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【お薦め本】『寺田 寅彦』(小山 慶太著 中公新書)(続)

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▼私は、昨日もまだ「椿の落下運動」を追いかけていた。
「落ちさまに 虻を伏せたる 椿哉」
は、寅彦の生涯の師 夏目漱石の句であるという。漱石がそう詠んで三十数年を経て、寅彦の『空気中を落下する特殊な形の物体-椿の花-の運動について』(1933年)は発表される。
それは何を意味するのか。その経緯は…。
このあたりを切り口に「ふしぎ!?」の謎解き名人「寺田 寅彦」を語ろうとしたのが
◆『寺田 寅彦 漱石、レイリー卿と和魂洋才の物理学』(小山 慶太著 中公新書 2012.1.25)
である。
▼この切り口がなかなか面白い。
先日3月10日、ファラデーラボ一周年記念行事で理科ハウスの館長の森裕美子さんの「アインシュタインと石原純」の話を聴いたばかりであったからそれを想起した。2歳ちがいで同時代を生きたアインシュタインと石原純この因縁深きふたり の物理学者を人生を対比しながら、二人がめざしたものはなになのか。語ろうとしたものはなにか、を追求していくその手口(手法)に感動したところだったので、それを思いだしたのだろう。
この本も同じその手口が使われていた。
▼最も敬愛する生涯の師 夏目漱石、あの恒久の「ふしぎ!?」=「空の色はなぜ青いのか」の謎解きを
みごとにやってのけたこれまた最も尊敬すべき物理学者レイリー卿、そして寺田寅彦の生きざまをパラレルにならべてみる。19世紀末から20世紀初頭、謎解きの手法、手口は大きくかわろうとしていた。物理学も「科学」も。
そんな時代にあって寺田寅彦は、等身大の科学に固執していった。
「椿の花の落下運動」だけでない。今読みかえしても、「ふしぎ!?」の謎解きのほんとうの面白さを教えてくれるものがいっぱいある。
「藤の実が飛び散るメカニズム」「尺八の音響学」「ヴァイオリンの物理学」「線香花火」等などどれも面白い!!
これぞ道楽的「科学」の先駆者だ。
 それだけではない。当時の最先端の研究「X線回折」の研究だってやっている。それも半端じゃない、世界の最先端をも視野に入れていた。
▼科学者・研究者として活躍しただけでない。「科学」の面白さ、重要性を時代のなかで語り続けたのである。
それもみごとな美しい詩的文章で。
 著者は言う。

 科学に関して研究者であると同時に、サイエンス・コミュニケーションの担い手-この面では先駆者とみなせるであろう-としての顔ももっていたのである。(同書 P220より)
 

そうだ、日本の元祖サイエンコミュケーターはこの人・寺田寅彦なのである。
この人の「科学」が今の日本には必要なのである。
「正当に怖がる」ためにも。
▼本の紹介をしているのか、私の「寺田寅彦」の語っているのかわからなくなってしまった。
なぜ今、寺田寅彦なのか?
それを語り出したら尽きない、私の能力では無理なのかも知れない。
この本を読んでいて面白いことを思いついた。

 寅彦は高嶺俊夫と親交を深めるなか面白いことをやっていたようだ。
 一九二八年(昭和3年)の春ころから、高嶺と寅彦は毎週一度のペースで、二人だけの昼食会を催すことになる。
高嶺はこの日を「寅の日」、一方の寅彦は「高嶺デー」と呼んでいた。(中略)学問の話もしたが、それ以外に気楽なテーマもよく話題にのぼったという。“高等遊民”を彷彿させる二人の姿が浮かんでくる。(同書 P15)

 これだ!!この「寅の日」の再現をするのである。再現と言っても遠く離れた人間が一回の「昼食会」を催すだけでもたいへんだ。「昼食会」を再現するのでない、その「空気」を再現するのである。
・「寅の日」をオンラインで再現するのである。
・いつやるか。一週間に一度はちょっとしんどい、月一度では間延びしすぎる。
そこで「寅」の日にやる12日に一度巡ってくる「とら」の日にやる。
さしあたり4月は4/11.23である。3/30は「寅の日」準備の日とする。
・まず、何をやるか。
ありがたいことに、今 寺田寅彦の書いたものは青空文庫で読ませてもらえる。
◆作家別作品リスト:No.42 寺田寅彦 (青空文庫)
 これを、今回はこれをと決めて読みながら感想等の情報交換を行うのである。

ほんとうの思いつきだ!!いっしょに寅彦の
「ねぇ君、不思議だと思いませんか?」
の問いかけに応えてみませんか。

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である。

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コメント

宮沢賢治が優れたサイエンスコミュニケーターと思った理由、ですか。

娘(新6年、好きな科目は理科と社会、読書量は結構多め)に「宮沢賢治ってどう思う?」と尋ねたところ、
「身の回りのことから宇宙のことまでを題材にしてる、尺のとり方の自由さという点でとてもユニークな人」と話してました。
親が指摘するまで、観察の鋭さには気づいてても、その根底にある科学的知識に気づいてませんでしたね。

つまり、科学的なことを教えようとして書いてると気づかずに、賢治の本は読めてしまうんです。
私だと科学的なことを「教えなければ」と力が入って空回りしがちなんですが、そういうことを全く感じさせない。それって文章的表現力・科学的思考力両方が伴ってないとできないんじゃないのかな、なんて思ってます。
伝えるべき知識と言葉を自分のものとしていて、楽しんでる中にも科学的な知識やら見方などを感じさせてくれているところ。この辺が賢治を優れたサイエンスコミュニケーターであると思った理由です。
表層的な見方かもしれませんが…

投稿: いっちゃん | 2012/03/28 16:41

さっそく応答ありがとうございます。
参りました!!

>私だと科学的なことを「教えなければ」と力が入って空回りしがちなんですが、そういうことを全く感じさせない。それって文章的表現力・科学的思考力両方が伴ってないとできないんじゃないのかな、なんて思ってます。
伝えるべき知識と言葉を自分のものとしていて、楽しんでる中にも科学的な知識やら見方などを感じさせてくれているところ。この辺が賢治を優れたサイエンスコミュニケーターであると思った理由です。

たくさん引用させてもらいました。
あまりにナルホド!!と思ったもので。
これに触発させられるようにして今日のblogを書きました。来年度も「サイエンスコミュケーター」を名乗っていこうと思っています。
ありがとうございました。

投稿: 楠田 純一 | 2012/03/29 06:25

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