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【お薦め本】『パパは金属博士!』(吉村 泰治著 技報堂出版)

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▼やっぱり気になってしかたなかった。大賀ハスの花蕾に居着いた蜘蛛である。
ここでなにをしているんだろう?
何がねらいなんだろう?
なにかを待っているのだろうか?
「あこがれの4日間」がまだなのと関係あるのだろうか?
「ふしぎ!?」だ!!
▼一方、私はあいかわらず行きつ戻りつしながらルクレチウスに向かっていた。
そのなかで、この本に出会った。
◆『パパは金属博士! ~ 身近なモノに隠された金属のヒミツ ~』(吉村 泰治著 技報堂出版 2012.04.25)
 実は私はこの本を少し前に手に入れていた。パラパラと読んで面白そうだと思った。しかし、すぐさま読まなかった。あのお弁当のおかずでいちばんのお気に入りの「卵焼き」を最後までとっておくように、楽しみにしてとっておいたのだ。最初の「卵焼き」の判断は正しかったようだ。
 読み始めると、後にとっておくことはできなくなってしまった。実に面白いのだ。
私はルクレチウスに向かっていた、その寄り道としてこの本を選んで読んだ。
私は机の上にふたつのものを用意して読み進めた。
 ひとつは「周期表」である。金属名がでてくる度に、物質探検の地図帳「周期表」にチェックしながら読み進めたのである。
 もうひとつは例の『世界で一番美しい元素図鑑 創元社 セオドア・グレイ (著), 若林文高 (監修), ニック・マン (写真), 武井摩利 (翻訳)』である。ときにその姿を見たくなったとき参照したのである。
▼読みすすめながら何度となく「そうだったのか!!」「知らなかった!!」を連発した。
 最もありふれた物質である「金属」、Alの階段より左が全部金属なんだから、周期表をみれば物質の世界における金属が占める範囲がいかに重要かは一目瞭然のはず。しかし、知らないことが多すぎた、不勉強を恥じると同時にあらためて多様なる「金属」の顔に感動である。
読み終えてこの本のお薦めポイントは4つばかりあるように思った。

(1) 日々の暮らしのなかに「金属」があることを教えてくれる。
 この本には、日々の我々がくらしのなかであうシーンが40取りあげてある。それは家族の会話というかたちでとりあげてある。それはほんとうにありふれたシーンである。
朝起きてから眠るまでの生活のなかでのシーンである。より身近にひきつけるために季節ごとに分けてある。
 そのことで身近な暮らしのなかに「金属」とのつきあいあるんだということを教えてくれている。
さりげなく人間と「金属」とのつきあいの歴史も教えてくれる。
 現代の暮らしのなかでの問題点も自ずからわかってくる。
 「環境問題」「安全と技術」「レアメタル」「LED」等々、テレビや新聞のニュースの見方も変わってくるというものだ。

(2) プロの視点でわかりやすく語ってくれている。
 著者の略歴をみていると、技術士(金属部門)登録と書いてある。最前線の現場で「ものづくり」に携わってこられたプロ中のプロのようだ。専門家であるからこそ見える「金属」の世界があるようだ。
 それをシーンごとにパパの口癖「○○○について、金属の観点から迫ってみたいと思います」と、やさしくわかりやすく語ってくださっている。その語り口調から、パパの「金属」への思い入れ度合いも見えてくるというものだ。
 細切れの知識を寄せ集めたというのでない、「ものとつきあい方」をも語られているようだ。
 サイエンスコミュニケータとしての活動もやっておられるようだ。さもありなん、なんか納得!!
 
(3) 参考文献をはじめ資料が豊富である。
 シーンごとに参考文献やWebページが豊富に紹介してある。
ここにもプロならではの情報がある。
もっとそのことをくわしく調べたければ、その文献にあたるなり、ネットで検索をかけてみればいい。
これはシロウトにはとてもありがたい。

(4) 読み返せるように工夫がある。「レア度」がシーンごとにある。
 シロウトが読みやすいようにいろいろ工夫が施されている。
なかでも面白いのは、40シーンひとつひとつに内容の希少性を表す「レア度」を四段階の星印で示してある。
ちなみに
・星ひとつ   13
・星ふたつ  15
・星三つ    8
・星四つ    4
である。これは著者の「レア度」チェックである。
もちろんそれも参考にしながら、自分で「レア度」をチェックしてみるのも面白いかも知れない。
一口に「暮らしの中で…」や「身近に…」と言っても、読む人それぞれの「暮らし」や「身近」はちがうだろう。
自分にとっての「レア度」をつけて、読み返すときの参考にするのもいいだろう。  

▼最後に、もうひとつ感心したのは、「金属」の話をしながらいつしかそれは、文化や芸術の話にまで発展していることである。それはみごとである!!
 それは、人間の営みの歴史と「金属」とのつきあいの歴史が深くかかわっていることを示していると同時に、私には著者の物質観や技術観が深く関係しているように思える。

ここにもルクレチウスの後裔がいた!!
と言えば失礼になるのだろうか。


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