【お薦め本】『科学ジャーナリズムの先駆者 評伝 石原純』(西尾成子著 岩波書店)
▼このごろ妙な習性というか習慣が身についてしまった。
年代をみると、すぐあの「日本理科教育史」の年表に重ねてみるのである。
石原純(1881.1.15~1947.1.19)の66年の生涯もいつしか重ねてみていた。
石原が生まれて5年後
●1886年(明治19) 学校令「小学校の学科及びその程度」 「理科」誕生
日本の教育に「理科」が誕生した。
そして不運な死をむかえた年
●1947年(昭和22) 学習指導要領(試案)
戦後理科教育がはじまっているのである。
▼私が、「石原純」という名前をちゃんと聞いたのは今から17~18年前であろうか。
不勉強な理科教師であったからしかたないのだが、今から考えると恥ずかしいかぎりである。
ある人から「石原 純を知っていますか」と訊かれて、「石原純って誰 ?」という状態でした。
『物理学はいかにして創られたか』(アインシュタイン著 石原純訳 岩波新書)を読んだのもそれからずいぶんたってからでした。
しかし、子ども向けの「科学」のすすめの文はいくつか読みました。(いくらかはネットで読むことも可能)
▼徐々に「石原純」という人物に興味がでてきました。
そんな私にピッタリの本が出たのです。昨年の秋でした。
■『科学ジャーナリズムの先駆者 評伝 石原純』(西尾成子著 岩波書店 2011.9.28)
ピッタリだと思ったのですぐ手に入れました。
正直に言いましょう。私は一部二部と読み進めて、ながくそのままにしていたのです。
そのころから「日本理科教育史」に興味がうつってしまっていたからかも知れません。
そのときはまだ
「はじめに」の「なぜいま石原純か」がわからなかった。
▼「日本理科教育史」俯瞰した後、再びこの本を読み進めてみた。
最初はなぜタイトルが「科学ジャーナリズムの先駆者」となっているのかわからなかった。読み進めるうちに少しずつわかってきた。
そして
・第4部 科学ジャーナリストとして
・第5部 戦時科学新興政策批判から敗戦直後の急逝まで
まで来て私の石原純に対する興味のありどころが、自分でもわかった。
私は今思う、第4部、第5部から読めばよかったと、そうすれば興味を持続させながら読めただろうにと。
それにしても豊富な資料だ。
参考にすべき文献も多様に紹介してある。
「石原純」入門には最適書である。
これからも自分の興味あるところからこの「科学の巨人」と少しずつつきあっていきたい。
この3月10日(土)にはファラデーラボで、私にはじめて「石原純」の名前を教えてくれた理科ハウス館長の森裕美子さんの話がある。貴重な資料ともにこの人でなければ語れない話もでてくるだろう。楽しみである。
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