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新・クラウド「整理学」試論(32)

Dscn8437▼それまで、ずっとずっと続けてきていた定刻の大賀ハスの観察がとぎれていた。もう大きく変化しない、後は果托から種子への変化だけだからと言い訳をしていた。
ちがっていた。実は果托から種子への変化だってすごく面白いのだ。
緑色していた果托は、やがて黒ずんでくる、その赤ちゃん(種子)たちが先に黒ずんでいく、それが自立へのサインであろうか。金属ヤスリで擦らなければ裂けないぐらいの固い種皮、2000年もの長い間眠りにつけるシェルターを形成していくプロセス。
 これが面白くないはずがない。
▼そうだ。種子そのものだってプロセス!!次なるいのちの営みにつながるプロセス。
面白いのはプロセスなんだ。
「整理」だって同じ。これは「目的」であったり「結果」ではない。
整理はクリエイティブな営みへのプロセスなんだ。
いかに一見整然と「整理」されようと、整理されたものが使われることがなかったらそれは、ないことに等しい。
いや寧ろ捨ててしまった方がましだ。使いものになるモノだけが残るから、使い勝手がよくなる。
わかっているが、その判断が難しい!!
いつもここで座礁してしまうだ。
▼非常に唐突だが、ここで思いだしたのが、我等がファラデーの『ファラデーの日記』である。

 筆まめなファラデーは克明な日記も残している。それは普通の日記でなく、毎日の実験と観察の記録である。さまざまな思考や試みをこれほど詳細に書きのこした科学者はケプラー以外はいない。ファラデーは生前これを六巻に製本していた。その原本は四つ折り版、二冊、二つ折り版、八冊で、合計十冊で、びっしりと書き込まれた四〇〇〇ページにも及ぶ膨大なものである。余白には、無数の実験の図が描かれており、工夫に工夫を凝らしたファラデーの姿をみることができる。四つ折り版は、一八二〇年九月から一八三三年まで、二つ折り版は一八二八年から一八六二年まで、最初の記録からいえば四二年間にわたる。これだけ長期間にわたる、これだけ膨大な研究日記は科学史でも例がない。これらは『ファラデーの日記』七巻(一九三二~三六年)として出版された。(『ファラデー 王立研究所と孤独な科学者』(島尾 永康著 岩波書店 2000.3.14) P125より)
42年間の「記録」!! 圧倒されるばかりである。

▼これだけではない。「整理学」へのヒントは次にあった。

  注目に値するのは、研究記録の各パラグラフに通し番号をつけていることである。電磁誘導を発見した年の一八三一年二月二日から始め、…(中略)…。そして一八三二年八月二五日から始めたのは、一八六〇年三月六日まで続き、一~一六〇四一となっている。約三十年間にわたって研究に通し番号をつけた科学者は他にいない。(上記書P125)

なんと示唆的であることか。
つまりファラデーは、自分のこの膨大な「記録」に検索をかけれるようにしたのだ!!
必要なときに、必要な「記録」をすぐさま引っぱり出してこれるようにしたのだ。
これこそが私たちがめざす究極の「整理」なんだろうと思う。
プロットした「記録」をいつでも検索をかけ、ひっぱり出してきて、ひっぱり出してきたもの同士をつなぎ合わせてみる。そして、まったく新しいものを「発見」する、それをまた「記録」する。
そうなってこそ「記録」に意味が出てくるというものである。

いつでも検索にかけれる状態にすること。そのシステムを構築すること。
それを「整理」とよぼう。

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コメント

おはようございます。
>金属ヤスリで擦らなければ裂けないぐらいの固い種皮
ただ固いだけでなく、柵状組織の中に埋め込まれたガラス質の層が鍵をにぎっているようです。
それについては「大賀池日記」に載せておきます。

投稿: sakamoto | 2011/08/17 07:40

阪本さん
おはようございます。コメントありがとうございます。
へえー「ガラス質の層」ですか。
眠っているとき「呼吸」はどうなっているんでしょうね。ますます「ふしぎ!?」は深まる。
でも面白い!!

投稿: 楠田 純一 | 2011/08/18 06:02

おはようございます。
ほぼ完全密封ですから、呼吸はどうなっているのかという疑問はでるでしょうね。大賀論文を読めばそれに関する実験データなども載っていると思います。大賀先生の学位論文も和訳したいと思いつつ、もう10年以上が経ちます・・・
中国古代蓮の年代論争で終止符を打ったといわれる、Natureに載った論文は、種子中の脂肪酸の酸化程度をテーマとしていたと記憶します。

投稿: sakamoto | 2011/08/18 07:58

阪本さん
おはようございます。
ますます面白くなりますね。
さすが大賀先生、たいていのテーマはすでにやっておられるんですね。今日は、県立大に行って「呼吸について」勉強したいと思います。大賀ハス種子持参して、質問する時間があれば聞いてみようと思います。

投稿: 楠田 純一 | 2011/08/19 08:19

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