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【お薦め本】『進化生物学入門』(栗田子郎著 講談社学術文庫 2013.4.10)

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▼久しぶりに学校周辺を朝の散策してみた。紫陽花も本格的に色づきはじめていた。
こちらがしばらく見ないあいだにも風景は刻々と変化していた。土手や草むらに気になるものが見られた。
白い「小さな釣り鐘」がぶら下がっていた。
ホタルブクロである。近づいて見てるとなおいっそう愛おしくなってくる姿である。
例年みかけているその場所に行った。びっくりである。
見かけるどころでないそこはもはや「群生地」となっていた。
しばらく見とれてしまった。
そう言えば私は、実際にこのなかにホタルを入れてみるということをやったことない。
その光景を想像してみた。きれいだろうな!!
名前の所以である。異説もあるらしいが…
▼今回のお薦め本は

◆『進化生物学入門~宇宙発生からヒト誕生への137億年~』(栗田子郎著 講談社学術文庫 2013.4.10)

実はこの本には原本がある。『多様性生物学入門』(栗田子郎著 東海大学出版会 1997)である。
それから16年たっているから新たな知見も加えての学術文庫版がだされたのである。
私は、この『多様性生物学入門』がずっと気になっていた。
 全部は読んでしまっていなかったが、「まえがき」がすごく気に入っていた。
それに示唆を受けていた。
 よくいろんな場面でも引用させてもらってきた。
あまりにも気に入っているので長くなるが再度引用させてもらう。

 ホモ・サピエンス(Homo sapiens 賢い者)と自らを名付けた我々「ヒト」も「チンパンジーとの遺伝的差はほとんどない」 としながらも、二つの大きな特徴があると書かれている。

 しかしヒトという種にはほかのどんな生物にもない(と思われている)きわだった特徴が一つあります。自分自身の由来、ひいては万物のルーツを知りたがるとともに、まだ存在しない未来に思いを馳せるという性質です。チャールズ・ダーウィンが『種の起源』を著し進化論を説いたのもこの衝動に駆られたからでしょう。(中略)  いま一つのヒトの特徴は、細胞外で複製・増殖することのできる遺伝因子、つまり言語(言葉、文字)と映像を操る能力です。生きとし生けるものはすべて、自らを存在させているプリン塩基とピリミジン塩基で記された基礎情報(遺伝子)を次の世代へ残そうとします。ヒトも例外ではありません。しかし、この情報は時間軸に沿って垂直にしか伝わりません。ところが言語や映像という形の情報は水平方向にも伝わります。しかも、細胞核内に収められた情報は親から子へと伝わるのみで、その逆は不可能です。言語情報はこれが可能です。この第二のヒトの特徴が、私をしてこのようなテキストを綴らせたようです。(『進化生物学入門』「まえがき」p11より 

やっぱり何度読んでも示唆的です。
▼今回、文庫版が出されたことを機に通読してみました。
通読するのがやっとの浅学な私が【お薦め本】としてあげるのも恐縮なんですが、どうしても書いてみたかったのであげます。
 例によってお薦めポイントは3つです。

1) 誰もが一度はいだく究極の「ふしぎ!?」
  ・「私はどこからやってきたのだろう?」
  ・「生命とは?」
  それに応えるヒントがいっぱい詰まっている本である。

(2) この一冊で「宇宙発生からヒトの誕生への137億年」の進化史を読み解くことができる。
  私のように一気に読み解くことができなくても、読み解こうというその「きっかけ」を与えてくれる。

(3) 研究最前線の知見・情報が誠実な姿勢で紹介されている。
  シロウトにはこれがなによりありがたい!!

▼三章からなっている。本の内容は各章のサブタイトルとともにあげるとよくわかる。
第一章 絶え間なき創造 多様化の歴史
第二章 種の問題 多様化の機構
第三章 霊長類の系統と進化 多様化の一例
キーワードは「多様化」である。
第一章は圧巻である!!「へー」「そんなことが…!?」の連続である。一大スペクタルを見るような気分になる。
ひとつの知見でまとめあげるのでなく、まだわかっていないことについては異説もあることを紹介されているのがとてもうれしい。そしてその研究も進行形で語られているのは著者の「誠実さ」の表れでもあるだろう。

第二章は、正直言って私には難解な用語も頻繁に出てくる。しかし、繰り返しその用語に接するあいだにぼんやりとであるがその用語が意味する概念が見えてくる。
「種」の発生というもっとも本質的な「からくり」がわずかながらも見えてくるのは、これまたうれしい。
我らが「ヒガンバナ」のことについてもふれられている(p146.p165)のはありがたい。

第三章は、具体的に「私はどこからやってきたのだろう?」の「ふしぎ!?」に応える章だ。
章の最後に「継ぐのは誰か」(p331)が書かれている。
「これから」が書かれているのである。
しめくくる一文が心に残った!!

 厳密にいえば未来は予測不能ですが、あなたも「継ぐのは誰か」考えてみてください。(p333)

最後の最後に「蛇足」的になって恐縮だが、この本の最大のお薦め点をあげておく。
それはこの本は、いつもお世話になっているあのリコリスさんこと栗田子郎先生の著書であることだ。

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