« サイエンスコミュニケーター宣言(191) | トップページ | サイエンスコミュニケーター宣言(192) »

本日、第21回オンライン「寅の日」!! #traday

Dsc_0129
Dsc_0124

▼「この辺で、藤の名所はどこだろう?」と何人かに尋ねてみると、異口同音に「山崎の千年藤だろう」と答えてくれた。近くに住んでいながらそこを訪ねたことがなかった。
 そこに決めた。昨日の午後そこに行ってみた。ほんとうに近くまで行って道を間違えた。
道を歩く人に「千年藤で有名な…」と聞いてみた。その人はていねいに道を教えて下った。
そして言われた。
「なんで今ごろ行かれるのですか。花なら…」
「実はあの豆の実がみたくて」
「それはもうなくなってしまっているかも?」
「また花のときにぜひ…」
と。
▼本日は12月初回のオンライン「寅の日」である。
◆第21回オンライン「寅の日」
●『藤の実』(青空文庫より)

そう、ここでこれを読むから、昨日も「千年藤」の藤棚を訪ねて行ったのである。
行ってみると、ほんとうにりっぱな藤棚であった。
さぞやいっぱいあのさやがぶら下がっているのだろうと思ったがそうではなかった。
もう「その時」は終わってしまったのだろうか。
藤棚の下を少し時間をかけて見て回るが、それは落ちていなかった。
どうして?
▼文章は

昭和七年十二月十三日の夕方帰宅して、居間の机の前へすわると同時に、ぴしりという音がして何か座右の障子にぶつかったものがある。子供がいたずらに小石でも投げたかと思ったが、そうではなくて、それは庭の藤棚(ふじだな)の藤豆(ふじまめ)がはねてその実の一つが飛んで来たのであった。

と始まるのだった。
 それはちょうど80年前の今ごろのことである。
この偶然の不思議との出会いは次にツナガル!!
 それにしても、これほど猛烈な勢いで豆を飛ばせるというのは驚くべきことである。書斎の軒の藤棚から居室の障子までは最短距離にしても五間(けん)はある。それで、地上三メートルの高さから水平に発射されたとして十メートルの距離において地上一メートルの点で障子に衝突したとすれば、空気の抵抗を除外しても、少なくも毎秒十メートル以上の初速をもって発射されたとしなければ勘定が合わない。あの一見枯死しているような豆のさやの中に、それほどの大きな原動力が潜んでいようとはちょっと予想しないことであった。この一夕の偶然の観察が動機となってだんだんこの藤豆(ふじまめ)eはじける機巧を研究してみると、実に驚くべき事実が続々と発見されるのである。しかしこれらの事実については他日適当な機会に適当な場所で報告したいと思う。

と書いているように、後日、寅彦は論文「藤の種子の自然放散機構について」(“On the Mechanism of Spontaneous Expulsion of Wistaria Seeds” 1933)を発表しているという。(小川慶太著『寺田寅彦』より)
なんという観察眼だ!!
これぞ「等身大の科学」なのかも知れない。
私が昨日「千年藤」に行ったのはこの偶然を追体験できないだろうか、という甘い期待があったからだ。
そんなうまい話はなかった。藤のさやや種子はたしかに見たことがあるが、これがこんなすごいスピードで飛ぶというのを目撃したことはなかった。今回は残念だったが、いつかは…。
▼話は、藤の実で終わらなかった。
それはとにかく、このように植物界の現象にもやはり一種の「潮時」とでもいったようなもののあることはこれまでにもたびたび気づいたことであった。たとえば、春季に庭前の椿(つばき)の花の落ちるのでも、ある夜のうちに風もないのにたくさん一時に落ちることもあれば、また、風があってもちっとも落ちない晩もある。この現象が統計的型式から見て、いわゆる地震群の生起とよく似たものであることは、すでに他の場所で報告したことがあった。

とつづき、さらに「銀杏の葉の落ち方」へとつづく。
そして興味深い提案までしている。
このことはわれわれにいろいろな問題を暗示し、またいろいろの実験的研究を示唆する。もしも植物学者と物理学者と共同して研究することができたら案外おもしろいことにならないとも限らないと思うのである。

はては
現在の科学から見れば、単なる迷信であっても、未来のいつかの科学ではそれが立派に「説明」されることにならないとも限らない。少なくもそうはならないという証明も今のところなかなかむつかしいようである

とまで言っている。

今回は寅彦の口癖『ねぇ君、不思議だと思いませんか?』の典型のような文章である。
寅彦に応えて、「そう言えば…」を捜す一日にしようと思う。

 月は二度撮りなおしたが、別に報告することにする。

|

« サイエンスコミュニケーター宣言(191) | トップページ | サイエンスコミュニケーター宣言(192) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/62729/56267364

この記事へのトラックバック一覧です: 本日、第21回オンライン「寅の日」!! #traday:

« サイエンスコミュニケーター宣言(191) | トップページ | サイエンスコミュニケーター宣言(192) »