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本日(2013/01/12)、第24回オンライン「寅の日」!! #traday

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▼冬のヒガンバナを見ていると、私は「これぞ、ほんとうの植物ヒガンバナだ!!」と言いたくなってくるのである。周辺に緑が失せた野で光を独り占めして稼ぎまくる。一年間をかけたこの見事な戦略に大きな拍手を送りたくなってくるのである。それが少しオオバーに言えば私の植物観・生物観であり自然観・科学観・世界観なんだ。
▼本日(2013/01/12)は、寅彦の自然観・科学観・世界観を学ぶ日である。
◆第24回オンライン「寅の日」
●「十 うじの効用」(「自由画稿」より)(青空文庫より)
 
 読む「自由画稿」は寅彦の最晩年1935年(昭和10)に「中央公論」に発表されたものである。
十八編のエッセイから成る。
 その十八編に入る前に「はしがき」になぜ「自由画稿」なのか。またここで語る意義のようなことが書かれている。私は、まずそれに惹きつけられた。
こうだ!!

 これが私の平生こうした断片的随筆を書く場合のおもなる動機であり申し訳である。人にものを教えたり強(し)いたりする気ははじめからないつもりである。
 集中には科学知識を取り扱ったものも自然にしばしば出て来るかもしれない。しかしそれも決して科学知識の普及などということを目的として書くのではない。ただ自分でほんとうにおもしろいと感じたことの覚え書きか、さもなければ譬喩(ひゆ)か説明のために便利な道具として使うための借りものに過ぎない。しかし、そうかと言ってその結果がいくぶんか科学知識普及に役立つことになってもそれはさしつかえはないであろうと思っている。

遠慮がちにかつ逆説的な表現をとりながら、「自然観・科学観」表明の文章群であることを予告しているのだ。
さらにはこうも言っている。

 ついでながら、断片的な通俗科学的読み物は排斥すべきものだというような事を新聞紙上で論じた人が近ごろあったようであるが、あれは少し偏頗(へんぱ)な僻論(へきろん)であると私には思われた。どんな瑣末(さまつ)な科学的知識でも、その背後には必ずいろいろな既知の方則が普遍的な背景として控えており、またその上に数限りもない未知の問題の胚芽(はいが)が必ず含まれているのである。それで一見いわゆるはなはだしく末梢的(まっしょうてき)な知識の煩瑣(はんさ)な解説でも、その書き方とまたそれを読む人の読み方によっては、その末梢的問題を包含する科学の大部門の概観が読者の眼界の地平線上におぼろげにでもわき上がることは可能でありまたしばしば実現する事実である。読者の頭脳次第では、かなりつまらぬ科学記事からでもいろいろな重大問題の暗示を感知し発見し摂取し発展させることもしばしばあるのである。

なんと挑発的な文章だろう。
この挑発にのらない手はないだろう。
それがこの「自由画稿」を読む気にさせた私の主な動機である。
▼十八編いっきょに全部というのでは少し無理があるので、そのうちの二編を今回と次回(第25回)に分けて読んでみたいと思う。
今回取りあげるのは「十 うじの効用」である。
「うじ」そのものに対する見方はこうである。

このような「市井の清潔係」としてのうじの功労は古くから知られていた。

 うじがきたないのではなくて人間や自然の作ったきたないものを浄化するためにうじがその全力を尽くすのである。尊重はしても軽侮すべきなんらの理由もない道理である。

そして寅彦の「自然観・科学観」へと発展する。

 自然界の平衡状態(イクイリブリアム)は試験管内の化学的平衡のような簡単なものではない。ただ一種の小動物だけでもその影響の及ぶところは測り知られぬ無辺の幅員をもっているであろう。その害の一端のみを見て直ちにその物の無用を論ずるのはあまりに浅はかな量見であるかもしれない。

さらには「世界観」にまで言及しているのである。

 あえてはえに限らず動植鉱物に限らず、人間の社会に存するあらゆる思想風俗習慣についてもやはり同じようなことが言われはしないか。

▼そして寅彦の最も言いたかったことは最後の一文にあるような気がするのだ。

天然の設計による平衡を乱す前にはよほどよく考えてかからないと危険なものである。

「天災は忘れた頃にやってくる」と警鐘を鳴らし続けた寅彦と重なってくるのである。

私には妙に「ヒガンバナ」と「うじ」が重なって見えてきたりするのである。
今回は2013年にはじめてのオンライン「寅の日」である。
「寅の日」は年間に30回ある。まずは続けることを目標にするが、新たな展開を期待する気持ちもある。
できるだ多くの人と一緒に読みたいのだ。
それはできるだけ多くの「自然観・科学観」と接してみたいという願望でもある。
よろしくお願いします。

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