« 【お薦め本】『科学の限界』(池内了著 ちくま新書)(1) | トップページ | 【お薦め本】『科学の限界』(池内了著 ちくま新書)(3) »

【お薦め本】『科学の限界』(池内了著 ちくま新書)(2)

Dscn0890

▼昨日は北風がひときわ冷たかった。いつもの定点観測に立って「雲見」をやってみた。生野峠の方から雲が吹き出すようにやってきていた。今年もいよいよ「生野峠越えるときには弁当忘れても傘を忘れるな」の季節なんだ。
大気の物理学実験室にくらしている私たちに「雲見」はとっても有効な科学の方法なんだ。
「雲見」をはじめて言ったのは賢治だった。
宵にはみごとな待宵月が登ってきた。今度は寅彦の「宇宙見物」だ。
ひょっとしたらこれが私の「等身大の科学」なんだろうか。
▼「人間を大切にする等身大の科学へ」の
◆『科学の限界』(池内了著 ちくま新書 2012.11.10)
をつづける。
 この著を手にしてまず読んだのは「あとがき」だった。
その「あとがき」には緊急に私の知りたいことが書いてあるとの情報があったからだ。
そこには著者の近況が書かれていた。9月中旬から下旬にかけて著者の身体に異変がおこったことが報告されていた。「脳梗塞」であった(ある)というのである。
 そして、異例の「あとがき」が続いていた。

本書を貶しめるような異例の「あとがき」になってしまったが、その理由は読者諸君に以下のチェックをして欲しいためである。
 著者の気づかいまま脳梗塞のが進行中に書いたものだが、
(1) 事実関係に誤謬はないか?
(2) 論理に矛盾や飛躍はないか?
(3) 言葉遣いがあらっぽくなっていないか?
(4) くどすぎる表現となっていないか?
また脳梗塞が判明してから校正したのだが、
(5) 言葉の使い方に偏りはないか?
(6) 過度に単純化していないか?
(7) 語尾が類型的になっていないか?
そして、それらの項目は脳梗塞と関係があるのだろうか?
(同書 P202より)

 何と言うことを、もちろん「脳梗塞」にも驚いたが、それ以上にこんな「あとがき」を書く著者に驚いてしまった。
こんな「あとがき」みたことなかった!
そして感動してしまった。科学者池内了はホンモノだと思った。
 どこまでも「等身大」であり、「等身大の科学」を実践してみようというのである。
▼「チェック」などとんでもない話で、そんな能力は残念ながら私にはない。
 できることは、私の文脈のなかで「等身大の科学」はどんなところにあるのか。
そして、それは著者の提言する「等身大の科学」とどう交叉するのか。
いや、そもそも交叉するところはあるのか。
それを、著者の文脈を追いながら確かめてみるだけだ。
そのためにこの【お薦め本】を書き始めた。
▼もう一度目次を見てみる。

はじめに
第1章 科学は終焉するのか?
第2章 人間が生み出す科学の限界
第3章 社会が生み出す科学の限界
第4章 科学に内在する科学の限界
第5章 社会とせめぎ合う科学の限界
第6章 限界のなかで―等身大の科学へ

「はじめに」がこの本の概要を伝えていた。
一読しての感想としては、結局この本は「第6章 限界のなかでー等身大の科学へ」を提言するために書かれたんだろうと思った。
 もう少していねいに「等身大の科学」の必然性を見直してみようと思う。
ゆっくり 急ごう!!

今朝、まだ宵待月は西の空にあった。

<つづく> 
Dsc_0473

|

« 【お薦め本】『科学の限界』(池内了著 ちくま新書)(1) | トップページ | 【お薦め本】『科学の限界』(池内了著 ちくま新書)(3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【お薦め本】『科学の限界』(池内了著 ちくま新書)(2):

« 【お薦め本】『科学の限界』(池内了著 ちくま新書)(1) | トップページ | 【お薦め本】『科学の限界』(池内了著 ちくま新書)(3) »