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お薦め本『雲と暮らす。』(武田康男著 誠文堂新光社)

Dscn6169▼私の11月は「雲見」からはじまった。
日の出前の空が一日でいちばん美しいと教えてもらって以来、早朝の「雲見」は、もういつしか私の生活習慣となっDscn6192ていた。空の様子は、刻々と変わっていく、「雲見」は一日やっていてあきないぐらい楽しい。
11月はじめの「雲見」もそうだった。
Dscn6214 こんな「雲見」の楽しさを最初に私に教えてくれたのは武田康男さんだ。
今や南極の空の紹介等でテレビにもよく登場するようになった「雲見」の達人だ。
▼その武田さんの新刊が出た。最高の「雲見」ガイドブックだ!!

■『雲と暮らす。 ~雲と出会い、雲を愛でる~ 』(文・写真 武田康男 誠文堂新光社)

 ともかく徹底して、「雲見」の楽しさ、面白さを伝えてくれる本だ。
「雲見」を最初に言い出したのは、おそらく宮澤賢治だろう。その楽しさ、面白さを伝えてくれている第一人者は、私は武田康男さんだったと思っている。
 武田さんはずっと以前に『雲のかお』(武田康男著 小学館文庫 1998.10.1)を出されている。手にしたときから、私はこの本を「雲見」の友としてきた。月ごとの「雲のかお」を武田さんのみごとな写真が紹介してある、最後には定点観測地から撮った365日の「雲のかお」写真があげてある。名著中の名著だ!!
 その名著のバージョンアップしたのが、この本であると思った。
▼バージョンアップされたところはどこか。いっぱいあるが少しだけ私流にふれてみる。
まずは、タイトルだ。
『雲と暮らす。』はとてもいい。武田さんのいちばん言いたいことを「一文」にしている。
「雲見」の世界は、「どこにいても、誰にでも、道具も要らずに楽しめる世界」なんだ。
私たち365日毎日、地球上に雲と一緒に暮らしているんだ。
どんなときも、空を見上げれば一緒に暮らす友の雲がいるんだ。雲は刻々と変化する、今見ている雲は、世界でたったひとつだ!!似たような雲に出会うことがあるかも知れない、しかしそれは同じでない。
雲との出会いも一期一会なんだ。せっかく一緒に暮らしているのだから、「雲見」を楽しまなければ、「もったいない」よ。そんなメッセージが込められたタイトルだ。
▼「等身大の科学」のはじめに「雲見」がある。
「雲見」は、楽しいだけでなくいっぱいいろなことを教えてくれる。
雲の名前も大切。名前知って見れば、その出会いの楽しさを増してくれるかも知れない。しかし、それは絶体ではない名前なんてわからなくたって、「雲見」は楽しめる!!
ここでひとつ武田さんが提案していることがある。
「雲の高さ」を気にしよう。そんな厳密な話でなくてザックリとである。
「低い空の雲」(2000mル以下)
「中くらいの空の雲」(2000m~7000m)
「高い空の雲」(5000~)
という具合に。それを気にすることで大気の動きが見えてくる。「科学」が見えてくる。
「観天望気」につながっていくというのだ。「雲見」はますます楽しくなるというものだ。
▼まだまだバージョンアップ点はある。
「季節」「時間」「場所」「雲追っての旅」等など、よりアクティブに、よりグローバルに展開された「雲見」の世界が
とっびきりきれいな写真とともに紹介されている。
「写真撮影のこと」「秘密基地(定点観測)」等など興味深い話題も満載だ。
面白い工夫もある。写真ごとに「出会いレベル」の雲マークあるのだ!星印と同じ発想だ。
雲マーク5つまである。一生に一度出会うか出会わないかのレベルである。それならぜひ出会ってみたいと思うのが人情だ。
 しかし、考えてみると、どの雲だって一期一会!!
世界でたったひとつの雲だ。さあ、今日も「雲見」も楽しんでみよう!!

武田康男さんの本は、どの本もお薦めだが、この本はとびっきりのお薦めだ!!

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