サイエンスコミュニケーター宣言(109)
▼「あなたは空気に重さがあることを知っていますか?」
「あなたは、その空気の重さを測る実験をしたことがありますか?」
今朝起きてから妙な衝動にかられている。このふたつの質問を日本国民すべての人に聞いてみたい。
いったい何%の人が「はい」と答えるだろう。もっとも身近な物質「空気」はモノとしてとらえられているだろうか。
特に知りたいのはふたつ目の実験についてだ、何%の人が「空気に重さがある」ことを認識する実験をやっただ
ろうか。それが無性に知りたい!!
▼なぜ、そんなことを思ったかというと、やっぱりあの『教育実践検討サークル~創造する東北の教師たち~ (中村 敏弘著 国土社 1975.11.5) 』であった。1957年(昭和32年)3.24第20回でガリレイゼミを終えている。いくつもの成果と一緒に「反省点」をあげている。そのなかに「空気圧入法」で空気の重さを測る実験のことが出てくるのである。(p187~p188)
それを少しなぞってみるとこうだ。
●1960年(昭和35) 『中学校理科サークル通信ノート』 高橋金三郎自己紹介でお便り紹介というかたちで「佐藤信正さんの自転車のチューブのバルブをビールの空き缶に半田付けした方法」を紹介する。
●1961年(昭和36) 1961年2月『理科教室』に報告。全国に知られた。
●1972年(昭和47) 『やさしく本質的な実験集1』(科教協東北地区協議会1972.7.10 評論社)鈴木清龍「13.空気の重さ」(圧入法による) p46 明星学園 遠藤豊氏の方法も紹介
「実験法の改良ひとつとっても、そのアイデアの生まれる素地、必然性がある。教科書の教材をかえのは安易なことではないが、圧入缶の歴史にも理科教育のひとつの断面があらわれていて、興味深い。(鈴木清龍、同書p50より)
▼鈴木清龍氏が言うとおりなのである。教材史は、理科教育史のひとつの断面を表しているのである。
だから、私は理科が好きだ!!
最後はモノがあるんだ!!具体的なモノ(教材)があるんだ。
その教材の今を知ることは、理科教育の今を知ることでもあるのだ。
だから、私は最初の衝動をおさえることができないのだ。
「科学リテラシー」を云々するのもよかろう。
しかし、それよりも私は、日本理科教育の今、ふたつの単純な質問で知りたい。
なんとか知る方法はないものだろうか。
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