろうか。

投稿: 楠田 純一 | 2013/08/03 13:19

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