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本日(2013/03/01)、第28回オンライン「寅の日」!! #traday

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▼お見事!!と拍手を送りたい気分になってくる。
2月の最後の日、空気はうんとあたたかくなっていた。少し急ぎ足で歩くと汗ばむほどであった。
我が家の紅梅のレセプターもきっちりとそれを受けとめていた。
膨らんできていた蕾が一斉に開きはじめた。
自然とはなんと律儀であることか。
 そして、その動植物のもつレセプターの不思議なことか。
▼寅彦は、この自然の律儀さ、不思議さを見逃さない並外れた「観察眼」をもっていた。
観察対象は自然現象だけにとどまらなかった。ときに人間の行動、心理にまで及んだ。
今回読む作品はそんななかのひとつである。
今日から3月である。2012年度オンライン「寅の日」最後の月である。
今日(2013/03/01)は第28回オンライン「寅の日」である。
読むのは「エレベーター」である。
◆第28回オンライン「寅の日」
●「エレベーター」(『蒸発皿』より 青空文庫より)
▼「そう言われれば、そうだな。」で我々が見過ごしてしまうような現象は身のまわりのにもいっぱいある。
そんなことひとつひとつつき合っていたら忙しい毎日やっていけない。それが正直なところだ。
しかし、寅彦はちがっていた。
そこに「科学」を発見していた。

ただ問題になるのはこの昇降機というもののメンタルテストの前に人間が二色に区別されることである。

寅彦にかかるとただの「エレベーター」が「メンタルテスト」機に変身するのである。
驚きだ!!
▼それに終わらない、本領発揮は次だ。
 それとはまた別のことであるが昇降機の二つ三つ並んでいる前に立って、扉(とびら)の上にあるダイアルに示された各機の時々刻々の位置の分布を注意して見ていると一つの顕著な事実に気がつく。それは、多くの場合に二つか三つの昇降機がほとんど並んで相(あい)角逐(かくちく)しながら動いている場合が多いということである。理想的には、たとえば三つの内の一つが一階にいるときに他の二つはそれぞれ八階と四階のへんにいるほうがよさそうに思われる。換言すれば週期的運動の位相がほぼ等分にちがっているほうが乗客の待ち合わせる時間を均等にし従って乗客の数を均等に分布する点で便利であろうと思われる。しかし実際には三つがほぼ同時に同じ階を同じ方向に通過する場合が多いように思われる。

「観察」事実から予想をたてる。
さらには観測データをとる。そして予想を検証する。
もっともそういう場合だけに注意を引かれ、そうでない場合は特に注意しないために、匆卒(そうそつ)な結論をしてはいけないと思って、ある日試みに某百貨店で半時間ぐらい実地の観測を行なってみた。観測の方法は、鉛筆と手帳をもって、数秒ごとに四つの昇降機のダイアルの示す数字を書き取るだけである。この観測の結果を調べた結果はやはり実際に予想どおりの傾向を示している。

次は結果の考察である。
さらにはそれを一般則にまで高めていく。
こういう現象の起こる原因は割合に簡単であって、ちょうど電車が幾台もつながってあるくようになるのとほぼ同様な原因によるらしい。すなわち、偶然二つが接近して同方向に動くようになるとそれからは、いつでも先へ立つほうが乗客の多いために時間をとってあとのを待ち合わせるような結果になるからである。これも結局は、多くの人間がただ眼前のことだけを見てその一つ先に来るものを見ようとしないことを示す一例に過ぎないであろう。

そして
これと似たことが人生行路にもありはしないかと思う。

なんて言われると「ほんと、そうだな!!」と思ってしまうのである。
そし最後の一文はこの文章が1933年に書かれたことを考えればきわめて示唆的だ。
 しかしまた、同じような考え方からすれば、結局ナポレオンも、レーニンも、ムソリニも、ヒトラーも、やはり一種のエレベーターのようなものかもしれないのである。

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コメント

エレベーターは、なかがいいは、最近は通じないことが、多いです。バラバラに待機させて、早くのれるようにしています。昔ながらのもあるので、説明しようとすると、ややこしい。

電車は、チンチン電車のはなしで、いまなら、都会のバスかなあ。

渋滞はなぜ起きるでもいいかも。

投稿: 渡部義弥 | 2013/03/01 08:33

渡部義弥さん
おはようございます。さっそくのコメントありがとうございます。
なるほど!
「渋滞はなぜ起きる」いいですね。
それなら今もいろんところで起こっている現象にあいますね。ある面、普遍的な現象ですね。

投稿: 楠田 純一 | 2013/03/01 09:34

渋滞学とうのがありまして、阪大の菊地先生などがやってます。http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/tknishi/

投稿: 渡部義弥 | 2013/03/01 17:55

渡部義弥さん
ヘエーやっぱり考える人は考えているもんなんですね。
ちょっと面白そうですね。

投稿: 楠田 純一 | 2013/03/01 20:17

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