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本日(2013/02/17)、第27回オンライン「寅の日」!! #traday

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▼昨日は蓮根植え替えから46週目の大賀ハス定例観察日。観察池にはまた雪が降っていた。春はなかなか直線的にはやって来ない。季節の移り変わりはいつも螺旋的だ。
雪の降ってきた空を見上げる。いつもの定点観測地から「雲見」をする。
生野峠の方向の空を見る。少しずつここに雪を降らす空の特徴が見えてきた。
中谷宇吉郎は言った「雪は天からの手紙」と。
観察池に降った雪には上空の大気のようすについてのどんなことがしたためてあるのだろう?
▼本日(2013/02/17)は、その中谷の師匠、「寺田寅彦」を読む日。
2月2回目、第27回オンライン「寅の日」だ。
2月は「大気の物理学」=気象現象に集中して読むことにしている。前回の「凍雨と雨氷」では、さっそくオンラインの画像で「凍雨」を見せてもらえるといううれしい発展もあった。
気をよくしての2月2回目である。
◆第27回オンライン「寅の日」
●「颱風雑俎」(青空文庫より)
 2月に「台風」の話題とは季節外れの感があるかも知れない。
しかし、実は寅彦がこれを発表したのも最晩年(1935年)の2月なのである。(昭和十年二月『思想』)
書き出しは、その前年のあの室戸台風の記述からはじまる。
▼一年近く寅彦の文章を読み続けていると、少しだけ寅彦の言いたかったこと見えてきたように思う。
手を変え品を変え繰り返し繰り返し言っていることがある。
それがこの「颱風雑俎」にも現れていた。
それが次なる文章だ。

 甲州路へかけても到る処の古い村落はほとんど無難であるのに、停車場の出来たために発達した新集落には相当な被害が見られた。古い村落は永い間の自然淘汰によって、颱風の害の最小なような地の利のある地域に定着しているのに、新集落は、そうした非常時に対する考慮を抜きにして発達したものだとすれば、これはむしろ当然すぎるほど当然なことであると云わなければならない。
 昔は「地を相(そう)する」という術があったが明治大正の間にこの術が見失われてしまったようである。颱風もなければ烈震もない西欧の文明を継承することによって、同時に颱風も地震も消失するかのような錯覚に捕われたのではないかと思われるくらいに綺麗に颱風と地震に対する「相地術」を忘れてしまったのである。

その「相地術」について、さらにくわしく確信にふれ次のように言っている。
 地を相するというのは畢竟(ひっきょう)自然の威力を畏(おそ)れ、その命令に逆らわないようにするための用意である。安倍能成(あべよししげ)君が西洋人と日本人とで自然に対する態度に根本的の差違があるという事を論じていた中に、西洋人は自然を人間の自由にしようとするが日本人は自然に帰し自然に従おうとするという意味のことを話していたと記憶するが、このような区別を生じた原因の中には颱風や地震のようなものの存否がかなり重大な因子をなしているかもしれないのである。

私の勝手な文脈のなかでは、「相地術」とは今風に言うなら究極の「減災術」と読みとれるのだが。
さらに我田引水で言うならば、これぞ「常民の科学」と言いたいのだが。
▼矛先は「理科教育」にも向けられていた。
これは人々の心がけによることであるが、しかし大体において学校の普通教育ないし中等教育の方法に重大な欠陥があるためであろうと想像される。これに限ったことではないが、いわゆる理科教育が妙な型にはいって分りやすいことをわざわざ分りにくく、面白いことをわざわざ鹿爪(しかつめ)らしく教えているのではないかという気がする。子供に固有な鋭い直観の力を利用しないで頭の悪い大人に適合するような教案ばかりを練り過ぎるのではないかと思われる節もある。これについては教育者の深い反省を促したいと思っている次第である。

痛烈な指摘だ。
それは昔のことと反駁できるのだろうか。
さらには、こんなエピソードまで書いていた。
 事実を確かめないで学者が机上の議論を戦わして大笑いになる例はディッケンスの『ピクウィック・ペーパー』にもあったと思うが、現実の科学者の世界にもしばしばある。例えばこんな笑い話があった。ある学会で懸賞問題を出して答案を募ったが、その問題は「コップに水を一杯入れておいて更に徐々に砂糖を入れても水が溢れないのは何故か」というのであった。応募答案の中には実に深遠を極めた学説のさまざまが展開されていた。しかし当選した正解者の答案は極めて簡単明瞭で「水はこぼれますよ」というのであった。

やっぱりそうだ。
何度読んでも「寅彦」は極めて今日的だ!!
今さら「寅彦」ではない。
今こそ「寅彦」なんだ!!


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