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原子論的物質観はこれからも有効か? #traday

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▼昨日、6月8日(金)11時、近畿地方も梅雨入りの発表があった。朝から雲が垂れさがって今にも降りそうだった。そんななか外に出て庭に目をやると、その梅雨空の鬱陶しさから覚醒するような見事な朱色が目に飛び込んできた。石榴の花である。ほんとうにいい色だ、白い花の季節のなかだけになんともうれしくなってくる。その後、発表を待ち受けていたように雨は降りだした。
 しばらくは雨とつきあう日々が続くのである。
▼明日のオンライン「寅の日」の予習を続ける。
◆「ルクレチウスと科学」
で要は寅彦が「ルクレチウス」を読め!とあの手この手を使いながら薦めてくれているのである。
では、その「ルクレチウス」とはなんなのか。
 紀元前一世紀のローマの詩人哲学者レクレチウス(前94頃-55 文献によって若干のちがいがある)である。
長編詩『物の本質について』(岩波訳)の作者である。
 寺田寅彦はこの「ルクレチウスと科学」を今から83年前の1929年に書いている。

私はただ現代に生まれた一人の科学の修業者として偶然ルクレチウスを読んだ、その読後の素朴(そぼく)な感想を幼稚な言葉で述べるに過ぎない。この厚顔の所行をあえてするについての唯一の申し訳は、ただルクレチウスがまだおそらく一度も日本の科学者の間にこの程度にすら紹介されなかったという事である。

自らこう語っているように、それまで日本であまり知られていなかったルクレチウスを熱く紹介したのである。
それはなぜか。
そこに寅彦の科学観、物質観があらわれているのではないだろうか。
▼推薦の熱き言葉を拾ってみよう。
それほどにルクレチウスの中には多くの未来が黙示されているのである。


ルクレチウスの黙示からなんらかの大きな啓示を受けた学者の数は、おそらく少なくはなかったであろう。

それだけ多くの未来に対する黙示が含まれているのである。今から百年前にこの書を読んだ人にはおそらく無意味な囈語(たわごと)のように思われたであろうと思うような章句で、五十年前の読者にはやっと始めてその当時の科学的の言葉で翻訳されたであろうと思われるのがある。それどころか十年前の物理学者ならばなんの気なしに読過したであろうと思う一句が、最新学説の光に照らして見ると意外な予言者としてわれわれの目に飛び込んで来るのもあるようである。
要するにルクレチウスは一つの偉大な科学的の黙示録(アポカリプス)である。そのままで現代の意味における科学書ではもちろんありうるはずがない。
彼の描き出した元子の影像がたとえ現在の原子の模型とどれほど違っていようとも、彼の元子の目的とするところはやはり物質の究極組成分としての元子であり、これの結合や運動によって説明せんと試みた諸現象はまさしく現在われわれの原子によって説明しようと試みつつある物理的化学的現象である。

こうして拾い出し、並べてみると徐々に寅彦の意図が私なりに見えてくるのである。
▼さらに、もっと自分にひきつけ自分の文脈のなかで読んでみよう。
そうすると、私には「ルクレチウス」は「原子論的物質観」と読みかえられると思えてくるのである。
そうずっとずっと使ってきたあれだ!!

 もっともルクレチウスを科学者と名づけるか、名づけないかというような事は実はどうでもよい事で、またどうでも言える事である。しかし私のここで問題とするところは、現代の精密科学にとってルクレチウスの内容もしくはその思想精神がなんらかの役に立ちうるかということである。ルクレチウスの内容そのものよりはむしろ、ルクレチウス流の方法や精神が現在の科学の追究に有用であるかどうかということである。

つまり、寅彦のこの文章は、私の文脈の中では
「原子論的物質観」は、これからも有効か?

ということになるのである。
寅彦はさらにはこうも書いた。

十九世紀二十世紀を予言した彼がどうしてきたるべき第二十一世紀を予言していないと保証する事ができようか。今われわれがルクレチウスを読んで一笑に付し去るような考えが、百年の後に新たな意味で復活しないとだれが断言しうるであろうか。

書かれた83年後
2011.3.11を体験した21世紀の今、ルクレチウスはどう読まれのだろう。
なにを黙示しているのだろう。
ゆっくり 急ごう!!

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